(6)給料は?ドイツの大学院を卒業する際の日本人の就活事情

ドイツの大学や大学院への入学は、ドイツでの就職を目指す人々にとって主要な登竜門の一つとして数えられていますが、卒業したからと言ってドイツの企業に簡単に入社できるわけではありません。大企業と呼ばれるドイツ企業への就職人気は現地のドイツ人にとっても高く、こうした応募者の中で頭一つ抜けた存在になることは勿論、応募方法も自分にあった方法を見極めることが重要です。

ドイツの大学院生の就職事情

ドイツの大学卒業生の約半数が大学院に進学すると言われており、学部時代に得た広範な知識を、大学院でさらに深掘りすることを目的としています。平均して卒業まで2~3年要することもあり、大学院を卒業した学生の初任給の期待値は高く、学部卒生の平均が月収2.900€(額面)であるのに対し、大学院生の月収は3.600€(額面)と言われています(Bachelor Studium)。

大学院卒業生の初任給の給料の分布図を見ても、年収40.000~50.000€のレンジに集中している傾向があり、パート職を除けばおおよそ35.000~55.000€のボリュームゾーンに収束します。

就職にあたって求められるのは大学で学んだことを活かせるフィールドであり、自身の専攻内容に紐づいた就職先を志望する学生が多いと言えるでしょう。

大学院生の就職活動とスケジュール

ドイツの大学院は例外を除けば2年で完了するカリキュラムとなっており、日本の学生のように必ずしも卒業と同時に職を始める必要性はありません。学生によっては、在学中に開始したインターンを通じて卒業と同時にそこに籍を置き始めるケースもありますし、卒業して2~3ヶ月じっくりと職探しをするケースもあります。

大卒者の職探しにかかる時間は平均して3ヶ月~6ヶ月と言われているため、タイミング的には最終セメスターを用いて卒論の執筆と並行しておこなうことが多いでしょう。逆に、それより早いタイミングで始めてしまうと、今度は「卒業が先過ぎるよね」ということで内定を取りずらい事態を招きます。

また、採用が早期に決まりやすい学生の傾向として「在学中にインターンをおこなっていた」というものが挙げられます。採用企業側からしても、在学中に既に業務に携わった経験があればその分パフォーマンスが担保されるということで、大きなアドバンテージとなります。

そのため、就職活動自体は最終セメスターからのスタートでも十分ですが、それまでに1~2社でインターンをしておくと良いと言われます。

どこで就職活動をおこなうのか?

一般的に、大学生・大学院生は一般的な職探しをおこなっている人々よりも求人へのリーチという面でアドバンテージを持ちます。一方で、自発的に就職活動をおこなわなくてはいけない態度に違いはないため、以下のような方法を用いて自分に適した仕事を探すこととなります。

就職ポータル

ドイツの学生が職探しするにあたって一番大きなウエイトを占めているのがMosterやIndeedのような就職ポータルで、それぞれの企業に対しカバーレターや履歴書を直接送り、人事担当者からの返信を待つスタイルの就職活動です。重複もありますが、全体の80~90%の学生が就職ポータルを用いた就活をおこなっていると言われます。

ドイツの大学院卒で、かつ応募要件をクリアしている場合、こうした就職ポータルを活用した就職活動であっても現地の学生と肩を並べて戦うことが可能で、何のバックグラウンドも無しに応募をおこなうよりは返信率が高いと言えます。とはいえ、既卒も含めたドイツ人の就活の主戦場と化しているため、多くの企業への応募は必要となります。

もし就職ポータルでの面接通過が難しい場合、インターンなどからキャリアを始めるのも手段の一つでしょう。

就職向けポータル

  • Monster
  • Step Stone
  • Indeed
  • Glassdoor

新卒向け就職ポータル

  • Absolventa
  • Jobteaser

Xing、LinkedIn

ソーシャルメディア系の就職ポータルとして、ドイツではXingとLinkedInの二強状態が続いています。行えることは就職ポータルと同じで、基本的にはオンラインを通じた応募がメインとなります。

LinkedInの特徴として、第一次、第二次知り合い、といった形で繋がりの繋がりを辿ることも可能です。古風な手段ですが、知り合いがお目当ての会社で働いている場合、ダメもとで社内の空きのポジションを紹介してもらう、というのも場合によっては効力を発揮します。

大学の掲示板やイベント

大学院では頻繁にJob Messeといった就職説明会が開催されます。有名大学院であれば大手は勿論のこと、上記のような就職ポータルでは余りお目にかからないような地元の優良ホワイト企業の募集もなされることがあり、こうしたイベントや掲示板を通じての応募は大学院生の特権と言えるでしょう。

最も、就職説明会に出たからといって就職活動が有利になるといったことはあまりなく、あくまで情報収集の一環として機能する、ということを理解しておく必要があります。

大学内でおこなわれる就職説明会
(C)Flicker Paris Lodron Universität Salzburg

人材紹介会社

日本人の場合、現地の学生と違って就労ビザや言語の壁があると見なされ、書類選考の通過や内定は長い道のりであることが考えられます。また、折角ドイツの企業に合格しても、文化の違いや言語の壁から試用期間を乗り越えられずに退職してしまうケースも少なくありません(試用期間でのなんらかの理由での退職は全体の2割程度と言われています)。

ドイツ在住日本人の就職を支援する現地のエージェント会社も少なからず存在しており、こうした会社を介しての就職活動は、日本人就職者にとって馴染みやすい在独日系企業へのアプローチに向いていると言えるでしょう。

おススメ日系転職エージェント:

就職ポータルや就職説明会などは、あくまでドイツ人の学生を対象にしていることが少ないため、本当の意味で自分に適した仕事を見つけたい場合、こうした人材紹介会社を利用するのも一つの手と言えるでしょう。




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