今年もバレンタインデーは、世界の多くの地域で2月14日に祝われます。ドイツでもこの日、恋人たちは贈り物を用意し、ロマンチックな言葉をささやきあいます。この時にお互いを呼びかける言葉が、『Schatzi』『Hasi』『Bärchen』などの愛称ですが、ほかにはどんな愛称があるのか、愛を確認する日にちなんで調べてみました。
バレンタインデーの起源
3世紀にイタリアの都市テルニの司教であった聖バレンタインが、バレンタインデーの起源と見なされています。
ローマの僧侶として活動していたバレンタインは、クラウディウスゴシック皇帝(西暦268〜270年)によって禁止されたにもかかわらず、キリスト教の儀式に従って夫婦を結婚させ、自分の庭から花を贈ったと言われています。
その結果、バレンタインは、ローマ皇帝により西暦269年2月14日に処刑されてしまいました。しかし、後の教皇ユリウス1世は、4世紀になり、バレンタインに敬意を表してローマに大聖堂を建てました。
そのような歴史があり、現在では聖バレンタインを記念して、毎年2月14日にバレンタインデーを祝います。
こちらのブログ記事でもバレンタインデーの習慣についてお伝えしていますので、ご覧ください。
愛称(Kosename)とは?
ドイツ語で「愛称」や「ニックネーム」を意味する言葉は、Kosename(コーゼナーメ)ですね。
これはkosen(コーゼン:愛情を込めて愛撫する)とName(ナーメ: 名前)というふたつの語からできていることからわかるように、言葉を用いて対象者を愛おしむ、という意味合いが含まれています。
主に親密な関係にある人(恋人、夫婦、両親、友人、子供など)に付けられ、相手を尊重し高めていう語や、可愛いものに例える語が多く使われます。
ドイツでは多くの人が、昔からあるクラシックな愛称を好んで使っているようです。
- Schatz(シャッツ:宝)
- Schatzi(シャッツィ:宝ちゃん)
- Schätzchen(シェッツヒェン:宝ちゃん)
などという言葉でパートナーに呼びかけます。
2013年の5000人の参加者を対象とした研究によると、ドイツ人の4人に1人が愛称で呼ばれており、全体の3人に1人が「シャッツ」と呼ばれていることがわかりました。
それ以外のドイツの愛称TOP10は以下のとおりです。
ドイツの愛称TOP10
- Schatz(シャッツ:宝)
- Hase(ハーゼ:ウサギ)
- Maus/Mausi(マウスマウジー:ネズミ)
- Bär(ベア:クマ)
- Engel(エンゲル: 天使)
- Schnucki(シュヌッキー:かわいこちゃん)
- Süße(スーゼ:スウィーティー)
- Liebling(リープリン:ダーリン)
- Spatz(シュパッツ:スズメ)
- Baby(ベイビー:赤ちゃん)
全体的に小動物の名称を使ったものが多いようですね。
ドイツ人の約10%は、愛称を選択する際にさらなる創造性を発揮し、
- Hexe(ヘクセ:魔女)
- Töffel(トッフェル:愚かな、不器用な人)
- Dickerchen(ディッカーヒェン:ふっくらちゃん)
などの、どちらかというとあまりポジティブな印象のない言葉で呼ぶこともあるようです。
動物の名前を用いた愛称
可愛いは正義!
動物の名前のすべてのバリエーションは、愛称としても適しています。動物の名前の前に「ベイビー」を付けたり、-chen(ヒェン:~ちゃん)という小辞形を示す接尾辞を付ければ、可愛さはさらに2倍、3倍に!
