世界各地でカップルの愛の誓いの日とされるバレンタインデー。 日本では「女性から男性へチョコを贈る日」として定着していますね。 ですが、ドイツをはじめとするヨーロッパ各国では逆に、男性から女性へ贈り物をする日と考えられているところが多いようです。 また、特に恋人同士ということではなく、友人同士で贈り物をする、という地域もあります。 日本とドイツ、その他の世界各国で大きく異なるバレンタインデーの習慣の違いを比べてみました。
バレンタインデーの起源
まず最初に、そもそもバレンタインデーとは何か、というところを調べてみました。
この日の習慣は、殉教者である聖ヴァレンティヌスの祝宴にさかのぼります。 すでに西暦469年には2月14日はヴァレンティヌスの追悼の日として、教会の行事に組み入れられていました。
しかし、行事としては1969年にローマ教会暦からは消されましたが、2月14日に結婚したカップルを祝福する習慣は続けられているそうです。
古代のローマ帝国でも、2月14日はすべての神々の女王であり、家庭と結婚をつかさどる女神ジュノー(ユーノー)の祝日でした。 また、2月13日~15日は、豊年を祈願するルぺルカリア祭が行われ、この祭りのために若い男女が組み合わされてパートナーとなり、一緒に祭りを祝うという風習があったそうです。
ドイツのバレンタインデー
西ドイツでは第二次世界大戦後、そこに駐留する米軍兵士のためにValentinstag – バレンタインデーが知られるようになりました。
1950年に最初の「バレンタイン舞踏会」がニュルンベルクで開催され、その後 、バレンタインデーは2月14日以前に生花業界・フローリストおよび製菓業界が、販売活動の一環として広告を活発にうつようになったことから、徐々に一般的に知られるようになりました。
ドイツのバレンタインデーで最も一般的な贈り物の一つは、なんといっても花です。 2018年のバレンタインデーだけでも、ルフトハンザカーゴは800トンの赤いバラをドイツに輸送したそうです。
イタリアのバレンタインデー
イタリアではこの日、恋人たちは水辺か橋のたもとで会うそうです。 多くの場合、恋人たちがそれぞれのイニシャルを書き込んだ「ラブロック(愛の鍵)」と呼ばれるものを、橋に取り付けます。 その後二人は鍵を水の中に投げ込み、永遠の愛を誓うのだそうです。なんともロマンチックですね。
ギリシャのバレンタインデー
ギリシャでは、バレンタインデーの伝統とロマンチックな愛との間に、特に関係はないそうです。 正教会では、恋人の守護聖人と考えられているカイサリア(カッパドキア)のヒヤシントゥスの祝日は7月3日です。
北欧3国のバレンタインデー
バレンタインデーは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデンでも知られていますが、それほどさかんには祝われていません。 1960年代から「アメリカから来た習慣」として少しずつ根付いてきているようです。 パートナーとのロマンチックなディナーに時間をかけたり、グリーティングカードを送ったり、赤いバラを愛する人に渡したりします。
フィンランド、エストニアのバレンタインデー
フィンランドでは、バレンタインデーはイスタヴェンパーイヴァ(「友達の日」)と呼ばれています。 通常、カードまたは小さな贈り物を匿名で送ります。 エストニアでは、バレンタインデーはSõbrapäevとして知られていますが、これは「友人の日」を意味します。
英国のバレンタインデー
15世紀以来、英国では小さな贈り物や詩を送るバレンタインのペアが結成されるようになったそうです。 このペアは、バレンタインデーの前の日または当日の夜にくじを引くことによって形成されました。
ビクトリア朝時代には、恋人同士の間できれいなカードを互いに送る習慣があったそうです。 現在の英国では、人口の半分以下がバレンタインの贈り物を購入します。 なんと、年間約13億ポンドがカード、花、チョコレート、その他の贈り物に費やされています。 そして、バレンタインデーに送られるカードの数は約2500万と推定されるそうです。
ウェールズでは、バレンタインデーは祝われませんが、恋人の守護聖人と考えられているウェールズの聖人ドウィンウェン「Dydd Santes Dwynwen」という聖人の日が1月25日に祝われます。 愛の象徴として、ウェールズではお菓子やその他の贈り物だけでなく、伝統的なフィリグリー彫刻が施された木製のスプーン、いわゆる「愛のスプーン」も交換されます。
米国のバレンタインデー
米国では、バレンタインデーに送付されるカードの数は約1億9000万と推定されています。 学校の生徒と教師がお互いに交換するカードも合わせると、推定値は約10億(!)にも達するそうです。 低学年のクラスだと、学校の授業でカードの書き方を習うそうですよ。 可愛いですね。
日本のバレンタインデー
日本でのバレンタインデーは、1936年にモロゾフ製菓会社が日本国内に在住する外国人向けに広告を出したことから始まったようです。
ハート型のチョコレートは1953年に製造され、他の日本の製菓会社もそれに続きました。 その5年後の1958年、伊勢丹百貨店が「バレンタインセール」を開催。 1960年代のさらなるキャンペーンにより、「バレンタインデー」は日本でもよく知られるようになりました。
ところで、女性だけが男性にチョコレートを贈るという習慣は、最初のキャンペーンでチョコレート会社が行った翻訳エラーによるものです。 他の欧米諸国とは対照的に、日本ではグリーティングカード、花、食事の招待状などの贈り物は一般的ではありません。
日本の記念日文化研究所によりますと、2019年のバレンタインデーの推計市場規模は約1260億円とのこと。 日本のチョコレートメーカーは、この期間に年間売上の半分を稼いでいるということです。
海外にホワイトデーはあるの?
最後になりますが、海外にはホワイトデーという習慣はありません。 贈り物をいただいたらお返しをしないといけない、と考える日本文化が生んだ独自の習慣のようです。