ゲルマンの伝統が生きている!? ドイツの父の日

日本では、6月の第3日曜日に祝われるのが常の「父の日」ですが、ドイツでは5月に祝われることが多いのです。なぜこのような違いがあるのでしょうか? どうやらゲルマンの伝統に基づく理由があるようです。

父の日のはじまりは?

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父の日(ちちのひ)とは、父に感謝を表す日ですね。

ドイツ語圏の国によって、その意味するところと日にちは異なりますが、もともとのそのルーツは、アメリカ合衆国にあるそうです。そこでは、母の人同様に、父の日が、父親の名誉の日として祝われます。

この休日は、ルイーザ・ドットという女性が、南北戦争(1861~1865年)で戦った父を称えるために1910年にはじめた運動がもとになっています。

ルイーザ・ドットの母親は、彼女が16歳のときに亡くなり、その後、父のウィリアムが彼女を含めた6人の兄弟を、戦後の大変な時に男手一つで育て上げました。

そんな父への敬愛の気持ちから、ルイーザは母の日があれば、父の日もあるべきだ、と考えるようになりました。

地元の新聞社などを巻き込んでキャンペーンを繰り広げた結果、1924年には、当時の大統領、カルビン・クーリッジは、いくつかの州で特別な休日を導入するよう勧告を出しました。

その後、1966年に、リンドン・ジョンソン大統領が、6月の第3日曜日を公式の祝日として設定しました。

ドイツの父の日

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一方ドイツ、特に東ドイツでは、父の日は、男性が連れ立って森や野原を散策する日というイメージが強いようです。 もっといえば、男性が連れ立ってビールを飲む日、という認識のほうが、より現実的かもしれません。

ドイツ語で「ヘーレンパルティー(Herrenpartie:Herren = 男性の複数形+ Partie = 一戦)」と呼ばれる、この伝統的な父の日の遠足では、老いも若きもこぞってビールなどのアルコールを持参して、山野にハイキング&ピクニックにでかけます。

グループ行動が基本ですので、携行する飲食物の量もかなりのものになりますから、ボラーワーゲン(Bollerwagen)またはハンドワーゲン(Handwagen)などと呼ばれる引き車などで運搬することになります。

赤ちゃんを乗せたり、荷物を載せたりすることも多い©️ Pixabay_Couleur

野原や森を検分してまわるフルアウムガング Flurumgang

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この楽しい伝統ですが、もともとは、キリスト教以前の伝統として、昇天祭の日に、野原や森を検分してまわるフルアウムガング(Flurumgang:Flur = 農地、地籍 + Gang = 臨地)が盛んだったところから来ているそうです。

ゲルマンの法的慣習として、農地の所有者が年に一度、自分の所有地を見て回る必要があったということなのです。

それが、中世には次第に、当初の意義が失われ、単にアルコールを持参して森や野原を散策するお楽しみツアーと形を変えていったようです。

そして、19世紀には伝統的な「へーレンパルティ」として知られていた昇天祭の日が、1914年に米国で母の日が導入された後には、この日は「父の日」として、人々にごく自然に認識されるようになったということです。

今時ドイツの父の日

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現在では、友達同士で、親子で、あるいは家族でと、さまざまな形態でこの日を祝いますが、慣習として、人生の経験豊富な父親は自分でビールを持参したり運搬したりする必はないことになっています。代わりに、息子たちや若い衆が重荷を担い、年長者をねぎらいます。

一方で、昇天祭当日に、あまりに多くのハイキングやバーベキュー大会などが開催されるため、アルコール消費量の増加もばかにならないという問題もあるようです。

連邦統計局の統計によると、昇天祭の日のアルコールに起因する交通事故の数は、他の日の平均の3倍となり、年間を通してのピークに達しているということです。

みなさん、よっぽど飲むのですね。

Christi Himmelfahrt – 昇天祭とは

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ところで、先程からよく話に出てくる、この昇天祭というのは、そもそもどんな日なのでしょうか?

昇天祭(ドイツ語:Christi Himmerlfahrt クリスティ・ヒンメルファート )、または昇天日 (英語:Ascension Day) は、キリスト教の祝祭日の一つで、「キリストの昇天」を記念し祝うものです。この日は学校や会社、スーパーなどもお休みとなります。

昇天祭はイースター(復活祭)・サンデーの祝日の39日後に祝われので、昇天祭は常に木曜日に開催されることになります。

それというのも、新約聖書によると、復活したキリストは弟子たちに40日間見守られ、神の国について教えた後、天国に召されたからです。

また、イースター(復活祭)が移動祝祭日なので、昇天祭も毎年日にちが異なります。可能なかぎり最も早い日付は4月30日で、最も遅くて6月3日となります。 2020年の昇天祭は、今日、5月21日です。

欧州各国の父の日

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所変われば品変わる。 同じヨーロッパ、同じドイツ語圏でも、各国で、また各地域で、父の日の祝い方は異なるようです。

オーストリア

オーストリアでは、父の日は6月の第2日曜日です。 母の日と同様に、花や小さなプレゼントを贈ります。 父の日は1955年にオーストリアで初めて祝われ、ますます人気が高まっています。

スイス

スイスでは、父の日は伝統的に祝われてはいなかったそうです。 それでも、ドイツからの移民家族と、ドイツとの国境地域では祝われていたということです。

それが2007年になり、父を祝うフェスティバル兼アクションデーがスイスでも正式に導入されました。そして2009年からは、いわゆるスイスの父の日が6月の第1日曜日に全国的に祝われることになりました。

しかし、他の国の父の日とは対照的に、スイスの父の日は主に、父と子供のアクションデーとしての意味合いが強く、政治的側面も目的としているようです。そのような動きを受けて、2008年6月15日の2回目の実施の際には、家族と仕事の両立という課題に焦点が当てられたということです。

一方、イタリア語圏のスイスにあるティチーノ地域では、父の日はイタリアと同様に、3月19日のヨセフの日に祝われます。

リヒテンシュタイン

リヒテンシュタインでも、イタリアと同様に、父の日は3月19日のヨセフの日に祝われ、この日は地域的に祝日となります。

イタリア

主にカトリックのイタリアでは、父の日(Festa del papàフェスタ・デル・パパ)は、3月19日のヨセフ日に祝われます。 父の日は、家族の休日として根ざしている習慣であり、母の日との対応として祝われます。

子供たちは父親への小さな贈り物を作ったり購入したりし、詩を学んだり、幼稚園や学校では小規模な劇や歌などを演奏したりするそうです。

フランス

フランスでは、父の日は1952年以来、6月の第3日曜日に祝われます。

オランダ

オランダでは1948年以来、父の日は6月の第3日曜日に祝われます。 この日、父親は朝食をベッドに運んでもらい、典型的な「男性用の贈り物」をもらうということですが、その中身が気になるところです。

このように、国により、地域により、さまざまに異なる父の日の祝い方ですが、あなたはどの祝い方が一番好きですか? 自分なりのスタイルで楽しんでくださいね。

 

 




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