ドイツの国際女性デー  Internationaler Frauentag

毎年3月8日は、「女性の政治的自由と平等のために戦う」記念の日として制定された国際女性デーです。1975年に国連により制定されたこの日は、女性への差別撤廃や女性の地位向上を願う日として世界中でさまざまな啓発活動が行なわれます。ドイツではどのようになっているのでしょうか?

国際女性デーとは

毎年3月8日は、Internationaler Frauentag国際女性デー(英語: International Women’s Day)です。

「国際婦人の日」、「国際婦人デー」、「国際女性の日」と呼ばれることもあります。3月8日の国際女性の日は、ドイツではベルリンでのみ、2019年から祝日となっています。

国際女性デーの歴史

写真:クララ・ツェトキン(左)とローザ・ルクセンブルク、1910年

歴史的には1904年3月8日にアメリカ合衆国のニューヨークで、女性労働者が婦人参政権を要求してデモを起こし、これを受けてドイツの社会主義者クララ・ツェトキンが、1910年にデンマークのコペンハーゲンで行われた国際社会主義者会議で「女性の政治的自由と平等のためにたたかう」記念の日とするよう提唱したことから始まった、と言われています。

その始まりからして、アメリカ、ドイツ、デンマークと、国際的な広がりを持った記念日なのですね。

この国際的な動きはさらに広がり、ロシア帝国(当時)では、1917年に国際女性デーに首都ペトログラードで行われた女性労働者を中心としたデモが、男性労働者や兵士を巻き込み大規模な蜂起となり、最終的には帝政を崩壊に追い込んだ二月革命にまで発展しました。

写真:ペトログラード(現サンクト・ぺテルスブルク)における「国際女性デー」のデモ、1917年)

1966年以降、国際女性デーはソ連で祝日となり、現在でも多くの旧ソ連諸国(ウクライナ、ベラルーシなどのCIS諸国、バルト三国など)においては3月8日を公式な祝日として制定している国も多いようです。

ドイツでは、上記のクララ・ツェトキン以降も、1919年のワイマール国民議会の前で、女性の参政権の導入について話し、これはドイツの女性運動の歴史における画期的な出来事となりました。

そのような歴史を経て、ドイツでは「国際女性デー」は、「インターナチオナーラー フラウエンターク Internationale Frauentag」と呼ばれ、1921年以来毎年3月8日に祝われています。

その後、国連は1975年以来、3月8日を「国際婦人デー」と定め、女性の十全かつ平等な社会参加の環境を整備するよう、加盟国に対して呼びかける日としています。

イタリアではこの日、女性が互いにミモザの花を送りあうそうです。

©️pixabay_victoria-Borodinova

現代ドイツの国際女性デー

「女性の政治的自由と平等のために戦う」記念の日として制定された国際女性デー、現代ドイツでの様子はどうでしょうか?

東西ドイツの統一以前、現在の新連邦州では、この日は長い間赤いカーネーションと関連付けられてきたそうです。

©️pixabay_JamesDeMers

それというのも、1911年の最初の国際女性の日、女性たちが選挙権を求めて街頭に出た時、 フェミニストのグループが、平等の象徴として抗議中に花を着用するように仲間の運動家に勧めたのが、赤いカーネーションだったのです。

そのため、デモ参加者の多くは襟に赤いカーネーションを付けて行進しました。

この花が選ばれたのは偶然ではありません。赤いカーネーションは社会主義と密接に関連しており、この政治的イデオロギーは当時の女性の要求とも合致するものだったのです。

今日では、新連邦州だけでなく、多くのドイツの都市では、男女平等のための各種イベントが3月8日に行われます。ただし、抗議のデモンストレーションは少なくなり、代わりに贈り物が交わされるようになりました。

しかし、カーネーションの人気は途切れることはありません。その歴史に基づいて、赤いカーネーションは国際女性の日に人気のあるプレゼントです。

男性は、日ごろの感謝の印として、妻やガールフレンド、そして女性の同僚に赤いカーネーションの花をプレゼントしてみるのも良いかもしれません。カーネーションは、その官能的な香りから「神の花」とも見なされます。 燃えるような赤い色の花は、まさに情熱と愛情を表現している、というわけです。

ドイツにフェミニズム運動はもう必要ない?

©️pixabay_PatricioHurtado

ところで、2005年以来、アンゲラ・メルケル氏が女性首相として16年間ドイツの指揮を執っているいま、ドイツではフェミニズム運動はもう必要ないと考えられてはいないのでしょうか?

もちろん、答えはノーです。

今なお男女間での賃金格差や、管理職に占める女性の割合、介護の現場などでの性差があるから、この運動はまだ必要と考えられています。

多くの人が、欧米では「男性と女性の給与がすでに同じレベルに近づいている」と信じていますが、賃金指数の結果は明らかに異なる現実を突きつけてきます。

女性は管理職を含む労働力市場に、ますます多く存在するようになっていますが、男性の同僚と同等の給与を受け取っていません。

1999年創業の世界最大級の求人サイト、Monsterは、WageIndicator Foundationと協力して、給与をテーマにした新しいシリーズ、Wage IndexReportsを立ち上げています。

このレポートによる結果は、国際的に見ると、女性の収入は男性の収入よりも平均して22から29パーセント低いことを示しています。 ドイツに限ってのリサーチでも、管理職の男性は、同じ職位の女性の同僚よりも平均16パーセント多い給与を受け取っているそうです。

収入面だけでなく、他の要因もあります。

連邦家族・高齢者・女性・青少年省(Bundesministeriums für Familie, Senioren, Frauen und Jugend)の調査によると、16~85歳の女性や少女の58パーセントが、いわゆるセクハラ(セクシャルハラスメント)を経験しています。これは2人に一人以上の数です。

3月8日の国際女性デーをきっかけに、この地球が、すべての人にとってより公正な世界となるよう、一人一人が意識していきたいですね。

 




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