北ドイツの世界遺産の街リューベック【ドイツ北から南から】

中世の時代、ハンザ同盟の盟主として隆盛を誇り、世界遺産にも登録されている北ドイツの街リューベック Lübeck 。「ハンザの女王」とも呼ばれた港街の魅力をお伝えします。(適宜情報を追加します)

16の連邦州からなり、それぞれの州での地域性も豊かなドイツの国。バルト海沿岸にあり、四季折々の美しさを楽しめる北ドイツの世界遺産の街リューベックについてご案内します。

2020年11月現在、リューベックでは、新型コロナウィルスが要請する各種事項を守って、相互に注意深く行動するようにお願いしています。
現在のパンデミック規制により、2020年12月20日まで観光目的での宿泊は許可されていません。その後も、急な通知により変更される可能性のある、さらなる制限がある場合があります。

リューベックってどんな街?

©️Sonnenuntergang in Lübeck©️LTM – Oliver Schmidt

7つの教会の塔が旧市街のシルエットを形作ることで有名なリューベックは、ドイツ北部にある、人口約21万7千人の都市です。

シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州(州都:キール Kiel)の南東に位置し、バルト海のリューベック湾に面しています。

かつては、ハンザ同盟の中心を担う商業都市として、13世紀から17世紀にかけて繁栄を誇り、「ハンザの女王」(Königin der Hanse ケーニギン・デア・ハンゼ)とも称されるこの町は、今日でも、市民および訪問者に高い生活水準と快適な滞在を約束してくれています。

都市のさまざまな文化的生活はもちろんのこと、少し足を延ばせば、多くの水に関連したのレクリエーションの可能性があり、バルト海沿岸という地の利を思う存分楽しめます。

近隣の都市には、約60キロメートル南西にハンブルク、約110キロ東にロストック、北東に約270キロメートルの距離にはデンマークのコペンハーゲンなどがあります。

市内を流れるトラヴェ川とトラヴェ運河に囲まれた島にある旧市街地は、1987年にユネスコの世界遺産に登録されています。

リューベックのシンボル、ホルステン門

©️Holstentor zu Lübeck im Mondlicht©️LTM

リューベック市のランドマークともなっているのは、旧市街地の入り口にあるホルステン門(Horstentor)で、リューベックの象徴ともいわれる建造物です。
裕福な都市を敵の攻撃から守るために設計された都市の要塞の一部として15世紀後半(1478年)に建てられました。
一部が博物館になっており、最大3.5メートルの厚さの壁の内部では、往時の「貿易の権威」についての展示をみることができます。 ハンザ同盟、貿易と船乗り、ホルステン門とその兵器の歴史についての興味深い事実は、さまざまなテーマの部屋で紹介されています。

左右にある三角のとんがり屋根が印象的な、この北ドイツ特有のレンガ造りで作られた建物は、現在ではレンガの重みに耐えきれず、建物の一部が陥没したため、塔が傾いています。(その後、適切な処置をしてあるので、これ以上傾くことはないそうです)

門の上部にはラテン語で刻まれた文字„Concordia domi foris pax“ –「内なる統一、外なる平和」が掲げられており、これはそのまま気さくでフレンドリーなリューベックの人々の気概を表すものともなっています。

ホルステン門への階段を守っている、等身大の2つの鉄のライオンは、いっしょに記念撮影をするのにもってこいです。

ホルステン門の道路を隔てたお隣に、カフェとショップを併設した観光案内所があるので、ここで市内観光ツアーの案内などもしてもらえます。

Tourist-Information Lübeck
(リューベック観光案内所)
住所 Holstentorplatz 1
23552 Lübeck
電話番号 0451 8899700
問い合わせメールアドレス info@luebeck-tourismus.de
ウエブサイト visit-luebeck(英語)
www.luebeck-tourismus.de(独語)
ご注意 新型コロナウィルスの影響についての状況により、
その都度の案内に従ってください。

リューベック地名の由来

地名のリューベックは、ドイツの権威ある独語辞典Dudenによると、この地の北約6キロメートルにあったスラブ人の集落Liubiceに由来するそうです。

現在の正式名称は、ハンザ都市リューベック(Die Hansestadt Lübeck)というので、自動車のナンバープレートの表示も、ハンザの頭文字であるHとリューベックの頭文字のLを並べて、HLとなっています。

ハンザ同盟とは?

