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あなたは中流階級?富裕層?人口割合別ドイツの年収

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ドイツの統計データによると、ドイツにおける正社員(フルタイム)の年収の中央値は52,159EUR。これは日本円に換算すると910万円に相当します。
日本円換算すると高額に思えますが、実際のところ50,000EURは「中央値」であり、ドイツ社会における中流階級に属することとなります。

注:Stepstone社のデータによると中央値は45,800EURであり、6,000EUR近い乖離があります。データの出どころによって「正社員」等の定義が異なるため一律にはなりませんが、ここではドイツ連邦統計データを参照します。
※本稿内では1EUR=175円で計算されています

ドイツにおける「中流階級」の定義は「中央値の80%~150%稼ぐ人間」とされており、ここがいわゆる全体の60~70%近くを占めるボリュームゾーンとなります。

ドイツ経済研究所の定義では、中央値の60%以下の収入の場合貧困リスク水準にはいるため、2024年の給与統計を参考にすると年収額面で30,000EUR以下がこれに該当することになるわけです。

一方で、ドイツ社会全体で約10%といわれる「富裕所得者層」は全体のフルタイム雇用者の10%に該当するとされており、年収換算すると100,000EURに当たります(日本円で1750万円相当)。

ドイツ経済研究所 (IW)の定義を元に著者作成
階層 定義 年収(額面)
貧困リスク 中央値の60%以下 30,000EUR以下
中流階級 中央値の80%~150% 40,000~75,000EUR
富裕層 全体の上位10% 100,000EUR以上

手取り

ドイツは累進課税が設けられており、所得税は課税所得額に応じて上昇していきます。そのため、ドイツの年収上位1%水準(日本円で年収3500万円程度)の場合、そのほぼ半分が社会保障費や税金で差っ引かれることになるわけです。

ドイツの所得分布(2024年)
割合 額面(Brutto) 手取り(Netto)
上位1% 213,286EUR 約 133,000EUR
━━━ 富裕層の壁 ━━━
上位10% 97,680EUR 約 65,500EUR
上位20% 77,105EUR 約 52,600EUR
━━━ Versicherungspflichtgrenze(保険義務免除限度額)の壁 ━━━
上位30% 65,843EUR 約 45,400EUR
上位40% 58,214EUR 約 41,000EUR
上位50% 52,159EUR 約 37,518EUR
━━━ フルタイム正社員の中央値の壁 ━━━
下位40% 47,244EUR 約 34,600EUR
下位30% 42,700EUR 約 31,900EUR
下位20% 37,944EUR 約 28,900EUR
下位10% 32,526EUR 約 25,400EUR

職種と求められるスキル

もっとも、上記のテーブルにおいて自身の年収が中央値以下である場合でも、必ずしもスキルが足りないことや今いる会社の待遇が悪いとは限りません(※上述の通り、ドイツ連邦の統計データは上振れの可能性があります)。

まず、ドイツの収入基準は以下のようなファクターに大きく左右されることに注意が必要です。

1)地域

有名な話ですが、旧東ドイツと旧西ドイツとでは未だに賃金格差があります。特にミュンヘンを要するバイエルン州やヘッセン州と、旧東ドイツのザクセン州などでは平均年収に10,000EUR近い乖離があります。

賃金が高い分、フランクフルトやミュンヘンといった大都市では、「ヨーロッパ随一」と呼ばれるほど家賃や生活費も高い傾向にあるため、「給料が高い地域に住む=生活水準が高い」ではないことに気を付ける必要があります。

2)業種/職種

こちらも有名な話ですが、金融、IT、コンサル系の業種は軒並み給与水準が高い傾向にあり、福祉や小売り、物流などと比べると10,000~20,000EUR近い乖離があります。ドイツの場合、専門職採用が多いため一度決めた業種・職種から別の形態に移行することは中々難しいでしょう。

最初の職選びが将来的なキャリア形成に密接に結びつくため、慎重に行う必要があります。

3)勤続年数

同一業種・職種における勤続年数がも、給与水準を決定する重要な要素になります。日本でも同じことですが、新卒から給与テーブルがスタートして、実績を重ねるごとに給与アップしていくことになります。

注意しなくてはいけない点が。日本人が日本からドイツに転職する場合、その給与テーブルがまた最初からやり直しになることが多いという事実です(一方、日系企業への転職の場合その乖離が少ないというデータもあり)。

そのため、ドイツ移住後に日が浅い場合「40,000~50,000EUR」といった、上記のテーブルに照らし合わせると一見「低い」水準に見て取れますが、これは実力や会社の問題というより、業務経験の問題と割り切る必要があります。

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