近視の進行抑制効果も期待できる オルソケラトロジー治療@ドイツ

日中は裸眼で生活ができるようになったり、6歳〜28歳前後までなら近視の進行抑制効果が期待できるナイトレンズをご存知ですか? 手術の必要はなく、夜寝ている間に装着するコンタクトレンズの効果で、夜間に近視や乱視の視力矯正されます。装着をやめれば自然に元に戻るコンタクトレンズを使った視力矯正、オルソケラトロジー治療とはなにか? 記事最後にドイツでも日本語で眼鏡・コンタクトレンズについて相談できる店舗をご紹介します。

オルソケラトロジー治療とは?

オルソケラトロジーの語源は、ギリシャ語の「ortho」に由来し、「正しい」を意味します。「Keratologie 」は角膜の研究(角膜学)です。

そして、オルソケラトロジー治療とは、手術をせずに、特殊なレンズを夜間装着することで角膜に働きかけて視力の矯正を行います。

日本では、オルソケラトロジー、オルソレンズ、ナイトレンズ、と呼ばれ、ドイツでは、「Ortho-K-Kontaktlinsen  オルソKレンズ」という名前や、「Nachtlinsen ナイトレンズ」という呼び名が一般的です。(当記事ではオルソレンズの名称で説明します)

装着は7歳から利用が可能で、近視だけでなく、乱視*1の視力矯正も可能です。

就寝時に装着し、翌朝レンズを外して視界がクリアによく見えるようになります。日中は視覚補助が必要なくなり、すっきりと裸眼で生活できるようになることから、メガネやコンタクトの着用を出来れば避けたいスポーツを行う方、すぐにメガネが曇ると困る、日中は裸眼で過ごしたいにもおすすめです。

ただし、矯正可能な上限を超えている度数の場合、極度のドライアイの場合、レンズの適切なケアが出来ない方や、すでに何らかの手術などを受けた方にはおすすめ出来ない場合もあるので、必ず状況を報告し相談し、検査とテスト装着などを受けてから購入するようにしましょう。

お子様にはさらに特別な効果も

オルソレンズは、手術など行わず、危険性も低い*2ため、お子様でも治療を受けることが出来ます。

14歳までは、目と脳が一緒に発達することに加えて、視力に関する脳の働きは28歳ごろまではったするとのこと。そして、28歳前後まで装着し続けた場合、その時点での視力が一生(老眼は避けられませんが)定着することになるだろうと予測されています。

つまり、7歳〜28歳(個人差で多少前後しますが)の間に近視は進行するので、この期間にこそ効果があるため、特におすすめしたいのは若年層のお子様の着用かもしれません。

さらには、子どもの角膜はまだ柔らかいため、大人よりもより効果が出やすい傾向があるようです。例えばお子様の近視の大幅な進行抑制効果も期待できるという研究結果も出ているとのこと。

お子様にコンタクトレンズを装着は、するのも、させるのも怖い?

  1. 就寝前の歯磨き後くらいに手をきちんと洗ってから、コンタクトレンズをつける習慣をつけるようにして、起きた時もまず清潔な手でコンタクトレンズを外すという一連の行動を親御さんと一緒に出来るので安心です。
  2. コンタクトレンズを装着するのが怖いというお子様の場合、装着の練習を販売店や眼科でおこなってもらいましょう。
  3. 寝ている時に目の中でずれてしまわないか不安? よっぽどのことがない限りはずれてしまって、取れないということはありません。

外を歩くと車に轢かれる可能性があるので、外には出しません、という位の確率の危険性だと(個人的には)思っています。もちろん最後はお子様の決断とご家族の判断なので、不安なことがあれば、必ず事前に確認してみましょう。

オルソレンズを作るには?

