EUブルーカードとは、EU域外出身の高技能人材が、EU加盟国で働くための長期就労滞在許可です。
名前のせいで誤解されがちですが、EUブルーカードは発行されたからといってEUの他の国に自由に移動できるわけでは無く、あくまで発行された国に紐づくという点に注意が必要です(※これは、他の就労ビザにおいても同様で、ドイツで発行された就労ビザはあくまでドイツ国内での労働に紐づいています)今回はEUブルーカードと通常の就労ビザの違いなどについてご説明します。
では、EUブルーカードと通常の就労ビザの違いは何かというと、EUブルーカードの方は「高技能人材」にのみ支給されるという点で、それによって永住権取得までの年数が大幅に短縮されています。
| 項目 | 就労ビザ | EUブルーカード |
|---|---|---|
| 対象 | 一般的な就労目的 | 高技能人材 |
| 年収制限 | 緩い | 厳格 |
| 永住権獲得まで | 60ヶ月 | 21~27ヶ月 |
| 取得難易度 | 難しい | 簡単 |
ドイツで永住権を得ると、社会的な信頼性が大きく向上します。就労ビザの紐づきを離れるので、自身での起業やフリーランスとしての活動が自由におこなえたり、銀行のローンや不動産購入などの審査も通りやすくなります。こうした恩恵に預かれるため、永住権はドイツへの移住を志す移住者にとっては夢のチケットであり、EUブルーカードはその永住権取得のための要件を大幅に縮める特急券のようなものなのです。
大学学位を所有しており、かつ大学の学位と職種の整合性があることが前提になります。
ただし例外規定があり、ITであれば学位ではなく実務経験が重視されることとなります。この場合は過去7年間で3年以上のIT実務経験が求められることとなります。
2026年現在、50,700€以上の年収に適用されます。
ここにもいくつか例外規定があり、まずドイツで不足職種と見なされている職種であればこの年収を下回っていても申請が可能です。具体的には、医師、生産マネージャー、建築、などの業界が挙げられます。
| 分野 | 主な職種例 |
|---|---|
| IT・デジタル | ソフトウェアエンジニア、ITアーキテクト、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ |
| エンジニアリング | 機械エンジニア、電気エンジニア、電子エンジニア、自動車エンジニア、産業エンジニア |
| 自然科学 | 数学者、物理学者、化学者 |
| 医療 | 医師、歯科医 |
| 看護・介護 | 看護師、介護士 |
| 建設・インフラ | 建設エンジニア、土木技術者 |
| 教育・研究 | 大学研究者、STEM分野研究職 |
同様に、新卒(卒業から3年以内)であれば年収制限が緩和されます。
(※年収要件は毎年更新されるので注意が必要)
あとは、上記の2点を満たす雇用主をドイツ国内で見つければブルーカード申請の準備は整います。ドイツ国内であれば外資(在独日系企業等)であっても問題ありません。
EUブルーカード申請の方法は、ドイツにおける一般的な就労ビザの申請と似ています。
最初におこなうべき行動は「ドイツで上記の条件を充足する雇い主を探すこと」であり、外人局は雇用契約書が無いと審査を先に進ませてくれません。
もっとも、ドイツの企業の多くはそもそも労働許可証があることが前提で面接を開始することが多いので、ここで一つのジレンマに陥ります。求職者側は先に内定がないとビザを申請できませんし、会社側はビザを取得している求職者でないと面接をしたくありません。
そのため、転職エージェントなどを通じてこうしたジレンマを解決する方法が推奨されます。
一度雇い主を見つけ、労働契約書さえ確保できればあとは外人局にいって申請をおこなうだけです。この際に、仮の就労許可証を支給してくれることもありますが、あくまで裁量は個々の外人局に委ねられています。
EUブルーカードは個別審査で行われるため、個々の審査官にその裁量が委ねられます。上述の要件を全て満たしていたとしても、落とされる確率は低くないのが現状で、実際に申請をおこなった日本人の中にも審査で落とされた声が上がっています。
散見される要因としては、学位と職種の不一致です。例えば経済学の学位をもっていて、エンジニアの職種を得ている、等の場合、いくら不足職種であっても審査官から難色を示されることがあります。
また、ドイツの労働市場の公平性を保つために、明らかに市場の平均値と乖離した年収などでの申請は弾かれる可能性が高いと言えます。EUブルーカードや就労ビザの通りやすさのためにわざと年収を吊り上げたようなJDは認められず、審査ごと弾かれることになります。