オーストリア公認ハイキング・登山ガイド 沼 岳央さんインタビュー 番外編

オーストリア国家検定スキーインストラクター、オーストリア公認ハイキング・登山ガイドなどの資格を持つ沼 岳央さん。NIPONip vol.64で掲載した沼さんのインタビューのこぼれ話を、Q&A形式でお届けします。

プロフィール

沼 岳央(ぬま たけお)さん

富山県出身。6歳よりスキーを始める。長野のスキー系専門学校に入学し、94年、専門学校卒業と同時に単身渡澳。同年、スキーインストラクターの地区検定に合格したのを皮切りに、スキーガイド、マウンテンバイクインストラクター、ハイキング・登山ガイドといった様々な国家検定資格などを取得。オーストリアはじめヨーロッパの山々で、グループツアーや個人旅行のガイドとして、お客様の希望を叶える多彩なツアーを企画する。オーストリア・チロル州スチューバイタール在住歴27年。

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オーストリアのみならず周辺国の自然を知り尽くした沼さん。個性的な企画も興味津々ですが、ヨーロッパアルプスをオーストリアからベネチアに抜けるという南北ツアーなど、ハイキングだけでもじつに魅力的&様々なコースをガイドしてくれます。この道27年の沼さんと一緒にヨーロッパの大自然に触れてみては?

*全ての画像は沼さん提供

スキーはいつから始めたのですか?

始めたのは6歳。本格的ではないけど、それから毎シーズン、スキーをしていて、高校卒業する頃には、スキーの道へ進みたいという気持ちが膨らんでいました。

オーストリア公認ハイキング・登山ガイドは、沼さんが日本人唯一なんですね。

私の前にも資格を取得した日本人はいたのですが、その当時は役所に公式登録することができなかったんです。EUになってずいぶん経ってから、EU圏外の人も登録できるようになったという経緯があります。私は、事情に詳しいオーストリア山岳連盟の会長に教えてもらい、早々に登録しました。

資格をとるために、苦労された点は?

最初は言葉が一番大変でした。でも資格をとるうちに、十分できるようになりますよ。専門用語もありますが、Ausbildung(資格講習)の講義の中にも出てきますし。

Ausbildungはどのくらいの期間を要するのでしょうか?

資格によって違いますね。スキーインストラクターは、地区検定が1週間くらいで、州検定は約40日、国家検定は約3ヶ月です。検定のレベルごとに新たな専門用語が出るわけではないので、基本さえ抑えれば大丈夫。ハイキング・登山ガイドは、夏季1週間、冬季1週間の合計2週間です。こちらは国家検定ではないので、Ausbildung費用がかかります。

ドイツ語はいつ学びましたか?

渡澳後、ドイツで2ヶ月間学びました。それだけでは習得できないので、テレビやラジオ、新聞などで。あとは地元の人とのコミニュケーションですよね。チロルだと方言がきついので、地元の人との会話の慣れは重要でした。

ガイドの際、オーストリアの自然や文化などガイドブックにない情報も紹介されますが、資格取得時に勉強されるのですか?

いえ、資格は技術的な部分のみなので、ガイド情報は日々メディアを通してです。山の国ですから、新聞に、こんな素敵なコースがありますよと定期的に出ますし、ラジオでも、どこどこの山小屋がよかったなど話の端々に情報があります。ホームページで調べることも多いですね。

また、地元の人たちや、Ausbildung中は一緒に試験を受ける人たちから、地元のおすすめ情報を引き出していました。横の繋がり、クチコミはやはり大きいです。

海外で何か資格をとりたい人へ向けてアドバイスは?

いや、もう、その質問たくさんくるんですよ。弟子にしてくれとか(笑)。

少し突き放した言い方かもしれないけど、海外で資格をとるだけでいいのか?を考えてほしい。その資格をとって何をしたいのか、そこに住んで1人でやっていくだけの覚悟があるのか、その資格をとるまであきらめないのか。

私たちが渡澳した90年代、挫折して日本に帰る人が結構いたんです。だからアドバイスするなら「やり通す覚悟をもつこと」でしょうね。

この仕事に就いて、よかったこと、やりがいは?

