今年もまた新年が巡ってきました。1年の最初の月、ドイツの1月はどんな月なのでしょうか? ドイツの農家に伝わる言い伝えとともにご案内します。
1月をテーマにした農家の言葉
ドイツ語では「ヤヌア(Januar)」と呼ばれる1月は、グレゴリアン暦、ジュリアン暦ともに、1年の最初の月で、31日あります。
古めかしいドイツ語では、
「ハートモナート(Hartmonat)硬い月」
「シュネーモナート(Schneemonat)雪の月」
「アイスモント(Eismond)氷の月」
「ヴォルフスモナート(Wolfsmonat)オオカミの月」
などと呼ばれていたようです。
欧州大陸北部や北アメリカ、そしてアジアの大部分では、1月は1年で最も寒い月とされているので、古いドイツ語の月の呼び名にも、雪や氷などが使われているのですね。
現在の呼び方の「ヤヌア」というのは、「メンシス・イアヌアリウス(mensis Ianuarius)」ラテン語から由来するもので、2つの顔を持つローマの神ヤヌスにちなんでいます。
2つの顔を持つことからヤヌス神は、「始まりと終わり」または「入り口と出口」を象徴し、ドアと門の神様とみなされています。こちらもまた、一年の始まりの月にふさわしい由来だと思います。
ドイツ語圏のすべての国では、1月1日は国民の祝日となっています。
また、ドイツの一部の州(バーデン=ヴュルテンベルク、バイエルン、ザクセン・アンハルト)、オーストリア全国、スイスの一部の州では、1月6日の三聖王節(ハイリガー・ドライ・ケーニゲ、Heiliger Drei Könige)も祝日となっています。
そんな1月に関する、ドイツの農家に伝わる季節の言葉をご紹介します。
Morgenrot am Neujahrstag, Unwetter bringt und große Plag.
カタカナ発音: モルゲンロート・アム・ノイヤースターク・ウムヴェッター・ブリングト・グローセ・プラーク。
直訳: 新年の朝焼けと嵐は大きな迷惑をもたらす。
説明:1年の始まりの日の天気で、その年の兆候を占おうとするのは、洋の東西を問わず、人間の根本的な傾向なのかもしれません。
お天気次第でその年の収穫量が変わってくる農家では、未来の天気を予測することは死活問題でもあったことでしょう。
しかしながら統計的には、新年の天気とその年全体の天候とは、あまり関係がないようです。
「新年の日」という意味のドイツ語「ノイヤースターク」と、もともとは「疫病」を表す言葉だったのが、そこから転じて「迷惑」という意味にもなったドイツ語「プラーク」が韻を踏んでいます。
Ist der Januar hell und weiß, wird der Sommer sicher heiß.
カタカナ発音: イン・デア・ヤヌア・ヘル・ウント・ヴァイス、ウィルドゥ・デア・ゾマー・ジッヒャー・ハイス。
直訳: 1月が明るくて白いと、夏は必ず暑くなる。
説明: この農家の言い伝えの言葉は、ある程度信ぴょう性が高いようです。
寒い季節の高気圧の際の天候の特徴として見られる、一面の雪に覆われ、日光に満ちた1月は、素晴らしいお天気の夏を迎える希望の元となります。
統計によると、このような1月の年は5分の3の確率で、7月と8月の気温が平均よりも高いそうです。
「白い」という意味のドイツ語「ヴァイス」と、「暑い」という意味のドイツ語「ハイス」が韻を踏んでいます。
Januar je kälter und heller, Scheune und Fass um so völler.
カタカナ発音: ヤヌア・イェー・ケルター・ウント・ヘラー、ショイネ・ウント・ファス・ウム・ゾー・フェラー。
直訳: 1月が寒くて明るいほど、納屋と樽はいっぱいになる。
説明: この農家の言い伝えは、寒い1月の後には、平均以上の暖かく乾燥した夏を約束する他の一連の言い伝えのひとつに分類されるものです。
「より明るい」という意味のドイツ語「ヘラー」と、「よりいっぱい」という意味のドイツ語「フェラー」が韻を踏んでいます。