季節のカレンダーによると、7月にドイツおよびヨーロッパで収穫される果物、野菜、サラダ、ハーブがたくさんあります。特に、トマトやきゅうりなど、一年中みかける野菜も、いまの季節なら露地ものもあります。7月に食べたい野菜や果物の一部をご紹介します。こちらの記事では、果物や野菜だけでなく、ハーブやサラダ菜もご案内しています。
Obst 果物 7月が旬の果物
果物(Obst オブスト)は、生でも人間が食べることができる、木本植物、および多年生植物の果実またはその一部(種子など)の総称です。
ドイツでは、2008年の調査によると、果物および果物製品(フルーツジュースを除く)の1日あたりの平均消費量は、男性が230グラム、女性が278グラムとなっています。
核果(Steinobst シュタインオブスト)
夏の間は、アプリコット、ミラベル、プラムなどのフルーツが市場に豊富に出回ります。 これらドイツ語でシュタインオブスト(Steinobst)と呼ばれるフルーツ(日本語では核果)は、ケーキを焼く時にも大活躍します。
6月の野菜と果物でご紹介したさくらんぼうも核果です。
また、ドイツではよく、「核果を食べた後に水を飲むと、腹痛になる」、と言われますが、これは本当でしょうか?
実は、この言説は、飲み水の品質があまり良くなかった時代には通用していましたが、現代ではその心配はなくなりました。
ミラベル(Mirabellen ミラベルン)
ドイツ、オーストリア間ではよくジャムやリキュールとして使われるミラベルン。ドイツよりはフランス産の方が有名ですが、ここドイツでも短い旬の季節ながらよく食される果物です。
お菓子に使われるほか、Mirabellenbrand (ミラベルンブラント)と呼ばれるフルーツブランディー(蒸留酒)として加工されます。
アプリコット(Aprikosen アプリコーゼン)
原産地はネパール方面ですが、日本でも杏として知られています。ドイツでは酸味よりも甘みが強くそのまま食べたり、ジャムにします。特に甘みを強くした小ぶりのアプリコット Zuckeraprikosen (ツッカーアプリコーゼン)は、お弁当やお出かけの際に持って行きやすく食べやすいのでオススメです。
アプリコット5粒で、一日に必要なビタミンCの20パーセントをカバーするそうです。
プラム (Pflaumen プラウメン)
Pflaumen プラウメンには、様々な種類が存在します。上述のミラベルンもプラウメンの一種ですが、ドイツでは果皮が濃い紫色のZwetschgen ツヴェッチュゲンもよく食されます。これは果肉がやや硬めで、加熱しても形が崩れず、種からも取り外しやすいためケーキに多用されます。
この時期、4つ割りにして種を取り除いたツヴェッチュゲンを、イースト生地やタルト生地の上に敷き詰め、天板で焼いたケーキ Zwetschgenkuchen (ツヴッチュゲンクーヘン、またはZwetschgendatchiツヴッチュゲンダッチとも呼ばれます)を、ケーキ屋(Konditorei コンディトライ)さんやパン屋(Bäckerei ベッカライ)さんでよく見かけると思います。
そのままでも十分おいしいですが、泡立てた生クリームを添えていただくと絶品ですので、ぜひ、Mit Sahne (ミット・ザーネ、生クリーム付きで)と言って注文してみてください。
ブルーベリー(Blaubeeren ブラウベーレン、またはHeidelbeeren ハイデルベーレン)
ブルーベリーも7月が旬の果物です。ブルーベリーは甘すぎず、マフィン、ケーキ、ヨーグルトやクヴァルクに合います。小さな丸い果実は押されるとすぐ傷みますので、注意深く保管し、すぐに消費する必要があります。
ブルーベリーにはミルティリンという濃い青色の色素が含まれており、体内のフリーラジカルを中和し、血管の弾力性を促進します。また、ビタミンCとEも豊富です。
Gemüse 野菜 7月が旬の野菜
野菜(Gemüse ゲミューゼ)は、野生植物または栽培されている植物の可食部の総称です。
多くの場合、1~2年生の草本の葉や塊茎、茎または根で、それらを生のまま、加熱調理して、または保存食として楽しむことができます。
野菜は、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、主に補完食品として消費されることが多いですね。カロリーが低いというのも嬉しい特徴のひとつで、ダイエットの強い味方です。また、野菜は繊維質も多いので、消化に際し重要な機能を果たします。