©️https://de.wikipedia.org/wiki/Hanse#/media/Datei:Extent_of_the_Hansa-optimiert.jpg

ハンザ同盟とは、中世後期の北ドイツの都市による都市同盟です。
「ハンザ」という言葉はもともと、都市の間を交易して回る商人の組合的団体のことを指したそうです。

リューベックを中心としたハンザ同盟は、中世においてバルト海沿岸地域の貿易を掌握し、欧州北部の経済圏を支配していました。
そして、最盛期には100以上の都市が加盟し、都市同盟の中でも規模と存続期間において群を抜いており、また特殊な存在であるとされています。

「団体」を意味する古い高地ドイツ語「ハンザ」は、現在ドイツ語では「ハンゼ」(Hanse)と呼ばれます。

ハンザ同盟の中心となった都市は、リューベックの他に、ハンブルク、ブレーメンなどがあります。

ユネスコ世界遺産の街リューベック

1987年にリューベックの中世からの旧市街中心部が、ユネスコ世界遺産リストに追加されました。この際に渡された証明書は、リューベック市庁舎のロビーで見ることができます。

©️Rathaus zu Lübeck – Fassade©️LTM – Torsten Krüger

「7つの塔の街」(Stadt der Sieben Türme)

©️Lübeck Panorama mit Holstentor und den 7 Türmen ©️LTM – Hochbildnerei.de

リューベック、またの名を「7つの塔の街」(Stadt der Sieben Türme)と言います。

市区町村全体がユネスコ世界遺産としての栄誉を受けたのは、北ヨーロッパではリューベックが初めてなのだそうです。
よく保存された都市計画、5つのゴシック様式のレンガ造りの教会と7つの塔がある歴史的な建物群などが登録の決め手となったようです。

1世紀以上をかけ、何世代にもわたって建てられた、有名な7つの塔を持つ5つの中世のレンガ造りの教会は、今もリューベックの街の印象的なスカイラインを形作っています。 聖マリエン教会、聖ペトリ教会、聖エギディエン教会、聖ヤコビ教会、そして大聖堂(ドーム)の5つの歴史的な各教会は、常に信仰の場であり、人と人、芸術、文化の出会いの場でした。

実際に教会内部に入らなくとも、旧市街を徒歩で散策しながら、北から南に平行に走る道路に沿って立ち並ぶ、趣のある建物群を見て回るだけでも、歴史の流れを感じることができて、感慨深いものがあります。

マジパン(マルツィパン)~オリエント発祥のリューベック名物

マジパン©️神谷ちよ

リューベックの旧市街の路地を散策していると、マジパンの甘くいい匂いが漂ってくるかもしれません。それは、ローストしたアーモンドとお砂糖の香りです。

リューベック名物といえば、まず名前が挙がるのが、マジパン(またはマルツィパン) Marzipanです。

マジパンの起源については諸説あります。もともとはオリエント地方でMarci Panisと呼ばれた、アーモンドプードルを甘くして練ったハーレムのお菓子がもとになっているとか、アラビア語で「座っている王様」を意味する言葉「Mauthaban」がその語源だとか、十字軍の荷物に混ざってヨーロッパへ運ばれてきた・・・などなど。

一方で、土地の伝説を信じるならば、マジパンは実はリューベックで発明されたともいわれます。1407年に起こった飢饉のため、リューベックの小麦倉が空になったとき、市の上院はパン屋にアーモンドでパンを焼くように依頼したのが、その始まりと言われています。アーモンドパンを意味する言葉、Marci Panis(マルシパニス)が、マジパンの起源なのでしょうか?

ところで、マジパンがリューベックで甘いおやつとしての名声を獲得する以前は、薬局で医薬品として取引されていた時代があったそうです。

紀元900年には、ペルシャの医師Rhazesが、アラビア語の医学書の中で、マジパンは胃、腸、および精力剤としてプラスの効果をもたらすとして、その効能について述べているということです。

その後、リューベックに製菓ギルドが誕生し、マジパンの製作を始めました。当時は砂糖は高価な原材料で、その作成にも手間と時間がかかるものだったので、高貴な身分の人や、裕福な市民だけが甘いおやつを楽しむことができました。そのため、ルネッサンス時代の王室間での贈り物には、本物の金箔で飾られたマジパンがよく使われたそうです。

サトウダイコンから砂糖を採ることができるようになり、手ごろな価格で作ることができるようになり、一般市民にも甘いお菓子が楽しめるようになったのは、19世紀に入ってからということです。

マジパン博物館

現在、リューベックのマジパンといえばNiederegger社が有名ですが、同社のカフェの2回(日本式3階)に、マジパン博物館を設けており、このアーモンドのお菓子がどのようにして東洋からトラヴェ川沿岸のハンザ同盟都市までやってきたのかという長い旅に訪問者をいざなってくれます。

この博物館の中でもハイライトは、ドイツの誇る文豪トーマス・マンや、やはりドイツ出身のデザイナーのヴォルフガング・ヨープなど、マジパンで作られた12の等身大の人物像です。

ニーデレッガー マジパン博物館 Niederegger Marzipan-Museum
住所 Breite Strasse 89
23522 Lübeck
会館時間 月~金:9時~19時
土曜日: 9時~18時
日曜日: 10時~18時
ウエブサイト www.niederegger.de
入場料 無料

カフェ・ニーデレッガー(Café Niederegger)

