月平均30万円?ドイツの社会人生活費の実態

OECDデータによると、ドイツの平均年収は58,940 USDで、日本の41,509 USDより4割程度高い水準となっています(参照:OECD2022)。もっとも、生活の質を評価するのは賃金水準だけではありません。いくら賃金がよくても、月々の支出が高ければ自身の望む生活を享受することはできないでしょう。
今回の記事では、ドイツの生活費の実態に迫ります。特に、ドイツ移住1年目の日本人をモデルケースに換算有りますので、移住を考えている方は参考にしてください。

ドイツの生活費事情

ドイツは世界でも有数の高所得国で知られていますが、一方で生活費や税金の割合も高く、可処分所得に換算するとあまり贅沢はできないことに気づかされるかも知れません。

ドイツの手取り賃金(中央値):2300~2500EUR
ドイツの手取り賃金(平均値):2700~2800EUR

また、ドイツにおける平均ではなく中央値の賃金に注目すると月額約3500EUR(年44000EUR)で、ここから税金を差っ引くと月の手取りは2300~2500EUR程度(ただし平均値としての手取りは月2700EUR~2800EURであることに注意)、都市の家賃水準などを勘案すると実はあまり贅沢ができない額だということになります。もっとも、業界や都市によってこの賃金水準は大きく異なり、ミュンヘンやフランクフルトのような都市ではその他の都市に比べ20%程度賃金水準が高い傾向にあります。

年35000~50000EURという賃金水準は、例えばドイツから日本に移住し、新しく仕事をはじめようとする人の一つのベンチマークにもなりやすく(駐在員を除く、現地採用基準)、ゆえにここで紹介される生活費とその生活水準が、ドイツ移住したての日本人の生活環境としてイメージしやすいかも知れません(参照:日本からドイツに転職する際の手順と注意点)

住居費+光熱費

※家賃は光熱費を含む場合と含む場合がありますが、ここでは含むパターンで算出をおこないます。

ドイツにおける家賃は、都市や中心部からの距離、大きさなどに大きく左右されることとなります。日本と同様に、ドイツにおいても手取りの中の家賃に割ける割合は3分の1~4分の1程度に抑えることが無難であるとされています。

例えば、ミュンヘンの中央部であれば家賃は一人暮らしであっても1200EUR程度、ケルンの外れなどの相場は600~700EUR程度で、さらに田舎町の外れまでいけば500~600EURまで家賃水準は下がります。仮に手取りが上述の通り中央値の2000~2500EUR辺りであれば、適正な家賃相場は700~1000EURということになるでしょう。

小さめの部屋の例 (C) flicker_Huhnbeauftragter

大きめの部屋の例 (C) flicker_Robert Jack

食費

日本の一人当たりの食費は4万円前後ですが、物価水準の高いと見なされるドイツでもその額はあまり変わらず、250~350EUR程度とされています。その秘密は、生活必需品の驚くべき安さにあり、例えばドイツを代表する野菜であるジャガイモ1㎏の価格は日本よりも安く、1.5EUR前後です(その他、玉ねぎやニンジンなど根菜類は全体的に安い傾向にある)。

(C) pixabay_stevepb

そのため、物価の高いイメージのあるドイツにあっても、自炊をおこなって生活する分にはそこまで負担なく暮らしていける、というわけです。

もっとも、食事の質にこだわりたければその限りではなく、例えば日本人の好むしょうゆや味噌、みりんなどの調味料は日本におけるよりもはるかに高い傾向にあり、場合によってはアジアショップなどで割高で購入する必要があります。

交際費

食費はEUが非関税であることの恩恵で安く享受することができますが、お金を持っている人からはがっつりと取るのがドイツのやり方、外食やバーなどの金額は高く設定されています。レストランにおける一皿の値段は20~30EUR程度が一般的で、マジョリティの支払い額は一人当たり26~50EUR程度。円に換算すると5000円~1万円程度が相場でしょうか。

日本のように居酒屋でご飯を食しながらちびちびお酒を、というスタイルよりも、節約好きのドイツ人は自宅で食事をしてから外でアルコール、あるいは自宅でそのままバーベキューやホームパーティ、といったスタイルを好み、また仕事上の接待などもそこまで多くないため、交際費はやはり収入の10%前後(150~250EUR)に収束します。

 

交通費

自動車大国のイメージが強いドイツですが、実は自動車の一人当たり保有率は日本以下で、通勤などには電車やバスを使う人も少なくありません。また、ドイツは世界でも類を見ない自転車大国で、人口と流通している自転車の量がほぼ同じという統計データがあります(つまり、一人当たり一台は自転車を保有している計算)。

そのような事情で、通勤や通学にどのような交通手段を用いるかによって交通費は大きく異なります。仮に自動車を保有していると、ガソリン代に加え自動車保険やメンテナンスなど、月10万円近い雑費がかかることとなります。平均すると、月に交通費にかける金額は収入の10%前後(150~250EUR程度)であることが多いようです。

通信費

携帯電話や家のインターネットは、通信料や通信速度によってコストが変わりますが、携帯電話に関しては月10GBの通信料を附帯するとして30~40EUR前後であることが多いと言えます。

家のインターネット通信費用も、おおよそ30~50EURの間に収束すると考えられていますが、会社によってはホームオフィスの条件として家のインターネットの速度を条件づけるところもあり、その場合は指定に従う必要があります。

その他

その他、アクティビティや旅行、衣服や投資など上記に含まれない費用はここに該当することとなります。例えば、ドイツ人の楽しみの一つである「Urlaub(長期休暇)」中の支出は年齢によって異なるものの、40代以上では一回の長期休暇で2000~3000EUR散在するというデータも存在します(参照:Frankfurter Allgemeine)。




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