声に出して読みたい ドイツ農家 季節のことば12ヶ月 10月編

「黄金の10月 Goldener Oktober」とも言いならわされるドイツの10月。都市部を離れてちょっと郊外へ足を延ばすと、木々も秋色に彩られ、いかにもヨーロッパの秋らしい風景が広がります。ドイツの10月の季節の言葉をご紹介します。

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10月をテーマにした農家の言葉

10月を「黄金の10月 ゴールデネァ・オクトーバー(Goldener Oktober)」、または「黄金の秋 ゴールデネァ・ヘアブスト(Goldener Herbst)」という呼び方は、秋に落葉樹の紅葉が始まり、黄色や金褐色の濃淡で風景を染め上げるところから来ている、ドイツでは何世紀にもわたる伝統だそうです。

イサーク・レヴィタン(Isaak Lewitan)(1895)   ©️ https://de.wikipedia.org/wiki/Goldener_Oktober#/media/Datei:Levitan_Zolotaya_Osen.jpg 『黄金の10月』

19世紀にルートヴィヒスブルクに生まれたドイツのロマン派の詩人エドゥアルト・フリードリッヒ・メーリケは、以下の有名な詩『Septembermorgen(9月の朝)』で、「黄金の秋」の名を不滅にしました。

Septembermorgen

Im Nebel ruhet noch die Welt,
noch träumen Wald und Wiesen,
bald siehst du, wenn der Schleier fällt,
den blauen Himmel unverstellt,
herbstkräftig die gedämpfte Welt
in warmem Golde fließen.

Eduard Friedrich Mörike

9月の朝

世界はまだ霧の中でたゆたっている
森と牧草地はまだ夢を見ている
ベールが外され まもなく君は見るだろう
飾らない青空が
秋らしく落ち着いた世界になり
暖かみのある金色に流れ込むのを

エドゥアルト・フリードリッヒ・メーリケ

このように美しいドイツの10月の季節の言葉をご紹介します。

Oktober kalt – Januar warm

カタカナ発音:オクトーバー・カルト、ヤヌア・ヴァルム。

直訳: 10月が寒いと1月が温かい。

説明: 10月の農家の言葉の多くは、来る冬の天候に言及するものが多いようです。

統計的にも、10月の平均気温が平年より1.5度以上低いと、3分の2の確率で1月の天候は穏やかになり、4分の3の確率で2月の天候も穏やかだそうです。 ですから、この言い伝えはかなり信ぴょう性が高いと言えますね。

「寒い・冷たい」を意味するドイツ語「カルト kalt」が、「温かい warm」を意味するドイツ語「ヴァルム」と対比しています。

Sankt Burkhardi Sonnenschein, schüttet Zucker in den Wein.

カタカナ発音: ザンクト・ブルクハルディ・ゾネンシャイン、シュッテット・ツッカー・イン・デン・ヴァイン。

直訳: 聖ブルクハルトの日に陽が差して、ワインに砂糖を注ぎ込む。

説明: 10月14日は、8世紀にヴュルツブルクの最初の司教に選出された聖ブルクハルトの日。この日にお天気がいいと、ワインが甘くなる、という言い伝えです。ワインになる葡萄がたっぷりと陽光を吸い込んで糖度が高くなるから、ということなのでしょう。

「陽の光」を意味するドイツ語「ゾネンシャイン」の後半「シャイン」と、末尾の語「ヴァイン」が韻を踏んでいます。

 Ist Sankt Gallus nicht trocken, folgt ein Sommer mit nassen Socken.

カタカナ発音: イスト・ザンクト・ガルス・ニヒト・トロッケン、フォルグト・アイン・ゾマー・ミット・ナッセン・ソッケン。

直訳:聖ガルの日が乾いていないと、翌年は濡れたソックスの夏が来る。

説明: 10月16日は、コンスタンツ湖地域で宣教師として働いていた、聖ガルの日。この日に雨が降ったりすると、翌年の夏も湿りがちでソックスも乾かない、という言い伝えです。

聖ガルは、くまを調教して薪を持ってこさせた伝説がある©️ https://de.wikipedia.org/wiki/St._Gallen#/media/Datei:StiftskircheSt.Gallen.jpg

聖ガルは、550年ごろにアイスランドで生まれ、現在のスイスにある後のベネディクト会のザンクト・ガレン(聖ガル)修道院を創設しました。ボーデン湖にもほど近い場所に位置するザンクト・ガレン市は、現在、世界遺産ともなっているこの修道院をもとに発展したといわれています。

©️ https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/47/Hans_Bol-_Flemish_kermis.jpg

また、10月16日は、ドイツ語で「キルヒヴァイ Kirchweih」と呼ばれるお祭りもあります。地方によって呼び方は「キルメス Kirmes」、「ケルヴェ Kerwe」、「キルビ Kilbi」など、様々なバリエーションがあるようですが、基本的には中世から続く、教会への奉献をする日として厳粛に祝われてきたということです。

Entenbraten ©️RitaE_Pixabay

バイエルン地方の伝統では、この日にローストしたガチョウ(ドイツ語: ゲンゼGänse)やアヒル(ドイツ語: エンテンEnten)をいただく習慣があります。付け合わせは、「カルトッフェルクネーデルン Kartoffelknödeln」と呼ばれるじゃがいもで作ったお団子と赤キャベツを煮込んだもの。

Kirmesbaum ©️ https://de.wikipedia.org/wiki/Kirchweih#/media/Datei:Kirmes_Obertiefenbach_Baumstellen_2019-08-31.jpg

また、地方によって、この日に行われるいろいろなしきたりがあり、ザールラント州やラインラント‐プファルツ州では、「シュトラウスブーヴェ Straußbuwe (路上の男の子)」と呼ばれる男子の集団が、華やかに装飾された「キルメスバウム Kirmesbaum(キルメスの木)」を運ぶ、というのもあるそうです。

Knieküchle ©️https://de.wikipedia.org/wiki/Kirchweihtraditionen#/media/Datei:Kniek%C3%BCchle_2510.jpg

また、キルヒヴァイ、キルメスの日に食べられるお菓子として、「クニークーヘレ Knieküchle」と呼ばれるドーナツに似たペストリーがあります。

砂糖で甘くしたイースト生地を丸く形作り、それをたっぷりのクラリファイド・バター(Butterschmalz)で揚げた素朴なお菓子で、地方によって「アウスツォーゲネ Auszogne」「シュトロイブラ Schtreubla」「クーヘラ Küchla」など、これまたたくさんの呼び名があるようです。

 

 




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