いよいよ1年の最後の月となりました。ドイツの12月は、アドヴェント(待降節)に始まり、子供たちお待ちかねのニコラウスの日、そしてクリスマスと、イベントも盛りだくさんです!
12月をテーマにした農家の言葉
12月の古いドイツ名は、「ユールモント Julmond」といって、ゲルマン民族の冬至のお祭りであるユールフェストから来ているそうです。
また、他にもキリスト(独語:クリスト)のお祭りがあるからということで、「クリストモナート Christmonat 」や、キリストにより救い(ハイル)がもたらされることから「ハイルモント Heilmond 」という呼び名もあります。
後者は、ゲルマン人のキリスト教化の過程で混交し、ユールフェストがキリスト生誕のお祭りとして祝われるようになってから以降の呼び名です。
それでは、ドイツの12月の季節の言葉をご紹介します。
Geht Barbara im Klee, kommt’s Christkind im Schnee.
カタカナ発音: ゲート・バルバラ・イム・クレー、コムツ・クリストキント・イム・シュネー
直訳: バルバラがクローバーの中を歩けば、クライスト・チャイルドが雪の中をやって来る。
説明: 12月4日は聖バルバラの日。この日にクローバーの緑がある(まだ雪が降っていない)と、クライスト・チャイルド(幼子キリスト、そこから転じてクリスマスを意味する)の日には雪が降る、という意味のことわざです。
これは北ドイツでは57パーセントの確率で当たるそうです。
「クローバー」という意味のドイツ語「クレー」と、「雪」という意味のドイツ語「シュネー」が韻を踏んでいます。
聖バルバラの日のしきたりなどについては、詳しくご紹介している記事もどうぞ
Auf Barbara die Sonne weicht, auf Luzia sie wieder herschleicht.
カタカナ発音: アウフ・バルバラ・ディー・ゾネ・ヴァイヒト、アウフ・ルツィア・ジー・ヴィ―ダー・ヘアシュライヒト。
直訳: バルバラの日に太陽がよけていくと、ルツィアの日に再び忍び寄ってくる。
説明: 引き続きバルバラさんが登場します。 12月4日の聖バルバラの日が曇り(または雨や雪)だと、12月13日の聖ルツィアの日には再び晴れる、ということを言い表しています。
「よける」という意味のドイツ語の三人称単数現在形の「ヴァイヒト」と、「忍び寄ってくる」という意味の、同じく三人称単数現在形の「ヘアシュライヒト」が韻を踏んでいます。
Regnet’s an Sankt Nikolaus, wird der Winter streng und graus.
カタカナ発音: レーグネッツ・アン・ザンクト・ニコラウス、ヴィルト・デア・ヴィンター・シュトレング・ウント・グラウス。
直訳:聖ニコラウスの日に雨が降ると、冬は厳しく辛くなります。
説明: 12月6日は、マイラの聖ニコラウスの日。 この日に雨が降ると、その年の冬は寒さが厳しくなるという言い伝えです。
聖人の名前のニコラウスと、「辛い、残虐な」という意味の「グラウス」が韻を踏んでいます。
3世紀に、現在のトルコのアンタリアから南西に100キロほどの距離にあるマイラという土地の司祭だったニコラウスについては数多くの伝説があります。
そのうちのひとつが、殺された学生を生き返らせたというものです。
聖ニコラウスの伝説:殺された学生の蘇生
ギリシャのアテネに向かう途中の3人の学生が、マイラに宿泊したところ、強欲な宿屋の主人に殺されました。宿の主人は死体を切り刻み、塩の樽に漬け込みました。
*宗教画ですが、閲覧注意な画像のため、興味のある方はリンクをクリックしてください(生き返らせるため、聖ニコラウスが塩の樽から体を取り出しているシーン)「NikolausMyraPoekelmenschenwunder」
聖ニコラウスは天使を通してこの犯罪について知ることとなり、宿屋の主人のところへ行き、その悪事を暴き、神のとりなしによって学生たちを生き返らせました。
この逸話から、聖ニコラウスは学生や子供たちの守護聖人とされています。