ドイツの8月。都市部を離れてちょっと郊外へ足を延ばすと、一面に広がる畑や牧草地を見ることができます。太陽はさんさんと輝き、熟した小麦は黄金色に輝き、8月は農産物の収穫の月でもあります。
8月をテーマにした農民の格言
7月から8月にかけては、北ヨーロッパに位置するドイツでも一年で一番暑い日が続きます。そして、穀物や干し草が収穫されるのも、7月から8月にかけてです。
穀物は主に飼料産業用、または農場の飼料として収穫されます。これらの穀物には、ライ麦(Roggen、ロッゲン)、オート麦(Hafer、ハーファー)、大麦(Gerste、ゲアステ)、トウモロコシ(Mais、マイス)、小麦(Weizen、ヴァイツェン)、ライコムギ(Triticale、トリティカーレ)などがあります。
これらの穀物は収穫時の含有水分量は、最大14.5%であるといいそうです。穀物が水分を含みすぎている場合は、乾燥させる必要があります。そうでなければ、倉庫で保管する際に、腐ってしまう恐れがあるからだそうです。
また、干し草の収穫も、草地管理において重要な役割を果たします。干し草のほとんどは、飼料産業で使用されますが、一部は乾燥バイオマスとして農業やそれ以外の産業でも燃料として使用されることもあります。
このように、夏の間のお天気は、穀物や干し草の良い収穫を期待する農家の人々にとって、最大の関心事であることがお分かりいただけるでしょう。
ちなみに、ドイツの8月の平均最高気温は21.7度です。
Trübe Aussicht an den Hundstagen, trübe Aussicht das restliche Jahr.
カタカナ発音:トゥリューベ・アウスジヒト・アン・デン・フンズターゲン、トゥリューベ・アウスジヒト・ダス・レストリッヒェ・ヤー。
直訳: 犬の日が曇る(見通しだ)と、残りの年も曇りの見通し。
説明: ヨーロッパでは口語的に、「犬の日」は夏の暑い日のことを意味するそうです。
より正確に言うと、7月23日から8月23日までの期間です。犬の日という用語は、この時期に最も太陽に近い星、シリウス(星座のおおいぬ座で最も明るい恒星。別名「おおいぬ座α星」)のヒライアカル・ライジング(占星学における、ある天体が太陽を伴って東の地平線から登る現象のこと)の時期に関連しているそうです
Ist’s von Petri bis Lorenz heiß, bleibt der Winter lange weiß.
カタカナ発音: イスツ・フォン・ペトリ・ビス・ロレンツ・ハイス、ブライブト・デア・ヴィンター・ランゲ・ヴァイス。
直訳: ペトリからロレンツまで暑いと、冬は長い間真っ白。
説明: 8月1日は、聖ペーター・アド・ヴィンキュラ(St. Peter ad Vincula)と言って、エルサレムのダンジョンから使徒ペトリの解放を祝うカトリックの祭典の日です。また、8月10日はロレンツの日です。
これらの日々を含む、8月の第一週前後の平均最高気温が25度以上の場合、その年の冬の雪が降る日数は平均を超えるといわれており、これは最近の統計調査でも証明されているそうです。
Oswaldtag muss trocken sein, sonst wird teuer Korn und Wein.
カタカナ発音: オズワルドターク・ムス・トロッケン・ザイン、ゾンスト・ヴィルド・トイヤー・コルン・ウント・ヴァイン。
直訳: オズワルドの日は乾燥するべきだ。そうでないと穀物とワインが高くなる。
説明: 8月5日は、紀元7世紀の北ウンブリア(現在の英国の北東の一部)の王であり、死神と家畜の守護聖人である聖オズワルドの日です。
この日に雨が降ると、その年の穀物やワインが不作になり、値段が上がってしまう、という言い伝えです。
聖人の名前の背景には
このように、古い言い伝えには、日付を表すのに、キリスト教で聖人とあがめられる人々の名前がよく出てくるので、その名前の背景を知るのもおもしろいですよね。