バウハウスのカンディンスキーとガブリエル・ミュンターが過ごした青き景観の美しい自然。NIPPONip 68 夏号でも紹介したMurnau am Staffelsee ムルナウ への旅行情報をご紹介します。
Das Blaue Land
ミュンヘンから普通列車(RBなど)に乗って、ほんの1時間程度で到着するバイエルン州の観光地域 Das Blaue Landの中心的都市 ムルナウ。
このDas Blaue Landとは、バウハウスの元女学生Gabriele Münter – ガブリエレ・ミュンターとWassily Kandinsky ワシリーカンディンスキーの家に集まった当時の前衛芸術家たちのなかのひとり、Franz Marcフランツ・マルクが考案しました。「Der Blaue Reiter」に由来します。
ロイザッハ渓谷の特に秋の青みがかった空の印象が強かったこと、そして2人とも青という色が好きだったということで、青い・・・と青 Blaue と名付けたそうですが、春夏秋冬の空の「青」の違いは贅沢な自然の贈り物のようです。
「Das Blaue Land」には、Murnau, Seehausen, Uffing, Schwaigen-Grafenaschau, Ohlstadt, Großweil, Riegsee と Spatzenhausen,のガルミッシュ・パルテンキルヒェン地域の都市、8都市が名を連ねています。
ムルナウの見どころ
美しい自然、美味しいご飯、そして町の至る所で見られる芸術家たちの足跡。 大きな都市からの交通も良く、観光スポットにも中央駅から徒歩で辿り着ける手軽さ。 日帰り旅行にも、宿泊してがっつり自然を堪能コースにもおすすめ出来る素敵な町です。
ミュンヘンから日帰りコースにおすすめは、市内見学と観光名所を楽しんだあとに、ムルナウの自然を満喫してうろうろ、その帰り道に、疲れを癒すべくカフェに立ち寄って駅まで戻る。 朝10時ごろに到着して、帰宅は18時半ごろのパーフェクト日帰りコースでした。
もっとしっかり自然を歩き回りたい人には一泊コースもよいかもしれません。
市庁舎の隣にはインフォメーションセンターがあり、その裏手にはムルナウ城博物館も徒歩数分の距離にあります。
ムルナウの自然、Murnauer Moosに足を踏み込めば、自然の風を体いっぱいに受けられるKottmuellerallee(コットミュラーアレー)にも街から徒歩およそ30分ほどで到着できます。さらに散歩コースを辿ればルルドの洞窟、聖ゲオルグ礼拝堂など小さな観光もしながら、癒しのひとときを楽しむことができます。
ただし、山の天気は変わりやすいもの。小さなレインコートを常備しておくことをおすすめします。
*当記事内の情報は2023年7月の時点のものです。突然の変更などを考慮の上、念の為、自分で必ず確認をお願いします。
Das Münter Haus in Murnauミュンターハウス
1909年ミュンターが購入した家で、1914年までカンディンスキーが滞在した家。 家具なども自らデザインし、いまでも階段や家具に描かれたカンディンスキーの絵が必見!
ミュンターの家は1999年に改修され、当時の様子に復元されたので、当時の趣を感じながら、ミュンターとカンディンスキーの作品を鑑賞することが可能です。 それぞれの部屋にテーマが感じられ、壁の模様もさまざまで、とにかく楽しくなります。
こんな家に住みたい、と感じる可愛らしい部屋とインテリア。 外には素敵なお庭があり、高台にある家からはミュンターのお墓を見下ろすことができます。
そして実はお墓からもミュンターハウスを見ることが出来るそうで、当時の墓守(がお墓の位置を決めるのかどうかはわかりませんが)は粋な計らいをしたもんだ・・・と二重に感動必至です。
ところで、バウハウス、そして絵画を愛する方々には、ナチスの迫害からカンディンスキーやマルクなど当時の前衛芸術家たちの作品を地下に隠し守った家としても有名です。保護されていた作品は、現在ミュンヘンのレンバッハハウスに寄贈され、展示されています。
Das Münter-Haus in Murnau | |
場所 | Kottmüllerallee 6 |
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開館日 | 月曜休館 毎日14時〜17時 |
注意事項 | *稀に撮影などによる貸切日は入館不可のため、事前に確認を |
入館料 | 25歳以上 3EUR 特別公開箇所の見学 40EUR *午前中のみガイドツアー付き特別公開 90EUR 上記特別公開は要予約 |
お問い合わせ | Das Münter-Haus in Murnau 連絡用電話番号、メールアドレスはHPに記載 |
Schloßmuseum Murnau ムルナウ城美術館
ムルナウに縁あるアーティストの作品が見学できます。
11月26日までは30周年特別展示会 Der Braue Reiter オマージュ展が開催され、貴重な作品の数々が展示されてます。特にカンディンスキーとミュンターのリトグラフ、そして、ガラス絵の間は必見です。
カンディンスキーの有名な絵柄・・・(ごちゃごちゃしてるのに整然とした幾何学とカラフルな絵)とはまた違った可愛らしいリトグラフ、ミュンターたちが飼っていた猫たちの絵がまた可愛い。 ムルナウを訪れたら、必見の博物館です。
Schloßmuseum Murnau | |
場所 | Schloßhof 2-5 |
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開館日 | 月曜休館(*ただし祝日の月曜は開館) 毎日10時〜17時 |
注意事項 | 7月~9月末まで週末のみ午後6時まで 12月は会館時間が変更となるので注意 |
入館料 | 大人 6.5EUR |
お問い合わせ | Schloßmuseum Murnau 連絡用電話番号、メールアドレスはHPに記載 |
St.Nicholas ニコラウス教会
ミュンターの墓のある教会の墓地は広大で美しく整理されています。 教会内部も豪華絢爛でつい長居してうっとりしてしまうような居心地の良さ。
ミュンターのお墓を探して、そこから眺めるミュンターの家は感慨深い。 時間がゆったり感じられます。
見逃せないご当地グルメ
Schokoladenmanufaktur Barbara Krönner
チョコレート工場併設のカフェ兼チョコ・コンディトライ。 チョコレートも美味しいけれど、カフェのケーキがとても日本人好みの甘さと繊細さ(と大きさ)でおすすめです。
チョコレート工場は要予約・有料ですが、ご当地旅行カードKÖNIGSCARDを持っていると、1回だけ工場見学に参加できます。 (水〜金 15時〜のみ)
Schokoladenmanufaktur Barbara Krönner
Murnau-Werdenfelser Rinder
現在重要視されつつあるトレーサビリティー(追跡性)がしっかりとしている食材を扱うように試みているミュンヘンのレストランDer Pschorrで、ムルナウ・ヴェルデンフェルザー牛を提供しています。
バイエルン州の土着品種の丈夫な乳牛 Murnau-Werdenfelser(ムルナウ・ヴェルデンフェルザー牛)は、長寿で力も強く、農業では欠かせない上に、食用としても活躍する万能の品種でしたが、農業用機械が一般に浸透すると同時に、ムルナウ・ヴェルデンフェルザー牛は絶滅の危機に瀕してしまいます。現在は地元の農家や牧場主の尽力で少しずつですが増えつつあります。
ムルナウの自然で育まれた美味しいお料理もぜひお試しあれ。