12月のドイツでは、夏の季節よりも果物や野菜が大幅に少なくなっています。冬の初めに、気温はマイナスになることも珍しくなく、作物の収穫にも影響を与えます。それでも、12月にもご当地で栽培された旬の野菜を楽しむことができます。
Obst & Nuss:12月が旬の果物&ナッツ
ナッツ類は、ドイツ語ではナッツフルーツ(Nussfrüchte ヌスフルフテ)またはシェルフルーツ(Schalenobst シャーレンオブスト)とも呼ばれ、フルーツに総称されることもあります。
多くの貴重な脂肪酸、ビタミン、ミネラルが含まれ、この季節はいたるところで様々なナッツが目につくと思います。 食べやすいように加工されているものから、しっかりと殻のついたものまで本当に色々です。
ドイツならではなナッツの味わい方も是非楽しんで見てください。
ヘーゼルナッツ(Haselnüsse ハーゼルヌッセ)
ヘーゼルナッツは、中央ヨーロッパによくみられる、カバノキ科ハシバミ属の落葉樹ヘーゼルの果実(ナッツ)です。どんぐりに似た外観の種皮を剥いた中身を食べます。
ピーナッツやアーモンドとは異なり、ヘーゼルナッツは植物学的な意味で、本物のナッツです。
何千年ものあいだ、人間によって食用とされてきた歴史があり、現在では多くの場合はお菓子に使われます。ドイツのスーパーの製菓材料コーナーに行くと、ヘーゼルナッツの果実を炒ったものが丸ごと、あるいは砕いたりプードル(パウダー)状になったものが売られていますね。
ヘーゼルナッツの50%以上は脂肪分ですが、健康的な脂肪分で、体内で細胞膜とホルモンを形成するために使われるので、これを食べたからといって太ることはないそうです。
ドイツでも人気のパンに塗るスプレッド、「ヌテラ」はヘーゼルナッツペーストをベースにしたものです。
Gemüse : 12月が旬の野菜
ケール(Grünkohl グリュンコール)
ケールは、キャベツやブロッコリーなどと同じアブラナ科の野菜で、ヨーロッパでは典型的な冬野菜として知られています。また、すべての食品の中で最も高いベータカロチン含有量があり、ビタミンCも豊富です。
ドイツでは、生食されることは少なく、一般的に調理時間も長い食材として知られていますが、実は短い加熱時間でもおいしくいただくことができる野菜です。
さっと湯がいたケールの葉をベーコンやハム、玉ねぎなどと一緒にサラダにするのは、葉物野菜が少ない冬の間に積極的に取り入れたい、とてもいいアイディアですね。
このケールを使った名物料理として、ドイツのブランデンブルク州の北西部、美しい丘陵地帯として有名なプリグニッツ(Prignitz)地域には、クニーパーコール(Knieperkohl)というお料理があります。
プリグニッツ名物のクニーパーコール(Knieperkohl)
クニーパーコールは、ザウアークラウトに似た野菜を発酵させた料理で、見た目のシンプルさに比べて、けっこう手がかかっているお料理です。
材料は、キャベツ(Weißkohl ドイツのスーパーで普通に売っている、巻きが強くがっちりと硬いタイプ)、マルクシュタムコール(Markstammkohl 茎が長く伸びた種類のキャベツ)、ケール、ワインの葉、そして桜の葉です。
クニーパーコールの歴史は、1618年から1648年の間にヨーロッパで起こった宗教戦争である30年戦争にさかのぼるそうです。
ドイツでは、人口の20%を含む800万人以上の死者を出した戦争として知られていますが、30年戦争の末期には、プリグニッツの人口は12分の1に減ってしまい、冬季の食べ物といえばザウアークラウトしかありませんでした。
しかし、キャベツがなくなってしまったので、それまで家畜の飼料として使っていたケールを発酵させて人間も食べることにしました。これがクニーパーコールの始まりです。
その製造方法は、ケールやその他のキャベツを湯でたものをよく絞り、陶器の入れ物にワインの葉と桜の葉を順番に重ねながら塩をして漬けていきます。
そうして乳酸菌により4~10週間発酵させると、クニーパーコールのできあがりです。
ふう、大変な手間と時間がかかっていますね。
こうしてできあがったクニーパーコールは、カセラー(Kasseler)やアイスバイン(Eisbein)、脂肪分の多いソーセージ(Kohlwurst, Lungenwurst, Lungwurst)などといっしょに煮込まれ、塩ゆでポテト(Pellkartoffelen)を添えてサーブされます。
冬の寒い日に体が温められる一品です。
チコリ(Chicorée シコレー)
チコリは、キク科の多年生野菜で、日本ではキクニガナ(菊苦菜)と呼ばれます。
チコリの色が白いのは、日を当てないで育てられるためです。 以前は、秋に砂の中にチコリの根を埋めて、冬に芽が15センチから20センチほど伸びたら、収穫されたということですが、今でもこの方法でチコリを栽培しているご家庭もあるそうです。
チコリは、それに含まれるラクチュコピクリンという苦み物質のため、ほろ苦い味わいを楽しむことができます。生のままサラダとして、または蒸したり、塩ゆでにしてもおいしい、応用のきく野菜です。
美食の国として知られるベルギーの情報筋によると、チコリはフランスやオランダ、ベルギーでは蒸して食べられることが多く、アメリカやドイツでは生のままが多いそうです。
また、チコリの国民一人当たりの年間消費量は、ベルギーで8キロ、フランスとオランダでは各4キロ、欧州平均では300グラムだそうです。
ドイツではどのぐらい食べられているのか気になりますね。