(3)ドイツ大学院の応募方法と日本人が見落としがちな注意点

将来のキャリア、昇給のため、ドイツの大学生の約半数が大学院に進学すると言われています。日本人の中にもドイツでの就職がしやすい大学院進学を目指す人が増えていますが、出回っている情報が限られているため、試行錯誤をおこなって手探りで作業を進めていく必要があります。

応募方法

大学院の応募方法はそれぞれの大学によって異なりますが、以下に示すような方法が一般的です。
募集基準を満たしたうえで、募集期間と呼ばれる期間中に応募をおこない(複数への応募が可能)、1~2ヶ月試験結果を待ったうえで、入学を許可される、といった形です。

募集期間

大学院の開始時期は「夏セメスター(4月開始)」と「冬セメスター(10月開始)」が存在しており、どちらからスタートしたいかによって応募締め切りが異なります。

  • 夏セメスターの締め切り:12月~1月頃→4月入学
  • 冬セメスターの締め切り:5月~6月頃→10月入学

大学や学部によって差はありますが、セメスター開始の3~4ヶ月前くらいが締め切り目安の一つとして見なされるでしょう。

(C) Flicker_Tim Bartel
夏セメスターは多くの生徒でにぎわう

必要書類

必要書類の種類は、学部、大学によって大きく異なります。応募要項に沿って、基本的には以下のような書類を提出することとなります。

  • 履歴書
  • 高校の卒業証明書
  • 大学の成績証明書
  • 大学の卒業証明書
  • 教授などの推薦書(必要であれば)
  • 職歴の証明(必要であれば)
  • 語学の証明書(必要であれば)
  • その他資格の証明書(必要であれば)

注意点1
原則、書類は全て英語、またはドイツ語翻訳されている必要があります。仮に原本が日本語しか手に入らなかった場合、公的認証を持つ翻訳家のもとで翻訳作業をしてもらうこととなります(高額なので注意)。

注意点2
証明書の一部は「beglaubigt kopie」として、「原本の確固たるコピー」であることの証明付きでおこなう必要があります。ドイツでは、一部の大学のサービスや公証役場でおこなわれたり、日本では大使館などでもおこなえます。

注意点3
ドイツ語で履歴書を提出する場合、書き方に注意が必要です。例えば、GPAに関して、ドイツでは「1」が最高で、アメリカ式の「4」が最高となるGPAの計算方法とは異なります。また、履歴書も「一番新しい職歴が一番前に来る」と日本の履歴書とは順序が逆になる点に注意が必要です。

注意点4
どの科目でクレジットポイント(単位)取得をおこなったかを説明する必要があり、その場合シラバスも英語のものを提出する必要があります。シラバスの英語訳が無い場合、自身で翻訳をするなどしなくてはいけません。

書類の提出方法

郵送、またはオンライン上で行われます。ドイツの郵便は他ヨーロッパ国に比べて信頼度は高いものの、遅延や紛失なども十分起こり得るため、トラッキングをおこなうことをお勧めします。

結果の通達

郵送でおこなわれることが多いため、返送住所は必ず連絡のつくものを使用する必要があります。特に、ポストに自分の名前が明記していない場合郵便物が届けられないこともあるので、必ず自分の名前をポストに残しておきましょう。

選考後の流れ

締め切り日から1ヶ月くらいを目安に、合格通知が届くこととなります。夏セメスター開始の私の場合、7月頃合格通知が届きました。さて、その後10月の入学までには3ヶ月しか残っていないため、ここから様々な手続き準備を迅速に片付ける必要があります。

学費(セメスター費)の支払いと入学手続き

学部、大学によって条件は異なりますが、一般的にセメスター費の支払いや入学承諾のサインをおこなった書類送付をもって入学手続きが完了されます。締め切りがタイトなスケジュールで設けられているため、第一志望の大学院に合格したら迅速に手続きを済ませましょう。

住所登録

ドイツ外から応募した場合、まずはドイツにおける住所の確保が最重要課題となります。健康保険、学生ビザの申請、などの下準備としてもまずは住所が無いと何もはじまらないため、WG(シェアアパート)、アパートを問わずドイツにおける賃貸契約をおこないます。

2024年現在、ドイツの大学寮は生徒数超過で極めて入りづらい状態が続いており(入れたとしても1年待ちなど)、基本的に住居は自身で確保することとなるのですが、この難易度が極めて高いと言えます。

収入の無い学生、かつ外国人という立場から大家によっては賃貸契約を結ぶことに消極的であり、多少割高な人気のないアパートやWGを借りることとなります。

(C) Flicker_Marcus Bleil
生徒数超過が続くドイツの学生寮事情

学生ビザの申請

私の大学院の場合は大学院側が外人局とのアポを結んでくれましたが、都市によっては自分で外人局と交渉をおこなわなければいけません。大学から発行される入学許可証、およびビザの申請書類、申請手数料、写真、などを用いて申請をおこなうこととなりますが、そもそものアポ取りに数週間かかることがあり、自分で申請が必要だと分かったら速やかにアポ取りをおこなっておく必要があります。

学生グループに参加

マストではありませんが、入学後の同級生とのコミュニケーションを円滑にするうえで、Facebookなどで募集されている同級生グループに入会しておくことが推奨されています。大抵の場合、入学前の期間や、入学直後の1週間などを用いて大々的な入学イベントが開催されており、友人などを作るチャンスです。

こうした同級生のつながりは、在学中の試験勉強や、就職活動の情報収集といった要所要所で重要になってくるので、早めに行動をおこなっておくと良いでしょう。




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