ドイツのイースター( 復活祭 )の祝い方【 Ostern 】

キリストの復活を祝う祝日であるイースター。キリスト教においては、クリスマスと並ぶ大切な行事ですが、一般の日本人にはまだあまり馴染みのない祝日ではないでしょうか。ドイツではイースターをどのようにお祝いするのか調べてみました。

イースター(復活祭)の由来

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イースターという英語でも知られる復活祭(独語:Ostern オスターン)は、ゴルゴダの丘で十字架にかけられて死んだイエス・キリストが、死後三日目に復活したことを祝うキリスト教のお祭りです。クリスマスに次いで最も重要なお祭りとされており、多くの教会で特別な礼拝が行われます。

ドイツでは、キリスト教が主要な宗教とされており、さらにローマ・カトリックとプロテスタントに二分されています。そのいずれにおいても、教会を離脱する人が増えている昨今ですが、年に2回、クリスマスとイースターだけには教会の礼拝に参加する、という人も多いようです。

また、イースターは移動祝祭日のひとつで、毎年決まった日になるわけではありません。春分後の最初の満月のあとにくる日曜日がイースターとなり、年によって3月21日から4月25日の間のどれか、となります。

ドイツのイースターの祝日スケジュール

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年間でも2大行事のひとつにあたる祝日ですから、ほとんどのドイツの州では学校がイースターの前後2週間ほどお休みになります。

就学児童のいるご家庭では、下記のウエブサイトを見ていただくと、イースターのほかにも各州ごとの年間の学校休暇を確認することができます。

https://www.schulferien.org/ (ドイツ語のみ)

もちろん子供たちだけでなく、大人もお休みになるのがイースターです。会社へ行ったら誰もいなかった、ということのないようにご注意くださいね。

いわゆるイースターの祝日は、すでに聖木曜日(ドイツ語:Gründonnerstag グリュンドナスターク、英語:Maundy Thursday 洗足木曜日と呼ばれることも)から始まり、聖金曜日(ドイツ語: Karfreitag カーフライターク、英語: Good Friday  グッド・フライデー)、聖土曜日(ドイツ語: Karsamstag カーサムスターク)、聖日曜日(ドイツ語: Ostersonntag オスターゾンターク)と続き、聖月曜日(ドイツ語: Ostermonntag オスターモンターク)までが祝日となります。

イースターの祝日
2020年
4月9日
聖木曜日 Gründonnerstag
グリュンドナスターク
Maundy Thursday
4月10日 聖金曜日 Karfreitag
カーフライターク
Good Friday
4月11日 聖土曜日 Karsamstag
カーサムスターク
Holy Saturday
4月12日 聖日曜日 Ostersonntag
オスターゾンターク
Easter Sunday
4月13日 聖月曜日 Ostermonntag
オスターモンターク
Easter Monday

ドイツのイースターの習慣いろいろ

ドイツには、野ウサギが子供たちにイースター・エッグを運んでくるという伝承があるそうです。卵は生命の誕生を象徴するオブジェであり、またウサギは多産であることから、春の到来とともに、生命の復活と繁栄を祝うイースターのシンボルとなっているようですね。

クリスマスとならぶ最大のお祝いとされるイースターには、ほかにもキリスト教に由来するいろいろなしきたりがあるようですので、それらを見てみましょう。

聖木曜日には緑色のものを食べよう!

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聖木曜日は、イエスと弟子たちがユダに裏切られ、ローマ人に捕えられる前の最後の晩餐の日を象徴しています。 古い習慣では、聖木曜日は主に緑色のものが食べられました。長い冬の日が終わりに近づき、来る春のエネルギーをあますことなく取り入れようと、この日に新鮮なハーブを集めて食べるのがいいようです。ちょうど日本の「春の七草」にも似ていますね。

古代の慣習によれば、一部の人々は木曜日にキャベツ、イラクサ、などを食べたということですが、お手軽にするのであれば、冷凍のホウレンソウなどを使用するということでも大丈夫です。

聖金曜日は沈黙の日

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聖金曜日はキリスト教ではいわゆる沈黙の日とされているため、踊ったり賑やかに過ごすことが禁止されているそうです。 スポーツイベントや、娯楽のための他のすべてのイベントなど、さまざまなパブリックイベントを禁止しているということです。

そんな聖金曜日には、伝統的に魚料理やベジタリアン料理の軽い料理がよく食べられます。 キリスト教地域では、特に聖金曜日のディナーに関しては、肉を避けることが重要な意味を持ちます。

