ドイツでは約5%前後が本業の他に副業を持っていると言われています(ドイツ連邦統計局)。日本人でドイツで働いている人の中にも、本業とは別にリモートやYoutubeなどの運営で副業収入を得ている人が少なくありません。
年々身近になりつつある副業ですが、何も知らずに始めてしまうと法律違反を犯してしまい、巨額の罰金を支払うことになるかもしれません。本稿ではドイツでの副業について解説していきます。
ドイツの会社で雇われて普通にサラリーマンとして働いているが、スキルアップや給与アップのために副業をおこないたい・・そんな場合、どのような手続きが必要になってくるのでしょうか?
ドイツの場合、副業に際して一般的には会社への通知義務もないですし、税クラスが変わるわけではないので通知しなくても会社に知られることがありません。社会通念上の範囲として、本業に影響を与えない範囲での副業はOKとされています。
ただし、以下のような条件の場合、副業を開始する場合には注意が必要です:
1 就業規則や労働契約書に「副業」に関する記載の有無
会社によっては「副業」を始める際には申告をおこなわせたり、規制を設けているところがあります。契約書にこのような取り決めがある場合、会社に一言伝える必要があります。
2 競業の場合
ドイツの民法や業務法は、雇用主への忠実義務を定めています。この法律に則り、本職の市場や製品を脅かすような副業は法律違反となります。もし自身で判断がつかない場合や、グレーだと思う場合は会社に確認することが安全でしょう。
3 労働時間法に抵触しないようにする
副業も労働の一部なので、本業と副業を足した時間でドイツの労働時間規制に引っ掛からないようにしなくてはいけません。
ドイツの労働法は厳格で「一日の労働時間は8時間(例外あり)」「一週間の労働時間は48時間(例外あり)」「勤務終了後に休息を確保」などの取り決めがあり、違反すると従業員・雇用主に対してそれぞれペナルティが課せられることがあります。
そのため実際に副業しようとすると「土曜日」や「平日の早朝」などのスケジュールにあわせ、労働法に抵触しないようにおこなう必要が出てくるのです。
4 就労ビザの種類
日本人がドイツで本業を持ちながら副業する場合、「就労ビザ」の種類によっては問題を引き起こします。例えば特定の会社名に紐づく「一般的な就労ビザ」の場合、特定の会社において特定の就労に従事することが条件で就労ビザが認可されていることから、副業を行う場合は外人局の許可が必要になります。
ドイツは脱税に対して非常に厳格なルールを設けている国なので、副業をする際には特に注意が必要です。フリーランサーとして仕事をする場合と、ドイツに雇用主が居る場合(バイトなど)とで税金に関しての申告方法が変わってきます。
1)フリーランサーの場合は確定申告が必要になるので、事業に先立って事業登録をおこない、事業用税番号を発行してもらいます。税務署の認可を持って始めてフリーランサーとしての活動が可能になります。確定申告は毎年一度、必ず行う必要があります。
2)一方でカフェなどのバイトの場合はオーナーが定額税を支払うため、確定申告は不要となります(金額が大きくなると源泉徴収となるが、これも本業と副業の合算作業は税務署側でおこなう)。