「ドイツで人材紹介会社を用いて転職した経験談」の記事でも記載した通り、私はドイツ企業に就職したものの、企業文化が肌に合わずドイツ日系企業への転職活動をおこないました。その際に使用したドイツの人材紹介会社、Career Managementのレビューをおこないます。
Career Managementについて
Career Managementは1999年に設立されたドイツの人材紹介会社です。設立20年を超えるドイツの人材紹介会社の中でも老舗の会社で、特にドイツ日系企業への就職・転職に大きな実績を持ちます。
同社では、基本的に応募者側は無料で以下のような転職サービスを活用することができます。各国のコンサルタントが勤務しており、日本語でのサービスも望めば可能なアドバンテージを持ちます。
Career Managementの応募者へのサービス内容:
- 自身のスキルや実績に即したドイツの転職先の紹介
- 面接時のアドバイス、コンサルティング
- 就労ビザなどドイツでの転職に関するアドバイス、助言
私は最終的にCareer Managementを通じて大手ドイツ日系企業(メーカー)の内定を得たため、その時の体験談を以下に記載していきます。
転職活動のきっかけ
私がドイツ企業での勤務に見切りをつけ、ドイツの日系企業への転職活動を始めたきっかけは以下の通りです。
あまりに結果主義的
ドイツ社会全体に共通するパーソナリティですが、基本的に会社の評価は「プロセス」ではなく「結果」によって為されます。私が当時ドイツ企業に勤めていた際はコロナの影響で特に国内市場(ドイツ国内)以上に海外(ドイツ国外)ビジネスは打撃を受けていましたが、そうした事情が勘案されず、担当者の責任とされるなど体験しました。
社内のドイツ人との交渉の難しさ
ドイツ人とのビジネスを経験した人であれば想像することが易いと思いますが、「謝らない」「主張が強い」「批判が強い」という傾向を持ち、調和を重んじる日本人とは異なるタイプの動きをします。こうしたドイツ人との交渉事は、単に言語(ドイツ語や英語)が話せるというだけでは不十分で、どうしても批判されても自分の意見を曲げずに貫き通せるか、という姿勢が必要になってくるのですが、私にはどうしてもそれに慣れることができませんでした。
対応がドライ
ドイツ企業は合理的であるため、「儲けにならない顧客は切る」というスタンスを度々貫きます。2019年のコロナ禍は特にそうしたドイツ企業の性格が浮き彫りになった転換期で、私の勤めていた企業も含め、一部の企業は困難な局面を乗り切るために利益率の低い製品や顧客を切り捨て、体制の立て直しを図ることとなりました。営利企業である以上仕方ない側面がある一方、挨拶もそこそこに契約を打ち切るなど、そのドライで一方的なやり方には疑問を覚えました。
転職活動のプロセス
転職活動は、一般的には「退職届を出す前」にスタートすることが良いとされており、私もそのやりかたを用いました。一度ドイツで無期雇用契約を得たら企業側は簡単には解雇できなくなるため、わざわざリスクを冒してこの無期雇用契約を手放すより、先に新しい雇用先を探してから辞める流れが無難と言えます。
1.人材登録
Career Managementを通じての転職活動は、「人材登録」のページが起点となります。このページ内の「求人に応募」をクリックすると履歴書のアップや自身のコンタクト番号の登録などがおこなえるため、指示に従って先に進みます。自身のプロフィールを埋めると、1~3営業日くらい後に人材コンサルタントの方から連絡がきて(私の場合はメールでした)、オンラインを用いたミーティングのプロセスに進みます。
2.リクルーター面談
リクルーターの方からの面談は約30分+アルファ、といった印象でした。オンラインでもカメラ無しや電話でも良い、といった形でしたが、私はオンラインを選択。特にスーツの必要などは有りません。
リクルーター面談で聞かれたこと
- 簡単な自己紹介
- 履歴書の補足的な内容(特に前職について、自分のスキルについて、等)
- 前職の給与、次回の会社に求める給与
- 興味のある業界
- 語学のレベル(英語、ドイツ語、どれくらいイケるか)
これらは全部がリクエスト通りにいくかどうかは別として、一応真剣にこちらの要望をヒアリングしてくれる印象です。実際の採用担当者との面接ではないのでそこまで固くなる必要はなく、どちらかというとフレンドリーな感じで終始聞き役に徹してくれました。
企業面談
リクルーター面談後、人材登録時に提出した履歴書の情報と併せて私にマッチしたような企業をコンサルタントさんが探してくれます。私の時は大体リクルーター面談から数えて1週間くらいでコンサルタントさんから、希望にあうような求人案件が見つかったけど、という連絡がきました。
この時点で、私のほうには具体的な企業名とポジション詳細が開示されます。この条件を見て私にはこの面談を受けるか断るかの選択肢があるわけですが、私は面白そうな求人だったので面接に挑戦したい意向を伝えました。
さて、この企業面談とは、前回のリクルート面談とは違って、実際の企業の採用担当者とおこなう本番の面談です。そのため、スーツ姿でおこなう必要があります。
採用面接で聞かれた内容
- なぜドイツに来たのか
- ドイツに来る前は何をしていたのか
- ドイツでどんな業務内容してるのか
- ちょっとドイツ語でプレゼンしてみて
- 将来ずっとドイツいるの?
- 今就活してる理由は?
- なんでドイツ企業辞めて日系企業にくるの?
40~50分の受け答えで、面接は終了でした。ただ、ヒトによっては長い場合も短い場合もあるようで、面接の回数も1~3回と幅があるようです。合否に関しては後日担当のコンサルタントを通じて伝達されることとなります。
内定とその後
さて、面接後1週間くらいのスパンで結果がコンサルタントさんから言い渡されます。内定が出たことを電話で伝えてもらって後、その後は「労働契約書」のような諸雑務の話に進みます。
就労ビザや労働契約書に関して、Career Managementさんは助言はしてくれますが、代行はしてくれず、あくまでサインをしたり足を運ばなくてはいけないのは自分であるという点に注意は必要です。
Career Management社の評価
最終的に内定を貰えることとなったので個人的には大満足なCareer Managementさんのサービスでしたが、以下に個人的に思うところのあった「良かった点」と「悪かった点」をまとめていきます。
良かった点:
- 無料
- 親切、話しやすい
- 自身の受かるであろう会社をフィルタリングしてもらえる
- 就労ビザや労働契約書のアドバイスが貰える
そもそも応募者側は無料のサービスなので、失うものがないというのが大きなメリットです。とりあえず登録だけしてみて、気に入らなければやめる、という技が使えます。また、業務柄基本的には「こちらの強みを引き出す」という聞き役に徹してくれるので、終始お話ししやすい印象でした。
悪かった点:
- リーチできる求人が限られる
- 全ての希望がかなえられるとは限らない
これは人材紹介という業態的にしょうがない部分があるかと思いますが、リクルーター面談で話した通りの希望がかなうわけではありません。あくまで私の意見を組んだうえで、先方側で「希望に近いであろう」案件を紹介されるわけです。
会社に関しても「あの企業が良い」「この企業が良い」という希望でが通るわけではなく、あくまでCareer Managementさんの持っているネットワークの中から最適解であろう求人を紹介されるだけ、という点を覚えておく必要があります。