ドイツ移住にまつわる5つの長期滞在ビザの種類と取得難易度

2023年現在、日本とドイツの国際関係は比較的良好で、両国の国民は観光ビザで3ヶ月まで入国・滞在が可能です。もっとも、入国と移住は異なることに注意が必要で、ドイツで3ヶ月を越えて滞在したり、就職したりしたい場合は長期滞在ビザを申請しなくてはいけません。日本人がドイツに移住を目指す場合の主だった長期滞在ビザを5つ紹介します。滞在目的や難易度に応じて自身に適した滞在ビザを申請しましょう。

※本記事で紹介される情報はあくまで参考であり、最終的な滞在許可に関する判断は担当の移民局に委ねられます。

ワーホリビザ

31歳の誕生日を迎える前であれば、日本とドイツの締結しているワーホリ制度を用いて、ドイツで労働許可の伴った最大一年のビザを取得することが可能です。フランスのような制限人数が設けられているわけでもなく、後述するその他の移住方法と比較すると、ドイツへワーホリビザを用いて滞在する方法は難易度が低いと言えるでしょう。

もっとも、ワーホリビザを用いたドイツ渡航はあくまで永続的な「移住」ではなく、1年という期限付きの滞在許可証であることに注意しなくてはいけません。そのため、1年という限られた期間内に就職先を見つけ就労ビザに切り替えたり、大学受験に成功し学生ビザに切り替えるなどをおこなわない限り、1年後にはビザが失効、日本に帰国することとなります。

取得難易度 易しい(※年齢制限アリ)
できること 滞在、職探し、就労
期限 1年
欠点 1年で失効するため、ワーホリビザが切れる前に別のビザに切り替える必要がある

受験準備ビザ(Aufenthaltserlaubnis zur Studienvorbereitung)

語学学校や大学の語学準備コースを用い、ドイツの大学・大学院への受験を前提としたコースの受講をおこなうと、最大でコースの受講期間を上限として受験準備ビザを付与されることが可能です。こちらもビザも、上述のワーホリビザと同様に、あくまで将来的な長期滞在を前提としてはいるものの、受験準備ビザそれ自体が長期的に滞在できる効力や就労できる効力を持つわけではありません。

31歳以下であれば、受験準備ビザの上位互換のようなワーホリビザ(就労可能)を取得するほうが適していると言えますが、31歳以上での語学留学、あるいは1年以上長期にわたる受験準備を前提とする場合、受験準備ビザによる滞在が適しています。

取得難易度に関して言えば、自分を受け入れてくれる語学コースを見つけ、滞在中の生活費を証明できる残高などが見せられれば申請可能であり、後述のような滞在許可証と比較すると取得は容易であると言えます。語学コースでは、週18時間以上の受講が必要とされています。

取得難易度 易しい
できること 滞在
期限 語学コース受講中(最大二年)
欠点 あくまで「受験準備」という特殊な目的によってのみ発行される

就学(Studentenvisum)

ドイツの大学や大学院に進学することを条件に付与される滞在許可証で、限定された労働許可(自身の専攻に関係する場合など)を附帯することがあります。申請の条件として、大学の入学許可証の提示が求められることとなるため、プロセスとしてはまず「大学(大学院)に合格」→「申請」という形になります。

ちなみに、大学(大学院)卒業後は、最大18ヶ月の「職探しビザ(Aufenthaltserlaubnis zur Arbeitsplatzsuche nach dem Studium)」が発給されることとなり、永住権の取得要件も一般的な労働者と比べ緩和されることとなります。そのため、人によっては就労の前の段階で就学を挟むこともあります。

取得難易度 難しい
できること 滞在、一部の就労(パートやインターン)
期限 学在学中(あるいは期限付きで更新)
欠点 大学在学中のみカバーされるる

就労

ドイツでの長期的な滞在、移住を念頭に置く場合、基本的にはこの「就労ビザ」の取得がゴールになることが多いのではないでしょうか。

日本人がドイツで取得できる就労ビザは以下の3つにカテゴライズすることが可能です。

1:有期就労ビザ(会社に紐づく)
ドイツで働き始めた日本人はこの就労ビザからのスタートになることが多い。特定の雇用主や労働契約書に紐づくため、転職や退職の場合は改めてビザの更新が必要となる。

2:有期就労ビザ(会社に紐づかない)
ドイツで24ヶ月就労することを条件に、上記の有期就労ビザの特定の会社への紐づきが解除され、転職の際に新たに申請し直す必要がなくなる。

3:無期限就労ビザ
ドイツで60ヶ月以上就労すること(※ドイツの大学を卒業していれば条件緩和)を条件に発行。

無期限就労ビザを取得すると、会社を辞めたとしてもドイツに住所を持つ限り無期限でドイツに滞在することが可能となりますが、そのためには最低5年ドイツで就労することが必要となります。

取得難易度 難しい
できること 滞在、就労
欠点 取得難易度が高い

結婚

上記の就労と並び、ドイツへの永住や移住の際に日本人に広く使われることが多いのがこちらの配偶者ビザです。ドイツ人配偶者との結婚、ドイツに住んでいる日本人との結婚や同行、などの要件を満たすと発給されるビザで、就労制限がないため仕事をおこなうことが可能です。

就労や就学と違い、明確な目的を持ってするというよりは、ドイツ人配偶者を得ることで偶発的に手に入るものであるため、取得難易度は人によって異なると言えるでしょう。

取得難易度 ??
できること 滞在、就労

社会人のドイツ移住にあたって何が一番難易度が低いか?

滞在の目的や年齢にも大きくされますが、社会人がドイツへの移住を志す場合、31歳以下であればワーホリビザでの1年間の期限付き滞在がやはり難易度が低いと見なされます。もっとも、上述の通り、ワーホリビザはあくまで期限付きのため、その後もドイツに滞在したい場合はその滞在期間中に仕事や大学の入学許可を得る必要があります。

就労ビザや就学ビザは仕事や入学許可を得てしまえば申請自体はおこない易いですが、それを得るまでの難易度が高く、場合によっては1年以上かかる長期戦になることも考えられます。特に、ドイツ語を母国語として話さない日本人の場合、就職の間口は大きく限定されることに注意しましょう。

そんななか、日本人や日系企業に特化した就職エージェントを用いた就活をおこなう場合であれば、ドイツ語が話せなくても仕事が見つかる可能性が高く(参考記事: ドイツで転職エージェントを用いた就職活動の流れ)、比較的スムーズにその他の滞在ビザから就労ビザへの切り替えがおこなえ、ドイツ移住のための大きなステップが踏み出せることでしょう。




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