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ドイツのウェルネス・スパ施設 完全ガイド 分かりにくいドイツの施設名を解説!

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ドイツには日本語でひとくくりに「温泉」とは呼べない、多様なウェルネス・保養施設が存在します。名称の違いがわかると、どこへ行こうか旅の選択肢がぐっと広がります。今回はThermen・Bad・Kur・Spa の違いと浴場の種類などを詳しく調べてみました。
*当記事はNIPPONipvol.80からも一部抜粋しています

ドイツの施設名が「わかりにくい」のはなぜ?

ドイツに来て「温泉に行こう」と思い立ったとき、Therme、Bad、Kur、Spa、Heilbad……と様々な名前の施設が目に入り、どれがどう違うのか迷った経験はないですか。

日本では「温泉」「銭湯」「スパ」くらいの区別ですが、ドイツにはそれぞれ異なる歴史・法的根拠・目的を持つ施設カテゴリが存在します。

特に 「Bad(バート)」 という言葉は「浴場」「入浴」「温泉地」という複数の意味を持ち、単体でも地名の一部としても使われるため、混乱の元になりやすく、わたしたちを悩ませる単語の筆頭です。

この記事では、主要な用語を整理したうえで、実際にどんな種類の浴場が楽しめるのかを知ることができます。

もし、実際にスパ施設情報も知りたいと思った方は日本語フリーペーパー NIPPONip vol.80のドイツの夏 国内おすすめ スパ&ウェルネス特集もご覧くださいね。

主要5用語の違いを理解しよう!

まずは最もよく目にする5つの言葉から整理しましょう。それぞれ目的・歴史的背景・医療性の度合いが異なります。

Volksbad フォルクスバート 歴史的施設

「民衆の浴場」という意味。19〜20世紀初頭、自宅に風呂がない労働者階級のために建設された公衆浴場です。

現在は多くが歴史的建築物として保存・転用され、プールやイベントスペースとして活躍しています。

Therme(n) テルメ レジャー型施設

ラテン語の「thermae(古代ローマの公衆浴場)」に由来。現代では温泉・ミネラル温水を使った大型レジャー温浴施設を指すことが多く、プール・サウナ・ウェルネスゾーンなどを一体化した商業施設です。

ミュンヘン郊外の「Therme Erding」は世界最大規模を誇ります。医療的認定は必須ではなく、娯楽・レジャー色が強いのが特徴です。

Bad バート  総称・地名

最も広い意味を持つ語で「浴場」「入浴」全般を指します。地名として使われる場合は、州政府から公認を受けた温泉・鉱泉療養地であることを意味します。この「Bad」称号の取得には厳しい認定審査があり、簡単には名乗れません。

Kur クア 医療・療養型施設

「療養・治療」を意味し、医療的・健康回復的なニュアンスが最も強い言葉です。現在は「Medizinische Vorsorge und Rehabilitation 」医師の処方に基づく温泉療法・保養プログラムを指し、健康保険(Krankenkasse)の適用になる場合もあります。「Kurort(クアオルト=療養地)」「Kurpark(クアパーク)」といった形でも使われます。

Spa スパ 美容・高級型施設

英語・国際語として使われており、美容・リラクゼーション重視の施設を指します。語源はベルギーの温泉地「Spa」ですが、現代では高級ホテルや美容施設でよく用いられます。医療的な認定とは無関係で、価格帯も高めの傾向があります。

ドイツの温浴・保養施設の規模

ドイツはヨーロッパでも最大規模の「温浴文化」を誇る国のひとつです。ドイツ全国には 350か所以上 の公認Heilbäder(温泉療養地)とKurorte(療養地)、そして 450か所以上 の大小含むThermen(テルメ)が存在します。

「Bad」が地名につく条件

5つの用語のなかでも説明した「Bad」ですが、「Bad Homburg」「Bad Tölz」「Bad Reichenhall」など、ドイツには「Bad」で始まる地名が数多くあります。これは単なるネーミングではなく、厳格な認定制度に基づいた称号です。

「Bad」取得のためには、2段階プロセスで認定を受ける必要があります。

第1段階 州政府による「Kurort(療養地)」認定

まず、4つのカテゴリのいずれかで州の認定を受けます。

  1. Mineralheilbad(鉱泉療養地)
  2. Seeheilbad(海水療養地)
  3. Heilklimatischer Kurort(気候療養地)
  4. Kneippkurort(クナイプ療養地)

認定後は保険適用・Kurärzte(温泉療養医)の配置・Kurtaxe(保養税)の徴収が可能になります。

第2段階 「Bad」称号の申請

Kurortとして認定された後は、さらに別途「Bad」の称号を申請します。約200か所がこの称号を取得しており、取得後も基準を下回ると剥奪されることがあります。

ちなみに、 地名に「Bad」がつく街では、Kurpark(クアパーク=療養公園)が整備されていることがほとんどです。

入場無料またはKurtaxeを支払うことで、ミネラル水を試飲できるTrinkbrunnen(飲泉)や、整備された遊歩道・コンサートホールなどを楽しめます。

なかでも、2021年に「Great Spa Towns of Europe(ヨーロッパの偉大な温泉地)」としてUNESCO世界遺産にドイツの3都市が登録されています。

