声に出して読みたい ドイツ農家 季節のことば12ヶ月【5月編】

5月になりました。よく「うるわしの5月」などといいますが、これはドイツの詩人、ハイネの詩のタイトルで、原題は“Im wunderschönen Monat Mai“です。ドイツには他にもいろいろ5月に関する決り文句がありますが、どれも語呂がいいものが多いので、ぜひ口にして、その響きの楽しさを味わってくださいね。これでドイツ語上達まちがいなし!

ドイツの農家・農民のルール Bauernregeln

ドイツにおいて、その季節特有のお天気や自然に関する言い伝えなどをよく表すものに、ドイツ農家 季節のことばとも言える、農民のルール(Bauernregeln バウアーンレーゲルン)というものがあります。

ほとんどの場合、天候とそれが農作業へもたらす影響についての古い言い伝えです。調子よく韻を踏む言い回しが多いのが特徴で、またその内容も、科学的に正当化されることが多いものだそうです。

すでに古代ギリシャの時代、アリストテレスは彼の気象学で、気象規則を理解するために最初の科学的試みを行ったと言われていますが、その後のヨーロッパでは、気象学はルネサンス期に始めて発達し、土地と天気についての理解を深めることとなりました。

また、ガリレオ・ガリレイも、多くの気象現象(気象規則)は科学的に説明できると信じていたそうです。

農民のルールは、人々が常に状況を観察したところから生まれ、何世代にもわたって受け継がれてきました。農民のルールは、特定の気象条件からの将来の出来事について予測と結論を出そうとするものです。

5月をテーマにした農民のルールを以下にご紹介します。

Wenn’s Wetter gut am ersten Mai, gibt es viel und gutes Heu.

©️pixabay_pixaline

カタカナ発音:ヴェンス・ヴェッター・グート・アム・エアステン・マイ、ギプト・エス・フィール・ウント・グーテス・ホイ

直訳:「5月1日の天気が良ければ、たくさんの良い干し草がある。」

説明:5月を意味するドイツ語「マイ」と、干し草を意味するドイツ語「ホイ」が、微妙に韻を踏んでいる格言ですね。

5月1日はご存知メイデー、そしてドイツではマイバウムの日でもあります。(詳しくはこちらの記事もご参照ください。)

Erst Mitte Mai ist der Winter vorbei!.

©️pixabay-KarstenPaulick

カタカナ発音:エアスト・ミッテ・マイ・イスト・ヴィンター・フォアバイ

直訳:「5月中旬にはようやく冬が終わる」

説明:5月を意味するドイツ語「マイ」と、終わる、という意味のドイツ語「フォアバイ」が韻を踏んでいる格言です。

5月の格言のほとんどは、5月12日から15日までの期間に関するものです。 それというのも、この時期は、「Eisheiligeアイスハイリゲ(氷の聖人)」として広く知られています。

これらの聖人はパンクラティウス、セルバティウス、ボニファティウス(Pankratius, Servatius, Bonifatius)と冷たいソフィー(die kalte Sophie)と呼ばれ、冷たいソフィーは主にドイツ南部に現れます。 この時期、しばしば霜が降りて寒さがぶり返すことが多いのです。

この格言が当たる確率は、統計的に30%といわれていますが、4月の陽気に誘われて芽を出し始めた植物が、この時期、寒さにやられて被害を受ける可能性がありますので、ご家庭でもベランダや戸外でグリーンを育てている場合はご注意ください。

農作物では、ワイン、ホップ、果樹、穀物などが特に被害を受けやすいと言われています。 ちなみに、5月15日以降に霜が降りる確率は、ぐっと下がって5%になるそうです。

Ist der Frühling trocken, gibt es einen nassen Sommer.

©️pixabay_DenisDoukhan

カタカナ発音:イスト・デア・フリューリング・トロッケン、ギプト・エス・アイネン・ナッセン・ゾマー

直訳:「春が乾いている(雨が降らない)と、湿った夏が来る。」
説明:ドイツでいう春とは、3月~5月にかけて。この時期に雨が降らないと夏に雨が降る、という格言ですが、実際は春に雨が降らなくても夏が雨降りになることはないようです。

この農民の格言で主張されている因果関係は、統計的に証明されていないそうです。

 




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