ドイツの1月は、その冷涼な気温のため、さすがに果物は採れませんが、地産する季節の野菜が何種類かあります。 寒冷期に収穫できる野菜には栄養が詰まっています。
Gemüse : 1月が旬の野菜
芽キャベツ(ドイツ語: Rosenkohl ローゼンコール)
19世紀初頭からヨーロッパの冬の野菜として人気を博している芽キャベツは、ドイツおよびスイスでは「ローゼンコール(バラのキャベツ)」、オーストリアでは、「Kohlsprossen コールシュプロッセン(キャベツの芽)」または「Sprossenkohl シュプロッセンコール(芽キャベツ)」と呼ばれます。
地域によっては、「Brüsseler Kohl ブリュッセラー・コール(ブリュッセルのキャベツ)」「Rosenköhlchen ローゼンケールヒェン(バラのキャベツちゃん)」と呼ばれるところもあるそうです。
ガンを予防する効果があるといわれる、アブラナ科に属するキャベツの変種のひとつで、原産地はベルギーのブリュッセル近郊とされています。
普通のキャベツと異なり、長く伸びた茎の脇に生える直径3~4センチほどの小さな芽をいただきます。
芽キャベツは、生食はできませんが、ビタミンCとタンパク質を多く含み、柔らかくゆでたものをサラダやシチュー、和え物、バター炒めなどにするとおいしくいただけます。
筆者の最近のお気に入りの調理法は、茎を取り、半分に切ったものを低温(160~170度)のオーブンでじっくりローストしたものを、サラダにしていただく方法です。野菜の甘味が増して、パクパク食べられます。
芽キャベツには、パセリ、バジル、セージ、タイムなどのハーブと相性がよく、スパイスではナツメグが、その味わいを引き立たせます。
サルシファイ(ドイツ語: Schwarzwurzeln シュバルツヴュルツェルン)
↑ サルシファイの下準備を丁寧に説明している動画
ドイツでは、「冬のアスパラガス」とも呼ばれるサルシファイは、スパイシーで少しナッツのような味がする、ヨーロッパの冬を彩る根野菜です。 別名、キクゴボウ、セイヨウゴボウとも言えます。
また、「貧乏人のアスパラガス」とも呼ばれることがありますが、サルシファイとアスパラガスは、植物学的には、全く異なる野菜です。 サルシファイは、タンポポやラディッキオなどのヒマワリ科に属しています。
直径2〜3cm、長さ30センチ前後の根だけが可食部分になります。
ドイツ語で「黒い根」と呼ばれるように、外側は黒いですが、皮をむくと中は乳白色で、繊維質とビタミンEが豊富です。
皮をむいて茹でる、または、炒めるなどの調理をしたものはナッツのような強い味わいがあり、食感もアスパラガスに似ていることから、レシピはスープからサラダ、リゾットまでと幅があり、グルメにも好評です。
スーパーなどでの購入時の注意
ちなみに、スーパーマーケットでサルシファイを購入する際は、無傷なものを選びましょう。先端が折れていたりするものは乾燥して風味が失われている恐れがあります。
薬用植物だったサルシファイ
16世紀まで、サルシファイはスペインでは野生の薬用植物としてのみ知られており、ヘビの咬傷や疫病の治療薬と見なされていました。この植物に多くの栄養素が含まれていることは、当時でも知られていたのです。
野菜としての栽培は17世紀に始まり、ベルギー、フランス、オランダに広がりました。
これらの国々は、現在でもサルシファイの主要な輸出国です。
サルシファイの収穫は、アスパラガスと同じように骨の折れる作業だそうです。深く張った根をていねいに掘り起こし、細心の注意を払って引き抜くわけですから、大変ですね。