その伝統は2世紀にさかのぼりますが、当時は、肉を買う余裕のある人はわずかで、特別な喜びのためのお祝いの日だけに用意されるものでした。聖金曜日は、お祝いの日ではなく、逆にイエスの十字架刑に象徴される悲嘆や苦行、禁欲を思い起こすものなので、 肉は食べず、代わりに魚がテーブルに出されたということです。

聖金曜日の定番ディナーとしては、揚げたタラやスモークしたマスにキュウリのサラダやディル風味のポテトサラダを添えたものなど、あらゆるバリエーションの魚料理に加えて、各地の特色も豊です。

また、ちょっとおしゃれなサラダからシンプルなスープまで、ベジタリアン料理も聖金曜日に人気があります。

聖土曜日にはパンを焼いて焚火を見よう

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聖土曜日は、イースターの日曜日の準備の日です。 伝統的に、ドイツでフラーデンブロート(ドイツ語: Osterfladen) と呼ばれるイースターのフラットブレッド、イースト生地で作られたイースターの子羊、イースターの組みひもパン(ドイツ語: Zopfbrot)はこの日に焼かれ、イースターの日曜日の準備は万端となります。

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また、聖土曜日は、イースターファイヤー(ドイツ語:Osterfeuer)と呼ばれる盛大な焚火が催される地方も多いようです。 この習慣は非常に古く、冬とその悪霊を追い払う意味があるようです。

聖日曜日は家族でお祝い

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復活祭の日曜日は、イエスの復活が祝われる祝日です。家族そろって囲むお祝いのテーブルでは、伝統的には、ローズマリー風味のイースターラム、柔らかいローストウサギ、上質なイースターハム、ボリュームのあるパイなど、肉料理を再び食べることができます。

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いわゆる、イースターエッグ・ハンティングもこの日に行われます。小さいお子さんのいる家庭では欠かせないイベントですね。

また、ドイツの家庭では、自転車や携帯のプリペイドカードなど、この日にプレゼントをもらうお子様たちも少なくないとか・・・

聖月曜日はスポーツ再開

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イースターの月曜日は、断食も終わったということで、スポーツ競技や数多くの儀式のお祝いなど、さまざまなお祝いが展開されます。

またオーバーバイエルンの多くの農村地域では、この日に畑を家族総出で見回るいう古い習慣が生き続けているそうです。

イースターを彩る イースター・エッグ 自然素材を使って色付けしてみよう

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子供たちが大好きな色とりどりのイースター・エッグ。これがなければイースターも始まらない、と言っても過言ではないでしょう。ドイツでは、18歳未満の子供がいる家庭の約75%は、毎年イースターのために自分で卵をペイントまたは染色しているそうです。

スーパーなどには市販の着色料がたくさん売られていますが、普通の食べ物を使って着色することもできます。あなたも自然素材を使った繊細な色合いのイースター・エッグを作ってみませんか?

  1. ウコン:卵を金色に輝く黄色にしたいと思ったら、ウコン(ドイツ語: Kurkuma)です。ウコン根10グラムを水5リットルに加え、10分間煮沸させ、その中にゆでた卵をいれたり、ブラッシングすると、きれいな色になります。
  2. 玉ねぎの皮:水でタマネギの皮を20分間沸騰させてからゆで卵を入れ、しばらくするときれいな黄金色になります。
  3. ドライ・ブルーベリー:あざやかなバイオレット色の卵、これはなかなか人目をひくこと間違いなしです。乾燥したブルーベリー20グラムを1リットルの水で約10分間煮沸するだけで、染色の準備が整います。
  4. ビーツ:ビーツ(ドイツ語: Rote Beete)を調理した経験がある方は、その着色効果をよくご存じのことでしょう。(画像)https://pixabay.com/de/photos/rote-bete-saft-saft-rote-bete-2512474/3〜4個のビーツの皮をむき、少量の水で30〜40分間煮詰めます。ここにゆで卵をいれると赤い卵ができます。
  5. ほうれん草:30〜45分ほど、300グラムのほうれん草を水から煮ます。ここにゆで卵を浸せば、元気なポパイグリーンのイースター・エッグの出来上がりです。☆いずれの場合も、色付けして乾かしたあとに、少量の食用油などで磨くと艶が出て満足度も高まります。

ドイツのイースターのいろいろな習慣、いかがでしたか? みなさんも、楽しいイースターをお過ごしください。




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