【要注意!】ドイツの労働契約書で目を通す必要がある文言

契約書文化であるドイツにおいて、労働者の権利を守る盾となりえるのは「労働法」と「労働契約書」です。逆に言うと、労働契約書で不当な契約を結んでしまっている場合、違法でない限りそれに従う義務が生じることになります。
特に、ドイツの労働文化や労働法に詳しくない日本人の現地就職者はこうした手口に引っかかってしまい、ドイツの雇用者に不当に扱われてしまうことがあります。
本稿では、現地で内定を貰ったら必ず目を通さなくてはいけない「労働契約書」の特に注意しなくてはいけない部分について紹介していきます。

業務内容と勤務地(Tätigkeit und Ort )

ここでは、採用面接の際に同意した仕事内容及び勤務地、または将来的な転勤や移転の可能性などについて触れられています。

業務内容や勤務地は、自身の生活や将来のキャリアプランにも密接に関わってくる部分のため、この記述にあたって面接で触れた内容と異なる場合注意が必要です。

注意しなくてはいけない場合

  • 自身の希望と異なる職務が記載されている場合
  • 「雇用主は、勤務場所をいつでも自らの裁量で変更する権利を留保します」といった文言が記載されている場合
  • 「労働者は、内容や資格に関わらず、雇用主が指示したすべての業務を遂行する」といった文言が記載されている場合

特に勤務場所に関しては雇用主の都合で他州や海外に配置転換になる場合など、実生活に大きな影響を及ぼすことになってきます。必ず目を通すようにしましょう。

 契約期間(Vertragsdauer)

企業側は最大半年の試用期間を設けることが可能であり、この期間内は試用期間後と比べると比較的容易に解雇をおこなうことが可能です。そのため、一般的な労働契約では最初の半年は試用期間となっていることが多く、契約書にもそのように盛り込まれています。

問題は、その試用期間のあとの取り決めで、速やかに「無期限雇用」に切り替えられるのか、有期短期契約(例えば、1年ごとに更新の取り決め)で延長されるのかという点です。

※短期契約の延長が認められるのは2年まで

労働者側からしたら無期限雇用のほうが良いですが、会社側からすると有期雇用のほうが更改のタイミングで契約非更新を切り出せるため都合が良いため、しばしば契約締結時の争点となります。

特に、日本人がドイツで就職する場合、無期限雇用であるか短期雇用の延長であるかは大きな違いになり、後者の場合何度も外人局に行く必要があるため、可能であればそのまま無期限雇用にしてもらえるよう交渉したいところです。

労働時間(Arbeitszeit )

1日8時間、週5日で合計40時間という記載方法が多いですが、最近の傾向として、週38時間、あるいは38.5時間勤務としている会社も見受けられます。ドイツの労働法によって、週ごとのMAX労働時間や残業時間は縛られていますが、その時間をどのように割り振るかは労働契約書に準じるところが多いと言えます。

そのため、休憩時間や週の労働時間の割り振りを会社側がおこなっているような契約書には注意が必要です(※ただし、コールセンターや工場、接客業などシフト制の仕事は時間を雇用者が割り振ることが通例。)

休暇(Urlaub )

週に5日のフルタイムでの仕事の場合年間20日の法定の有給休暇が保証されていますが、これも労働契約の記載事項によっては取得が困難になったりします。

また、法定最低有給は20日ですが、一般的なドイツ企業はそれ以上の有給を提供していることが多いため、20日というオファーは余り魅力的でないと言ってよいでしょう。

注意しなくてはいけない場合

  • 有給日数が法定日数ギリギリの20日に定められている
  • 一部の月や期間に休暇を取れないような文言が含まれる
  • 有給の申請が3ヶ月前など、長いスパンで設定されている

給与(Arbeitsvergütung )

月(または年)の額面(Brutto)での給与支給額が記載されます。この項目には、残業代やボーナスに関する規定も同時に記載されていることが多く、労働契約書の中でも特に目を通しておかなくてはトラブルを招きやすい項目となります。

注意しなくてはいけない場合

  • 自身の用いないサービス(食事など)に対し控除が発生する
  • 試用期間中の給与が減額されている
  • 将来的な昇給について明言されていない

こうした契約にまつわる落とし穴は、ドイツでの日本人の就職・転職を困難にしている要因の一つと呼べるでしょう。「ドイツで転職エージェントを用いた就職活動の流れ」で紹介している通り、こうした契約書周りの自身が無い場合、現地のエージェントを介してアドバイスを得ながら就職活動をおこなうことも方法の一つです。




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