動物の名前に由来する愛称をご紹介します。
- Bambi / Rehkitz (バンビ/レーキッツ:小鹿)
- Babyelefant / Babyfant (ベイビーエレファント/ベイビーファント:赤ちゃん象)
- Babymaus / Mäuschen (ベイビーマウス/モイスヒェン:赤ちゃんねずみ/ねずみちゃん)
- Kätzchen (ケッツヒェン:ねこちゃん)
- Babywombat (ベイビーウォンバット:赤ちゃんウォンバット)
- Küken (キューケン:ひよこ)
- Brummbär / Brummelbärchen (ブルムベア/ブルムベアヒェン:)
- Schneckchen (シュネックヒェン:かたつむりちゃん)
- Ente / Babyente / Entchen (エンテ/ベイビーエンテ/エントヒェン:鴨/赤ちゃん鴨/鴨ちゃん)
- Waschbärchen (バッシュベアヒェン:アライグマちゃん)
- Babytiger / Tigerchen (ベイビーティガー/ティガーヒェン:赤ちゃん虎/虎ちゃん)
- Babylöwe (ベイビーレーベ:赤ちゃんライオン)
- Babypanda / Pandabärchen (ベイビーパンダ/パンダベアヒェン:赤ちゃんパンダ/パンダベアちゃん)
- Äffchen (エフヒェン:おサルちゃん)
- Schmusekätzchen (シュムーゼケッツヒェン:なでなで猫ちゃん)
- Täubchen (トイプヒェン:鳩ちゃん)
- Würmchen(ヴュルムヒェン: 虫ちゃん)
- Zuckerbiene (ツッカービーネ:砂糖蜂)
- Frechdachs (フレッヒダックス:生意気ダックス)
- Kröte(クレーテ:ヒキガエル)
かっこいい愛称
それほど一般的ではありませんが、耳にするとかっこいい、その人の資質を特化してほめる、その人に対する思いがダダ洩れになる愛称もあります。
- Held / Heldin(ヘルド/ヘルディン:英雄/英雄(女性形))
- Göttin(ゲッティン:女神)
- Elfe / Elfchen / Fee / Zauberfee(エルフェ/エルフヒェン/フェー/ツァウバーフェー:妖精/妖精ちゃん/仙女/魔法使いの仙女)
- Prinzessin / Prinz / Märchenprinz(プリンツェッシン/プリンツ/メアヒェンプリンツ:王女様/王子様/メルヘンの王子様)
- Angebetete / Angebeteter(アンゲベーテッテ/アンゲベーテッター:敬愛する人(女性形/敬愛する人(男性形)))
- Geliebte / Geliebter(ゲリーブテ/ゲリーブタ―:愛する人(女性形)/愛する人(男性形))
- Herzblatt(ヘアツブラット:愛する人)
- Traummann / Traumfrau(トラウムマン/トラウムフラウ:夢の男/夢の女)
- Königin(ケーニギン:女王様)
- Herz / Herzchen(ヘアツ/ヘアツヒェン:心臓/心臓ちゃん)
- Goldstück(ゴールドシュトゥック:金塊)
- Engel auf Erden(エンゲル・アウフ・エアデン:地上の天使)
- Hercules(ヘアクーレス:ヘラクレス)
- Dino(ディノ:恐竜)
さらには、
- ・Schönste / Schönster / Hübsche / Hübscher / Schönheit(シェーンステ/シェーンスター/フプシェ/フプシャー/シェーンハイト:最高に美しい人(女性形)/最高に美しい人(男性形)/可愛い人(女性形)/可愛い人(男性形)/美人)
と最上級にXX!な呼び方が勢揃いです。
地域による愛称の違い
ドイツ国内では、ニックネームの頻度と使用法に明らかな違いがあります。
北部では、ニックネームを持つ人々の割合が高いだけでなく、他のニックネームもいろいろと使われています。
南西部の人々は「マウス(ネズミ)」と言う愛称を多く使う傾向がありますが、北東部では彼らは自分たちのパートナーを「ハーゼ(ウサギ)」と呼ぶことを好みます。
性別による愛称の違いとLGBT
愛称を用いるのにも、どちらかというと女性に適したもの、どちらかというと男性に適したものがあるようです。女性はしばしば「マウス」または「天使」と呼ばれ、男性は「クマ」と呼ばれることが多いです。
この傾向は、同性カップルの間ではいくらかぼやけてきます。
ゲイの人々は自分たちを「天使」と呼び、レズビアンの人々は自分たちを「クマ」と呼んでいます。
心地よい愛称をみつけてくださいね
ドイツのいろいろな愛称をご紹介してきましたが、最も重要なことは、あなたの使う愛称が心からのものであり、心地よいものであるということです。
まだ愛称を使っていなかった人は、あなたのパートナーにぴったりくる愛称をみつけて、使ってみてくださいね。
すでに愛称を使っているけど、変えてみようかな?と思った方、このブログの記事がヒントになれば幸いです。