ドイツ国内には現在養蜂家が約103000家います。 ほとんどが小さな個人の養蜂家ですが、養蜂シーズンには見学や体験ツアーを提供しているところも多くあります。 実際に巣箱を見たり、ハチの巣に触ってみたり、してみたことはありますか?
ハチとドイツの歴史
実はドイツ民法にミツバチに関する法律があるほど、ドイツとハチとの付き合いは長く、古くから深い関係にあります。
ドイツでは、中世にはビールの醸造が始まるまで、ゲルマン人の頃よりはちみつ酒が主に飲まれていました。
本来は養蜂せずに、森林やハチの巣のある樹木の幹のうろからはちみつを盗んで取っていました。 流石ドイツ人、かなり強気です(刺されなかったのかな・・・)
ですが、当時は森林は共有だったのが、どんどん所有者が作られ、ハチの巣(蜜)の所有者が発見者なのか森の所有者なのかわかりにくくなった事。 また樹木が商品となり、ハチの巣も作れる樹木が減っていきました。
そこで、ハチのための法律が生まれ、野生のハチからはちみつを得ずに、ハチを飼育する方法(養蜂)が発展していきます。
養蜂は特に中世に発展し、当時の養蜂家はギルドを設立し特別な「特権」を得ていました。 特権と引き換えに、王と教会にはちみつと蜜蝋を税として支払います。 そのため当時のドイツでは、必要な量だけを採蜜し大事にしていました。
しかし16世紀には砂糖(サトウキビ)が普及し、はちみつや蜜蝋のロウソクの使用も現象し、少しずつ養蜂家の権限はなくなっていったのでした。
その後、19世紀には養蜂技術は大きく革新されます。 取り外し可能な巣箱を作り出し、機械で作る巣板なども発明・開発され、より効率的に、かつハチ達の負担を和らげる形になりました。
蜂群崩壊症候群 Bienensterben
ミツバチが原因不明に大量に失踪する現象で、日本では「いないいない病」(「イタイイタイ病」と「いないいないばあ」がかけられた造語)という別名で紹介される場合もあります。
女王蜂と生まれたばかりのハチの子たちを残して、巣箱の30~90 %が消失すると言うありえないような現象は、2006年に各地でほぼ同時期に発生し、特にアメリカではハチが絶滅危惧種に区分され、ドイツでも深刻な問題となっています。
少なくとも1/3の商業ミツバチが消滅(死骸が見つからないので、死亡したかもわからない)したと言われ、現在も原因不明です。
自然環境の変化や気候の変化、そして、恐らくはハチに影響をあたえる農薬(特にネオニコチノイド系農薬)が原因ではないかと推測されています。 欧州ではすでに禁止されつつあります。
「もしハチが地球上からいなくなれば、人間は4年以上生きることができない」 (アインシュタインの言葉と言われるが確証ではなく不明)
「ハチが消えたら、地球上の重要な植物種が絶滅する」(チャールズダーウィン)
自然界の花粉を運び受粉を助ける送粉者(ポリネーター)として私たちの食べる植物や果物、酸素を生み出す野生植物の受粉を助ける仕事を担うハチたち。
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ドイツの養蜂家
実はドイツのはちみつ年間消費量は世界でも常に上位3位以内です。 何に対しても妥協を許さないドイツでは、はちみつに対して厳しい規制と法律があります。
- ハチに抗生物質を与えていないか
- はちみつに砂糖を混ぜていないか
- 一定の温度以上で加熱して酵素やビタミンなどが破壊されていないか?
などの厳しい検査を受け、Echter Deutscher Honig(純正ドイツハチミツ)として販売されます。
さらに店頭で販売された後も専門家※1によるテストがあります。 ※1 食品など様々なものの品質テストをする団体 Stiftung Warentest
そんな美味しいはちみつを生産する養蜂家になるためには、養蜂家になるためのテストを受けて、ドイツ養蜂協会から認定されて初めて販売が可能になります。 ちなみにドイツ語で養蜂家は Imker , 養蜂場はImkerei と言います。
養蜂場見学もできる Sizzerbees
ミュンヘン北部に養蜂場があります。 Sizzerbeesでは毎年近隣の幼稚園の園児たちには無償で養蜂場見学を行い、近隣地域でのハチに対する理解と知識を広げていく行動を実行しています。 もちろん、美味しいはちみつファンを育てる意味もあります。
Sizzerbeesのこだわりは、完全無農薬、BIO製品であること。 一切の混ぜ物をしないはちみつは、濃厚で甘く美味しい蜜の本来の甘さが楽しめます。
ちなみに、オンラインショップでは販売していない商品もいくつかあるとの事・・・。 特にプロポリスや日本では滅多に見かけない巣ごと蜜を食べる巣蜜(コムハニー)など、オンラインに載っていない期間・数量限定の商品も販売しているので、興味のある人はお問い合わせください。
Sizzerbees | |
養蜂場 | Imkerei Sizzerbees, Karlsfelderstrasse 58 |
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コンタクト先 | Tel: (+49) 089 / 314 20 08 (英語、ドイツ語のみ) |
オンラインショップ
販売商品 |
・オーガニックはちみつ ・はちみつ入りグリューワイン ・コスメ(プロポリス、ビーワックス使用) |
Website・Online shop | Sizzerbees |
養蜂場見学 | 5月〜7月ごろまで 60分〜90分程度 8EUR/1名 (試食あり) ドイツ語または英語のみ: 要予約 |