日本では随分少なくなってきたシラミ(アタマジラミ)ですが、ドイツでは季節を問わず、年に数回は発生する身近な感染症のひとつです。 主に乳幼児のグループ、幼稚園や小学校で発生しますが、当然一緒に生活していると大人にもうつってしまう厄介なもの。 ドイツ国内のシラミ感染予防の方法や薬、クシの購入方法について調べました。
Kopfläuse シラミとは?
実に550万年もの昔から、人の頭に感染していたとされ、インドのミイラやからも、アタマジラミが発生していたことが知られています。
シラミ自体は遠くへ飛んだり、わざわざ頭部から移動して別の人の頭に移動する生物ではありません。 また、怖い病気を媒介したり、生活を脅かす類のものではありませんが、繁殖力は案外強いため頭部(髪)が触れるタオルや枕、水泳など水を介して感染していきます。
そのため、お昼寝やハグの多い(頭部が触れ合う)機会の多い幼児・小児期に多い感染症として知られています。
どうしてシラミがこんなに発生するの?
シラミはとても小さく、見逃しやすいことが理由の一つです。 成虫になるまでは本当に小さく、明るいところで虫眼鏡などで見なければ見つかることは少なくありません。 また1匹だけ感染しても頭部全体に蔓延するまでに数ヶ月ほどかかってしまうので、蔓延してから気づくことがほとんどです。
そして、よく知られる「頭が痒くなる」現象は、蔓延したシラミたちが頭部の血を吸った際に入る唾液のようなものが痒みを発生させます。 噛まれるまでは痒みが発生しないため、たった数匹程度では「ちょっと頭が痒いかな?」程度のため、気づかないことが多いのです。
また、数人に1名は全く痒みを感じないことも研究によって調べられているので、蔓延していてもかゆみはなく、気付かない間に他の人に感染していくため幼稚園や小学校などで大発生になってしまうようです。
ドイツ国内の幼稚園や幼児グループは特に、お昼寝時間で感染が増えることがひとつ。 子どもたち同士や、子どもと大人の距離も近いことも髪から髪へ、シラミがうつりやすいのかもしれません。
また冬は一定の年齢層が学校が始まる前に泳げるように水泳レッスンを行ったり、小学校の水泳授業が行われたりもしません。 そのため、冬季にも幼稚園などで発生が見られるのかもしれません。
ちなみに水中でもシラミはプールの塩素では死なず、数時間生存出来るそうです。
通っている幼稚園や学校で発生した時にすべきこと
まずは頭部の髪を複数箇所に分けて、幼虫やシラミ自体がいないかどうか丁寧に探していきます。 成虫は茶色く髪の生え際にいます。
次に白い卵のようなものがないか調べてみましょう。 卵は髪の毛にしっかり付着していて取りづらいので、さっと取れたら汚れやフケです。 しっかりくっついていたら卵である可能性が高くなります。
もし見つかった場合、頭部に薬剤を塗布して成虫や幼虫を退治します。 そして卵を取るために専用のクシでしっかりと髪を梳かして、卵を取り除きます。
卵が孵化するにはおよそ8〜10日程度かかるので、念のため時間をおいてからもう一度チェックをするようにしてください。
シラミを発見した場合、やっておくべきこと
小さなシラミはパジャマや枕、布団や衣類などで密かに生息している場合もあります。 シラミの寿命自体は15日〜30日ですが、血を吸わなければ3日程度です。 着用していた衣類や寝具は、60℃以上の温度で洗濯するようにしておきましょう。
また、クシやヘアクリップ、などにこっそり残っているかもしれないので、念のため調べて、熱湯消毒したりビニール袋などで密閉して数日間は使わないようにするのも良いでしょう。
オススメのシラミ対策・退治グッズと薬剤
Dimet 20 (頭部への塗布剤)
一番のオススメは Dimet 20です。 12歳までの子どもは無料で入手可能なので、病院で処方箋を出してもらうようにします。*処方箋無しでも薬局で購入も可能です。
使い方は簡単で、乾いた髪に生え際から髪の先端まで、しっかりとマッサージするように塗り込みます。 20分程度の放置時間で、シラミ自体だけでなく卵にも効果があります。
その後シラミ専用のクシでしっかりと髪をといてから、シャンプーで洗い流します。 その後8−10日間様子を見て、卵や成虫が見つからなければ完全に除去出来ているはずです。
生後6ヶ月以上から使えるマイルドな薬剤ですが、処方箋を出してもらう際にはきちんと医師に確認をとってくださいね。
Nissenkamm (クシ)
シラミ用のクシは薬局やオンラインで購入可能です。 必要になることが無ければ良いですが、万が一感染してしまったら塗布剤と一緒に購入をお勧めします。
クシの種類はメタル製からプラスティック製、バリカンのような電動シラミ取り専用クシまで色々あります。
一番オススメはNYDA®のメタル製のクシ。 髪通りも良く、しっかりとシラミを取り逃がさない作りになっています。
クシとは別売りで液剤を入れて使えるアプリケーターもありますが、香りは良いけれど塗布後、1時間置いておかないといけないので、小さなお子さんには向いていないかもしれません。 *塗布後、さらにクシで髪をとかす時間を考えると1時間半〜シャンプータイムも入れると2時間近くになります。
使い方はリンク先をご覧ください(画像付き) https://www.nyda.de
ちなみにご自宅でペットを飼っているご家庭は、大事な家族の一員・ペットにもシラミがうつっていないかどうかも確認してください。 動物専用のシラミ取りクシもあります。
シラミと同じく、ドイツらしい虫の感染症 マダニ。 マダニの情報をまとめた記事もどうぞ