季節のめぐみをいただこう! ドイツ2月の野菜と果物

ドイツの2月は寒く、気温もマイナス3度からプラスになっても5度ぐらい、という日が続きます。

その冷涼な気温のため、あまりたくさんの野菜や果物は採れませんが、地産する季節の野菜やハーブが数種類ありますので、今月は季節の野菜とハーブをご案内します。

季節の野菜や果物を食べることは、健康的な食生活だというだけでなく、環境にも優しい食事をしていることになりますので、積極的に日常の食生活に取り入れたいものですね。

Gemüse : 2月が旬の野菜

シャンピニオン(マッシュルーム)(ドイツ語:Champignons  シャンピニオン)

©️Pixabay_MonikaSchroeder

英語でマッシュルーム、フランス語ではシャンピニオンと呼ばれるキノコは、ドイツではフランス語をそのまま取り入れてシャンピニオン、あるいは純粋なドイツ語ではエガーリンゲ(Egerlinge)またはアンガーリンゲ(Angerlinge)と呼ばれています。

食用キノコの代表的な存在であるシャンピニオンは、世界でも最も重要な栽培キノコとして知られています。

シャンピニオンはその91%が水分で、4%がタンパク質、1%未満の脂肪分、となっています。

つまり、脂肪、糖分、カロリーがほとんどなく、また動物性タンパク質とは異なり、コレステロールやプリン体を含んでいません。

一方、シャンピニオンにはたくさんのビタミンB1、B2、B6、カリウムやマグネシウムなどのミネラル、貴重なタンパク質が含まれています。

さらに、胃腸に長い間とどまる多くの繊維を含んでおり、胃や腸が忙しく働いている間は空腹感を感じなくなりますので、体重減少に役立ちます。

夕方にシャンピニオンをたくさん食べておけば、夜におなかがすいて目を覚まし、冷蔵庫をあさる、などということはなくなるでしょう。

そんなわけで、ダイエットにうってつけの食材といえるでしょう。

©️Pixabay_PublicDomainPictures

シャンピニオンは、ヨーロッパでは古代ギリシャ・古代ローマの時代から、馬厩肥*などに自然発生していたものが食べられていたそうです。

*馬厩肥=(うまやこえ、きゅうひ)有機質肥料

これが食用目的で栽培されるようになったのは、17世紀半ばのルイ14世の宮廷時代にさかのぼります。

広大なパリのカタコンベは、シャンピニオンに良好な成長条件として適していました。 そのため、ナポレオンボナパルトの時代から19世紀の終わりにメトロが建設されるまで、大規模に栽培され、フランスではシャンピニオンドパリと呼ばれています。

Old underground mushroom cellar, where common mushrooms are cultivated in beds.©️Édouard Bergé

20世紀の初めには、各地の生産施設で広く栽培され始め、暗く空調されたホールや、後には廃坑や空襲トンネルで栽培され始めました。

こうして、以前は野生のものを採取するということで珍味のひとつだったシャンピニオンが、今ではヨーロッパで最も重要な食用キノコであるという時代につながりました。

Mushroom farm outside of Eger, Hungary©️ Andrew Bossi

ところで、生食もできるシャンピニオンですが、調理する前に水洗いしたほうがいいのか、迷うことはありませんか?

結論から申し上げますと、洗わないほうがいいようです。

というのも、水で洗ってしまうと、水溶性の栄養成分が流れ出し、シャンピニオン独特の香りや旨味が失われてしまうからです。

でも、黒い汚れがついていたりするのが気になり、どうしても洗いたい! という場合は、

  • 乾いたキッチンペーパーでふき取る
  • 濡れ布巾でふき取る

などの作業で、優しく汚れを除去してください。

2月が旬のハーブ

コリアンダー(ドイツ語:Koriander  コリアンダー)

©️ Pixabay_HansBraxmeier

コリアンダーは地中海沿岸原産のセリ科の植物の一種で、ハーブや薬用植物としても使用されます。

コリアンダーという名前は、その特徴のある匂いから、ギリシャ語ではコリアンドロンまたはコリアノン(koríandron/koríannon)と呼ばれ、これはギリシャ語で「バグ(虫)」を意味するコリス(kóris)と、アニスやディルなどのハーブを意味するアモン(amon)またはアネソン(aneson)から由来しています。

タイ語ではパクチー、中国語ではシャンツァイ(香菜)と呼ばれるのも、コリアンダーです。

葉はハーブとして、種子はキッチンスパイスとして広く使用されていますが、この2つでは匂いはかなり異なります。

©️ pixabay_PDPics

果実に含まれるデ・リナロール、ピネーンなどの精油は、胃液の分泌を抑止、腸内ガスを排出する作用、口やのどの粘膜を刺激して気道の粘液の分泌を良くし痰を切る作用があると言われています。

 

ローレルリーフ(ドイツ語:Lorbeer  ロアベア)

©️Pixabay_KazunoriAmayama

(別名月桂樹の葉、ローリエ)

ギリシャ神話のアポロンとダフネの物語に由来し、ギリシャ・ローマ時代からアポロンの青樹として神聖視された月桂樹。

古代ギリシャでは、月桂樹の葉のついた若枝を冠状に編んだものを「月桂冠」とし、勝利と栄光のシンボルとして、スポーツ競技の勝者や、大詩人の頭にかぶせたりしたそうです。

その月桂樹の葉であるローレルリーフは地中海沿岸原産のクスノキ科の樹木の葉で、薬用植物または芳香植物として使用されます。

温かい地方原産の樹木なので、ドイツでは冬の気候の温暖なラインラント地方やボーデン湖地方では野外に植えられたりもできますが、それ以外の地域では、冬季はガレージや温室などの屋内に取り入れたほうがよいと言われています。

シオネール、ピネン、ラウル酸などの精油を含むので、ヒトの味覚神経を刺激し、唾液や胃液の分泌を促して、食欲増進作用をするキッチンハーブとして、スープやシチュー、肉料理の香りづけに使われるほか、キュウリのピクルスに入れたり、ニシンの酢漬け、ゼリー寄せにも大活躍です。

昭和の時代のカレーにもよく入っていました。 フランス料理のブーケガルニにも入っていますね。

ほかにも、浴湯料としてローレルリーフを布袋に入れたものを湯船に浮かべておくと、肩こり、神経痛、リウマチ、冷え性、腰痛、筋肉痛などの痛みを和らげたり、疲労回復に役立つとされています。




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