©️pixabay_hakelbudel

リューベックに来たら一度は訪れたいのがここ。何度もドイツで最高のカフェとして受賞しているのが、カフェ・ニーデレッガーです。

1806年に菓子職人マイスターのヨハン・ゲオルグ・ニーデレッガーによって設立され、200年後の現在ではリューベックを代表するシンボルのひとつです。

街の中心部、市庁舎の向かい側にある本店では、マジパントルテ、ナッツトルテの他にも、朝食、ランチ、午後のコーヒー、トワイライトドリンクなど、贅沢なひと時が楽しめます。

Café Niederegger
住所 Breite Strasse 89
23522 Lübeck
営業時間 月~金:9時~19時
土曜日:9時~18時
日曜日:10時~18時
ウエブサイト www.niederegger.de カフェ

リューベックの街の見どころ

©️Travemündung mit Fischerboot ©️LTM

少しずつ情報を追加していくので、楽しみにしていてくださいね。

市内徒歩ツアー

©️Romantische Altstadt von Lübeck (c) LTM – Katharina Pierre

リューベックの旧市街地には誇り高い商人の家が立ち並んでいました。現在でもファサードの後ろ側にある、合計で90の趣のある小道や、家々の合間にあるロマンチックな庭などを見て回ることができます。 まるで中世の迷宮のようなこれらは、ハンザ都市リューベックの街の秘密のライフラインだったのです。

市内バスツアー

オープン・エアー・シティ・ツアー©️神谷ちよ

ウォータースポーツなど

©️Anbaden in Travemünde – Saisoneröffnung (c) LTM – René Sindt

船を利用した市内観光

©️Schiffergesellschaft zu Lübeck (c) LTM – Ingo Wandmacher

レストラン:SCHIFFERGESELLSCHAFT

この伝統的なレストランは、船員や船長が集まる最も重要な場所でした。 16世紀にたてられた建物は建設以来ほとんど変わっておらず、古い船の模型、写真、船乗り設備、木製のガレージ、シャンデリア、壁画、などエキサイティングなオブジェが並ぶ広い客室の歴史的な雰囲気は、一見の価値があるものです。

リューベックへの行き方

ハンザ都市リューベックは、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の北東にあるリューベック湾の南端にあります。

車での行き方

  • 北部からのアクセス: アウトバーンA7でフレンスブルク(Flensburg)まで、そこからA1でプットガルデン(Puttgarden)まで。
  • 東部からのアクセス: ロストック(Rostock)からはA20で、ベルリン(Berlin)からはA24でHamburgまで。そこからA1に乗り換えてください。
  • 南部からのアクセス:A7でハノーヴァー(Hannover)からハンブルク(Hamburg)まで。そこからA1に乗り換えてください。
  • 西部からのアクセス: ブレーメン(Bremen)からA1でどうぞ。

電車での行き方

ハンブルク駅構内©️神谷ちよ

https://www.luebeck-tourismus.de/service/anreise-parken

ICEまたはICでハンブルクに。 その後、ハンブルクからレギオナルエクスプレス(Regional­express)でリューベックまで約50分。

ドイツ南部からの速い列車接続:

例:ミュンヘンからICEで、ニュルンベルク、ヴュルツブルク、カッセル、ハノーバー、ハンブルクを経由してリューベック(ハンブルグ-リューベック間はREのみ)へ。

バルト海フェリーでの行き方

©️Travemündung mit Maritim und Fähre

スウェーデン、フィンランド、ラトビアからトラヴェミュンデ(Travemünde)の港まで。

ボートでの行き方

©️Travemünde bei Nacht

個人のボートでElbe-Lübeck運河、Wakenitz、またはTrave―Lübeck間またはTravemündeからもアクセスできます。快適なマリーナ、桟橋などが用意されています。

https://www.luebeck-tourismus.de/wasser/auf-dem-wasser/segel-und-motorboote#c5421

©️神谷ちよ

水道や電気などの設備が利用できるかどうかは、個々の連絡先アドレスに直接ご自身でお問合せください。事前にボートを申し込みする必要がある場合があります。

飛行機での行き方

リューベック空港-冬のフライトスケジュール(2020年10月25日-2021年3月27日)

リューベック空港-ミュンヘン空港およびリューベック空港-シュトゥットガルト空港、土曜日を除く毎日、往復しています。

路線バス6番が、リューベック空港の真正面で発着し、空港から中央バスステーションZOBまで、または中央バスステーションZOBから空港まで30分ごとに運行しています(所要時間は約30分)。

また鉄道駅「Lübeck Flughafen(リューベック空港)」から1時間ごとにリューベックの中央駅まで、またはリューベック中央駅からリューベック空港まで電車で行くことができます(所要時間は約9分)。

Flixbusでの行き方

リューベックへ長距離バスで行くのも便利な方法です。

ZOB(Zentraler Omnibus-Bahnhof 中央バスステーション)はリューベック中央駅のすぐ近くにあり、リューベックの旧市街からも徒歩わずか数分です。ホルステン門の観光案内所で直接チケットを購入することもできます。

以下のリンクから、リューベックへの長距離バス接続を見つけてください。 → フリックスバス

++注意:現在の新型コロナウィルスの影響により、Flixbusは2020年11月3日から一時的に運用を停止しています。

 




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