ドイツ企業への就職を考えている方の中には、思ったよりも支払う税金が高く、額面と手取りの差があることに驚いたのではないでしょうか?
ドイツには日本の大手企業のようなボーナスが少ないため、実際の額面だけでは従業員にとって魅力的ではないことが少なくありません。
そうした従業員への報酬の一環として、節税も兼ねてドイツでは給与(Gehalt)だけでなく、企業が従業員に対してさまざまな「現物支給(Sachbezug)」を行うケースがあります。
※現物支給とは、現金ではなく商品やサービスの形で提供される福利厚生のこと。
今回は、ドイツ企業でよく見られる現物支給の例をご紹介します。
ドイツで最も有名な現物支給の一つが社用車です。
特に営業職や管理職では、BMW、Audi、Mercedes-Benz、Volkswagenなどの車両が支給されることとなります。この制度の良い点は、業務のみならず私的利用が認められる点で、しかも会社によっては私的利用のガソリン代や保険代も会社が支払うシステムになっています。
※ただし社用車を用いる場合新車価格の1%を月々払う、などの取り決めがあります
昨今ドイツの給与は高止まりしており、企業の業績悪化につながっています。こうした事情から、賃上げには応じられない企業が多いのですが、それとは別に、会社が優秀な従業員を惹きつけるため「社用車の私的利用*」を認めるケースが増えているわけです。
企業のうち約6~7割がこの制度を活用しているというデータもあり、今後も社用車の個人利用を認める会社は増えていく見込みです。
*「社用車の私的利用に関する情報:リンク元 https://career-management.de/jp/blog/auto/」
会社を辞める際には返却する、ということが前提でノートパソコンやスマートフォンの私的利用が認められているケースも少なくありません(※ただし、セキュリティ上ダウンロードのできないソフトウェアなどもあるため、実務上は総務に確認)。
会社によっては国内外問わずSIMが使える仕様になっているパソコンやスマホもあり、これが私的利用できるのは大きなアドバンテージになります。企業によっては最新のiPhoneなどを支給しているところもあり、場合によっては自ら購入する手間が省けます。
2023年から導入されたDeutschlandticket(月額58ユーロ/1万円程度)は、ドイツ全土の近距離公共交通機関を使える優れもの(※ICEやIC、ECは使用できないので注意)。多くの企業が福利厚生として補助しています。
以下のような、市内の移動や近くの駅までの移動に際して必要となる足がまかなえ、プライベートでも大活躍することからドイツの福利厚生として好評を博しています。
ドイツでは、多くの企業が福利厚生として「食事補助(Essenszuschuss)」を導入しはじめています。2026年は、昼食に対して会社が最大7.67ユーロまで補助でき、一定の条件を満たせば税制優遇を受けることができるようになりました。
要件を満たせば必ずしも会社併設の食堂である必要はなく、レストランなどと提携して食事券やランチ補助アプリを提供するケースも増えています。
従業員の健康維持を目的とした「健康促進プログラム(Betriebliche Gesundheitsförderung:BGF)」を福利厚生として導入する企業は増加傾向にあります。
内容は企業によってさまざまですが、スポーツジムの利用補助、ヨガやフィットネス教室の開催、人間ドックや健康診断の費用補助、メンタルヘルス相談、栄養指導、禁煙支援などが代表的です。
また、自転車通勤を支援する「JobRad」や、ウォーキングイベント、ストレスマネジメント研修を実施する企業もあります。一定の条件を満たす健康促進プログラムについて、企業は従業員1人あたり年間最大600ユーロまで非課税で費用を負担できる制度が設けられているので、企業としても税制優遇を活用できるというわけです。
特に多国籍企業において、語学研修を福利厚生の一つとして提供する企業が少なくありません。とはいえ、ドイツ企業においては「ドイツ語以外」の言語が研修の対象であることが多く、例えば英語、フランス語、スペイン語等です。定期的に講師を雇って社内で講座を開催することもあれば、社員が語学コースに通うフィーの負担をおこなうこともあります。
近年ではドイツ企業も外国人人材の採用を活発におこなうようになっており、外国人人材に対するドイツ語研修も少しづつ見受けられるようになってきました。ドイツ語を学びつつドイツで就職したい場合、こういった研修制度の充実した会社に通うのが良いかも知れませんね。