声に出して読みたい ドイツ農家 季節のことば12ヶ月 2月編

ドイツの2月は、まだまだ寒さが続きます。地域によってはマイナスの気温になることもまれではありません。全体的に曇っている日が多く続いたりすることもあり、外出の際にはあたたかなコート、ダウンジャケット、ブーツに手袋&帽子がかかせません。そんな2月の季節の言葉をご案内します。

2月をテーマにした農家の言葉

©️pixabay_GoldaFalk

1年の2番目の月である2月は、ドイツ語では「フェブルア(Februar)」と呼ばれます。

これは、ラテン語で「清める、贖罪」という意味のfebruareから来ているそうです。ローマ帝国の時代、フェブルアという名前の贖罪と浄化の祭りが2月に祝われたことにちなんで月の名前が名づけられたということです。

このフェブルアというお祭りは、記録を読む限り、若い女性が不妊にならないために、ヤギの皮で作られた革ひもで司祭に殴打された、というものです。

現代ですと、ちょっとそれってどうなの? という微妙な雰囲気が漂いそうなお祭りだったようです。

©️Luc Viatour / https://Lucnix.be

また、2月は古いドイツ語では、「ホルヌンク(Hornung)」と呼ばれていたということで、これは成熟したアカシカ(赤鹿)が、古い枝角を脱ぎ捨て、新しい角をはやすことから言い慣わされた、ということです。

また、ラインラント地方やオランダでは、2月は「シュポルケル(Sporkel、Spörkel、Spürkel)」という名前で呼ばれていたそうです。これはカーニバル中に人々が祝う「不道徳な祭り」を表すために、中世の教会で使用されていたラテン語「スプルカリア(Spurcalia)」に由来します。

さらに、2月の別名であった、「ナーレンモント(Narrenmond愚か者の月)」という用語も、この時期に古くからの伝統として、冬の悪霊を追い払うために早春と豊穣の儀式が行われたという事実に由来しています。

pixabay ©️Couleur

日本でも、春になる前の木の芽時というのは、冬から春への季節の変わり目であり、休眠状態から生命が一斉に萌え出てくる激変の季節なので、気候も生物も不安定な時期と言われていますが、ドイツや欧州でも似たような状態であるということが感じられますね。

Scheint zu Lichtmess die Sonne klar, gibt’s Spätfrost und ein fruchtbar Jahr.

©️https://de.wikipedia.org/wiki/Darstellung_des_Herrn#/media/Datei:Meister_der_Pollinger_Tafeln_001.jpg

カタカナ発音: シャイント・ツー・リヒトメス・ディー・ゾネ・クラ―、ギプツ・シュぺートフロスト・ウント・アイン・フルフトバー・ヤー。

直訳: キャンドルマスで太陽が澄んでいると、霜が遅くなり、肥沃な年になります。

説明:クリスマスから数えて40日後、2月2日は、マリアのキャンドルマス(聖燭祭、マリアとヨゼフは律法の定めに従い、イエスを生後40日後にエルサレム神殿に連れてきて、産後の汚れの清めの式を受けるとともに、イエスを神にささげたことに起源するお祭り)です。

農家にとっては、この日はクリスマスから続いた冬休みが終わり、再び仕事が始まる日でもあったそうです。

ところで、1月下旬と2月上旬の天気は、今後数週間の天気を予測する際に、非常に重要です。

いくつかの農家のことばは、寒い冬の天候の寒い春を告げており、これらは統計的にも証明されています。2月上旬の日照時間に限っていえば、2月と3月に平均以上の霜の日数が3例中2例で確認されています。

「澄んでいる」という意味のドイツ語「クラ―(klar)」と、「年」という意味のドイツ語「ヤー(Jahr)」が韻を踏んでいます。

Wenn’s im Februar nicht schneit, schneit es in der Osterzeit.

©️Pixabay_e2grafikwekstatt

カタカナ発音: ヴェンス・イム・フェブルア・ニヒト・シュナイト、シュナイト・エス・イン・デア・オスターツァイト。

直訳: 2月に雪が降らなければ、イースターの時に雪が降る。

説明:この農家の言葉は、穏やかな天気の2月の後に、すでに発芽している芽や新芽が春の雪によって危険にさらされる可能性があるという農民の懸念を表明しています。

しかしながら、この2月の雪とイースターの雪との関連性は、統計上確認されていません。そもそも、イースターは移動祝祭日なので、年によっては3月末だったり、5月のはじめだったりするので、気温も雪の降る冷たい天気から、30度近くある夏のような天気までいろいろあったりするからです。

「雪が降る」という意味のドイツ語の三人称単数「シュナイト(schneit)」と、「時」という意味のドイツ語「ツァイト(zeit)」が韻を踏んでいます。

Kalter Valentin – früher Lenzbeginn.

©️ https://de.wikipedia.org/wiki/Valentin_von_Terni#/media/Datei:Leonhard_Beck_-_Heiliger_Valentin_(Veste_Coburg).jpg / ©️pixabay_Myriams-fotos

カタカナ発音: カルタ―・ファレンティン、フリューヤー・レンツベギン。

直訳: 冷たいバレンタイン – 早い春の始まり。

説明:2月14日は聖バレンタインの日です。

テルニ(現在のイタリア、ウンブリア州にある町)のバレンティン司教は、268年頃に殉教しましたが、彼は、若者、旅行者、養蜂家の守護聖人として、また処女の無実を維持し、良好な婚約と結婚を助けるとして知られています。

そんなことから、バレンタインデーは女性が愛を叶える日として、さらに恋人たちの日となったようです。

愛のしるしとして、今日はドイツをはじめとして、多くの国で赤いバラの花などが、男性から女性に贈られます。これは古代にまでさかのぼる習慣だそうです。

また、2月14日はローマの女神ジュノの日でもありました。女神ジュノにはこの日、結婚と家族を守護する女神として、花が捧げられました。

この農家の言葉にある「レンツ(Lenz)」というのは、ドイツ語で、春を詩的に言い表すときに使う言葉です。ドイツで1920年代にヒットしたフォックストロットのリズムの名曲、「ヴェロニカ、春が来たよ(Veronika, der Lenz ist da)」も、コメディアン・ハーモニストによって有名になりました。

「ファレンティン」と「レンツベギン」が韻を踏んでいます。

日本とドイツ、世界各国のバレンタインデーの習慣の違いを大調査
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