大自然を満喫しながら仕事をできるということは本当に感謝ですね。それと私は人が好きなので、人と接しながら、そういう自然の中にいられるというのは最高ですね。

この仕事に就いて、逆に厳しいなと思ったことは?

気温−25℃の中、スキーを滑らなきゃいけなかったとき(笑)。お客さんは決まった期間で来ているので、寒くても滑りたいというけれど、−25℃で風が吹いてたら体感は−30℃!このときばかりはこの仕事に就いて後悔でしたね(笑)。

沼さんがおすすめしてくれたドイツの山、Herzogstand。沼さんがガイドするハイキングコースはどういったもの?

Herzogstand (ヘルツォークシュタント)

お客様によって異なるので、一例になりますが、ロープウェー山頂駅からHerzogstand山頂の往復で、約5km、山頂での休憩を含めた約2時間半のツアーがあります。

Herzogstand (ヘルツォークシュタント)

整備された歩きやすい道、1人ずつしか通れない狭い道、時には木の根や石の上を歩きながら、ジグザグ山道を経て山頂へ。山頂に着くと、アルプスの隆起が始まるKochelsee、Walchensee、オーストリア・アルプスの山々と氷河、ドイツ最高峰Zugspitzeなど、360度のパノラマが広がります。

Herzogstand (ヘルツォークシュタント)

復路では山小屋のレストランで、アルプスの雰囲気を楽しみながら飲み物や昼食休憩を行います。付近に、高原牧場があるので、間近で草を喰む牛を見られる場合も。ツアーでは、実際の景色を見ながら、氷河期や氷河の話、ヨーロッパ・アルプスの解説をいたします。

Herzogstand (ヘルツォークシュタント)

沼さんの活動エリアであるオーストリアのおすすめの山は?

Seefelder spitze。チロル州のカルヴェンデルアルプスにある高さ2221mの山。初心者、中級者用の山で、急斜面になっているところもあり、登山の醍醐味を味わえます。こちらも山頂から360度パノラマの景色が楽しめます。

Seefelder spitze (ゼーフェルダースピッツェ)

Seefelder spitze (ゼーフェルダースピッツェ)

Seefelder spitze (ゼーフェルダースピッツェ)

プライベートでも様々な場所に行かれてますか?

自分が良いと思うところでないとお客様に勧められないので、いろいろ見に行きますよ。たまにヘッドランプつけて夜中に行くこともあります。写真が趣味なので、夜景を目当てに。寝袋持って行って仮眠とって備えたり…。好きなことなので、つい夢中になりすぎて、へとへとになったりしています(笑)。

山のベストシーズンはいつ頃でしょうか?

Seefelder spitze (ゼーフェルダースピッツェ)

365日、いつでもベストシーズンです!というのも、山で何をしたいか等によってベストシーズンは異なるからです。例えば高山植物を見たいなら、低山や高原牧場などは5月から、標高の高い山であれば6、7月。ピンクや黄色、青がかったカラフルな花が楽しめます。高山植物でも銀あざみなら夏から秋にかけてが見頃。華やかではないけど、素朴な綺麗さがあります。

とにかく山を歩きたい人は、日差しや気温が適度な秋がおすすめ。7、8月は夕立が多いけど、9月頃になると夕立の危険性が一気に減るんです。夏に比べて日照時間は短いけど、雷の心配がないとそれだけ長く滞在できるので、山歩きをさらに満喫できます。低山であれば10月もベスト。

冬は、スキーはもちろん、スノーシューハイキングなんかもできます。スノーシューは、雪の上を歩く歩行具で、日本でいうカンジキみたいなもの。それをスノーブーツに装着すると、ふかっとした雪の上でも沈むことなく歩くことができるんです。

冬は、狩猟協会が作った鹿の餌場があるので、そこに行って鹿が来るのを待つなんてのも面白いですよ。

マウンテンバイク、オートバイなどのツアーもされていますが、ほかにも企画がありますか?

ハーブハイキングや、村の外れから私が採ってきたハーブをオリーブオイルにつけるワークショップ。きのこ採り、ブルーベリージャム作りなど、豊富な企画をそろえています!

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