12月には子供たちの大好きなニコラウスの日が6日にありますが、その2日前の12月4日は幸せと希望を呼ぶ日、バルバラの日です。 バルバラの日の謂れや風習を調べてみました。
12月4日は「バルバラの日」
ドイツおよびその他の欧州諸国には、ネーム・デイ(名前の日、独語: Namenstag ナーメンスターク)というものがあり、自分と同じ名前の聖人の記念日に、自分もお祝いをするしきたりがあります。
この習慣は、キリスト教の聖人暦(独語: Heiligenkalender ハイリゲンカレンダー)に端を発しています。1年365日、毎日一人は必ず聖人の名前が載っていて、その人の記念日とされているのです。
現在でも、銀行のおまけでもらうカレンダーなどには、毎日の聖人の名前が記されたものがあります。 興味のある方はカレンダーがダウンロード可能なリンクもあるので、ぜひ見てみてください。
知り合いのドイツ人の方のお名前がみつかるかもしれません。
バルバラってどんな人?
聖人暦によると12月4日は「バルバラの日」 Barbaratag となります。
バルバラ(Barbara)は別名、「ニコメディアのバルバラ(Barbara von Nikomedien バルバラ・フォン・二コメディエン)」とも呼ばれ、3世紀にキリスト教を信じ、殉教した女性です。
伝統によれば、バルバラはニコメディアの裕福な商人の娘として、3世紀に現在のトルコに住んでいました。彼女は結婚する代わりに、自分の人生をキリストに捧げたいと思っていました。
しかしキリスト教を信じないバルバラの父親は、彼女のキリスト教への信仰を承認しませんでした。
実の父親の時に残酷な仕打ちにもかかわらず、バルバラは彼女のクリスチャン信仰を貫き通しました。 最終的には彼女の父親は彼女を法廷に連れて行き、自らの手で彼女を断頭した悲劇の聖女です。
バルバラの日のしきたり
さて、このバルバラの日にちなんだしきたりには、どのようなものがあるのでしょうか?
バルバラの小枝 Barbarazweige(バルバラツヴァイゲ)
ドイツでは、12月4日に、木の枝(桜など、果物をつける木の枝)を花瓶に入れて飾る習慣があります。
その由来は、バルバラが父に連れられて法廷に行く途中に、彼女のローブが木の枝に引っかかってしまいました。
そこで、バルバラはその折れた小枝を水の入った瓶に入れておき、20日後のクリスマスイブの日に花が咲き、彼女を幸せと希望で満たしたということです。 (残念ながら、その同じ日にバルバラは殉教しましたが)
この習慣はドイツの多くの地域で広まっています。 その地域や習慣に応じて、桜のほか、リンゴ、白樺、ヘーゼルナッツ、セイヨウトチノキ(ロスカスターニエン)、プラム、ニワトコ、サンザシ、レンギョウなどの枝が使用されます。
「バルバラの小枝」のやり方
あなたも、この幸せと喜びを運ぶドイツのしきたりを一緒にやってみませんか? 手順は簡単です。
- 桜の枝を切り取ります。このとき、枝を斜めに切り取るといいでしょう。
- 水を入れた花瓶に枝を入れます。その前に、数時間冷凍庫に入れておくのもいいそうです。
- 花瓶はできるだけ暖かい場所に置き、定期的に新しい水と取り換えましょう。
- 運が良ければ、12月24日には桜の花が咲くでしょう。
バルバラの小麦 Barbaraweizen(バルバラヴァイツェン)
特にオーストリア、ハンガリー、スロベニア、クロアチア、南フランスでは、現在でもカトリック教徒の間で習慣となっているそうです。
冬に穀物が発芽するかどうかを見るというこの風習は、キリストの「身体」としてのパンの重要さを象徴します。 さらに、種子が発芽するかどうかということで、翌年の収穫量を占う「占い」としても行われていたようです。
地域によっては、12月4日ではなく、12月13日の聖ルチアの日 Luciatag に行われ、その場合は「ルチアの小麦」と呼ばれます。
また クリスマスの小麦 Weihnachtsweizen と呼ばれ、カトリック教徒の間でのクリスマスデコレーションとしても知られています。
他にもバルバラの日にちなんだことわざなどをこちらでご紹介しています。