  • Baden-Baden バーデンバーデン
  • Bad Ems バートエムス
  • Bad Kissingen バートキッシンゲン

いずれも18〜19世紀にヨーロッパ貴族が保養に訪れた歴史ある温泉地です!機会があればぜひ訪れてみてくださいね。

「HeilBad」で入れる浴場の種類

ドイツのHeilbadは、州政府が医療効果を公式認定した浴場・地名です。認定された「Bad」のなかでも特に医療性の強い「Bad」の上位概念にあたります。

ひとつのHeilbadがすべての浴場種類を提供しているわけではなく、Kurortとおなじく、その土地の自然資源(鉱泉・泥・海・気候)に応じて専門化しています。

浴場の種類と地域の関係は、例えば、バルト海沿岸なら「Seebad+Thalassotherapie」、バイエルン山岳地帯なら「Thermalbad+Radonbad+Sauna」、黒い森(シュヴァルツヴァルト)なら「Moorbad+Solebad」、といった組み合わせが典型的です。

主要な浴場の種類をカテゴリ別にまとめてみました。

鉱泉・温泉系

Thermalbad
テルマルバート
温泉浴 20℃以上で湧出する温泉水。
温度自体が治療効果をもつ。
Mineralbad
ミネラルバート
鉱泉浴 天然鉱物成分を含む鉱泉水。
Ca・Mg・Naなど成分により細かく分類される。
Solelbad
ゾーレバート
塩水浴 高塩分の塩水を使用。
皮膚・呼吸器疾患、筋肉痛に効果。
浮力が高く関節への負担が少ない。
Jodsolebad
ヨードゾーレバート
ヨウ素
塩水浴
ヨウ素を含む塩水。
甲状腺疾患・動脈硬化の改善に用いられる。
Schwefelbad
シュヴェーフェルバート
硫黄泉浴 硫黄成分を含む。(日本の硫黄泉に最も近い)
皮膚・関節に作用。
Kohlensäurebad
コーレンゾイレバート
炭酸泉浴 CO₂を含む炭酸泉。
血管拡張・血行促進、循環器リハビリに有効。
Radonbad
ラドンバート
ラドン浴 微量の放射性ラドンを含む泉水。
抗炎症・鎮痛効果。100年以上の歴史!
Eisenbad
アイゼンバート
鉄泉浴 鉄分を多く含む赤褐色の泉水。
貧血・疲労回復・婦人科系に効果。

泥・有機系

Moorbad・Schlickbadを含む「泥浴」全般の医学的総称を、Peloidbad(ペロイドバート)と言います。

Moorbad
モーアバート
泥炭浴 湿原の腐植土(泥炭)を37〜42℃に温めた泥浴。
リウマチ・腰痛、婦人科疾患の療法に使われる。
Schlickbad
シュリックバート
海泥浴 海底・河口の泥(海泥)。
北海・バルト海沿岸のKurortに多い。

冷水・クナイプ療法系

クナイプ療法は日本でも有名ですね。19世紀にセバスチャン・クナイプ神父が提唱した自然療法です。2015年にはユネスコ無形文化遺産に登録されています。

Kneipp-Tretbecken
クナイプ・トレートベッケン
冷水
足浴
冷水の浅い水路を裸足で歩く。
クナイプ式の代表。血行・免疫促進。
Wechselbad
ヴェクセルバート
温冷
交代浴
温水(38〜42℃)と冷水(15〜20℃)を
交互に使い循環器を鍛える。

海水・海洋系

Seebad
ゼーバート
海水浴 北海・バルト海の海水浴。
潮風・紫外線・塩分が総合的に作用。
Thalassotherapie
タラソテラピー
海洋療法 Seebadより広義な療法。
海水・海藻・海泥を組み合わせた総合海洋療法。

温熱・蒸気(サウナ)系

サウナは意外にも、正式なKur療法の一部にあたります。心臓の弱い方や高齢者には温度が低めのサウナもあります。日本人には親しみあるダンプフバートは、ドイツ人の中では好き嫌いがはっきりしているようで比較的空いていることも多いようです。

基本は全裸・ドイツサウナを全力で楽しもう ドイツのサウナルールと種類
ドイツのサウナルールと種類に関する記事もご参考ください。独特な日本と違う入り方を事前にチェック!
Sauna
サウナ
温熱療法 80〜100℃のフィンランド式乾燥サウナ。
ドイツでは全裸が標準。
Dampfbad
ダンプフバート
蒸気浴 湿度ほぼ100%・40〜50℃のスチームルーム。
毛穴を開き発汗を促す効果。
Sanarium*
サナリウム
微温熱
療法
50〜60℃・中湿度。BioSaunaとも。
心臓が弱い方や高齢者向け。
Infrarotkabine
インフラロートカビーネ
赤外線
療法
40〜60℃の遠赤外線サウナ。
深部体温を上げ、慢性疲労・免疫強化に。
Tepidarium
テピダリウム
微温浴室 35〜40℃の温風部屋。
自律神経を整える効果。
* Sanariumは、Klafs社が商標登録しています。

吸入・気候療法系

ドイツには、Gradierwerk(グラディーアヴェルク)という、製塩設備があります。塩水を枝に滴らせ微細な塩の霧を発生させる野外の構造物で、この近くを歩くだけで吸入療法になります。ドイツでも最長コースなBad Dürrenberg(バートデューレンベルク)は観光地として有名ですが、Bad Reichenhall(バートライヒェンハル)のGradierhausがとても美しくおすすめです。

Inhalationsbad
インハラツィオーンスバート
吸入療法 塩水・薬草などの蒸気を吸入する療法。
気管支炎・喘息・花粉症に効果。


このほかにも、音で癒される施設や総合施設、レジャーと癒しが融合した新しいスタイルの施設もうまれてきています。ドイツ滞在中に「癒される日々と場所」が必要になったら、参考にしてみてくださいね。

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miau
miau
ドイツ在住歴15年以上。 知識は浅く広く、興味があることはその時々で違います。 
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