スイスチャード(Mangold マンゴルト)
スイスチャードは非常にビタミンが豊富な野菜です。 また、鉄分も多く含まれているため、特に菜食主義者には最適な肉の代用品です。 フダンソウの葉はほうれん草、茎、葉リブはアスパラガスのように準備できます。 ちなみに、砂糖はテンサイがスイスのチャードに取って代わる前に、砂糖が豊富な根から得られました。
細く切ってから、みじん切りにした玉ねぎとニンニクといっしょにバターで炒め煮にして塩コショウしてから、ちょっと生クリームを加えたものは、お肉料理の良い付け合わせになります。
キュウリ(Gurken グルケン)
温室栽培され、いまや年中スーパーで見かける野菜ですが、本来の旬は6月から9月にかけてです。
カボチャ科に属するキュウリは、ドイツでは大きなサラダ用キュウリ(Salatgurken、ザラートグルケン)と小さなピクルス用のキュウリ(Einlegegurken、アインレーゲグルケン)に分けられます。どちらもその90パーセントは水分から構成されています。
ピクルス用のキュウリの産地としては、ドイツでは、ベルリンからもほど近いシュプレーヴァルト(Spreewald)が有名です。
16世紀に生地製造業者によってオランダから輸入されたキュウリの種子が、腐植質に富み、泥炭で肥沃な土壌であるシュプレーヴァルト地域で、特によく育ちました。キュウリの味はドイツ人にとても好まれ、今日では、シュプレーヴァルトはドイツで2番目に大きなキュウリの産地となっています。
ところで、シュプレーヴァルトのピクルス用キュウリの穫り入れは、人が手で行っているのをご存じですか?
そして、その穫り入れには、グルケンフリーガー(Gurkenflieger、キュウリ飛行機)と呼ばれるユニークな機器が使われているということも?
ピクルス用キュウリの穫り入れ風景を、日本でも、2005年から2006年にかけて『だいすき! マウス』というタイトルでNHK教育テレビで放映された、ドイツが誇る子供番組“Die Sendung mit Maus”で紹介していますので、ぜひリンクからご覧ください。 (ドイツ語、3分57秒)
Salat 7月が旬のサラダ
サラダは、収穫され、洗浄されたあと、ほぼ未調理の状態で、料理のサイドディッシュなどとして食される栽培植物です。
古典的な意味でのサラダ用の植物としては、葉物野菜が上げられますが、トマト(果物野菜)やニンジンなど、実や根の部分がサラダとしても使用される植物もいくつかあります。
他にも、ネギ属の野菜(玉ねぎ、エシャロット、リーク、ギョウジャニンニクなど)や、穀類、豆類、野菜の種子を人為的に発芽させたスプラウトなども、サラダとして食されることがありますね。
エンダイブ(Endivie エンディーヴィエ)
ラインラント州の特産品とされているエンダイブは、サラダとして生で食べるほか、ほうれん草やスイスチャードなどのように、加熱しても食べられます。
細かく刻んだエンダイブをベーコンキューブとみじん切りの玉ねぎと一緒に傷めたものをマッシュポテトに混ぜ、肉料理や魚料理に添えて食べるとおいしいです。
現在、エンダイブは5月から12月にかけて市場に出回ります。買うときは、真ん中の薄黄色の中心部が、全体の少なくとも3分の1を占めているかどうか確認してください。それはより高品質ということになります。買ってきたエンダイブは、湿った布に包んでから冷蔵庫の野菜室に入れれば2〜3日保管できます。
キッチンハーブ 7月が旬のハーブ
ルリジサ、ボレージ(Borretsch ボレッチ)
ルリジサの葉は、サラダにしたり、スープに入れたり、ほうれん草と同様に野菜として調理することも可能です。また、ルリジサの葉は、フランクフルト(アム・マイン)地域や、カッセル地域で、ヘッセン地方の代表的な料理として供されるグリーンソースの材料としても有名です。
中でも、フランクフルター・グリーンソース(写真のグラスに入っているグリーンのディップ)が有名です。
ロベージ(またはラビッジ、ラベッジ)(Liebstöckel リープシュテッケル)
ハーブとして使われるセリ科、セリ亜科の多年草植物です。
新鮮なロベージの葉は、細かく刻んでスープや卵料理、アンズタケまたはその他のキノコ料理に使うとよいスパイスになります。味はセロリとマギーの調味料を連想させる特徴があります。 また、ロベージの葉は乾燥、または冷凍保存することができます。