(ちょっと専門的ですが)例をあげると、ケラトグラフという機器で、24,000 の測定点で目のあらゆる表面を測定します。計算された 3D 表面トポグラフィーは、各角膜の個別の異なる曲線に関する明確な情報を提供します。さらに追加で決定された補正値と合わせて、ソフトウェアが寸法的にも個人にあったレンズを計測して、自分の目にあった「オルソレンズ」を作ります。

このような設備、そして視力と角膜に関する知識と技術を持つメガネ屋さん、眼科医を探しましょう。(ドイツでは視力検査も眼鏡屋でするのが一般的)

ちなみに、このオルソレンズは一度作れば永遠にそのまま使える・・・訳ではありません。個人差もありますが1〜3年ほどで交換が必要です。そして、定期的なチェックと定められた使用方法を守り、お手入れを忘れずに!

気になる費用は?

全体的にかかる費用はいくつかの項目に分かれます。

検査費用、装着お試し、レンズ代、そして以降の定期的な検査費用や、レンズの変更や破損・紛失した場合は追加費用が必要になります。

日独ともに、入っている保険や実際に検査してオルソレンズを作る医院・眼鏡屋によって、価格やサービスが大きく違います。もちろん技術が浸透すれば安価になることもあれば、素材の高騰などから高額に変わることもありうるので、2024年6月現在の参考価格として目安にしてみてください。

日本の場合:

検査は保健が適用されますが、その後は自費診療となります。両目の治療を選んだ場合に初期費用は初期検査など含めて最初のオルソレンズを作るまでに約15万円〜。
以降、定期的な検査やオルソレンズに問題があった場合の月額費用など(2〜3年で定期的にレンズの交換も必要)がかかります。

ドイツの場合:

入っている保険の種類にもよるので一概には言えませんが、両目の治療を選んだ場合に初期費用は初期検査など含めて最初のオルソレンズを作るまでに約200EUR程度〜 使用し始めた月から、毎月の検査や状況に応じて月額費用約65EUR 程度〜* が引き落とされます。
*リースとして購入する形になるため、(希望に応じて)定期的なコントロール、1年ごとの検査やレンズの交換、洗浄・保存液なども含まれています。

万が一、乱視がきついなどの理由から夜間に装着するレンズが目に合わなかったとしても、昼間に装着できるワンデーコンタクトレンズ版(オルソレンズと同じ効果を持つ)を代わりにご提供も可能です。
(参考:Arabella Opticのサービス案内より)

*1 どちらも最大上限、個人差があります。
*2 目の中に異物を入れる以上、100%誰もが安全ではありません。危険はどのようなことにもありうることをお忘れなく
*3 価格は2024年6月現時点の価格です。突然の条件や価格が変更もあります。

オルソレンズに期待できること

最初の着用後の翌朝には、近視はすでに 60 ~ 70% 軽減されると言われます。

毎日着用して就寝することで通常は 3 ~ 5 日以内に角膜の調整が馴染んでいきますが、それ以上の期間正しく着用しても視力の回復を感じられない、調整がうまくいっていない気がする、問題を感じる場合は必ず相談するようにしましょう。

通常、角膜の調整後は日中は視覚補助も必要なくなり、快適な1日が過ごせるようになります。

ただし、装着を中止すると角膜は徐々に元の形状に戻ります。一般的には装着を中止して、最大2〜3日間程度後には効果が消えてしまうようです。

中止した後にまた装着すれば、数日で角膜の調整が進めばまた日中はコンタクトレンズやメガネなしでも目ははっきりと見えます。

オルソレンズのメリット・デメリット

メリット、デメリットをまとめてみましょう。最も大きなメリットは、手術なしで日中のメガネやコンタクトレンズの必要がなくなる点です。

デメリットは個人的には毎日6時間以上の就寝。ショートスリーパーには守れるかどうか自信がない反面、ある意味健康的になるための強制力にも繋がりそうな気も・・・(夜更かしのお子さんにもある意味メリットになるかもしれませんね)

メリット

  • 日中は視覚補助が不要になる
  • 近視の予防・回復も期待できる
  • 近視の進行抑制効果も期待できる
  • 手術の必要はない
  • 元に戻したい場合は、着用を停止するだけ
  • 着用停止後に、また再着用も可能

デメリット

  • 毎晩装着して寝ないといけない
  • 馴染むまで視力が安定しない
  • 正しくお手入れ・装着しないと角膜感染症の恐れもある
  • 夜は必ず6時間以上の就寝(これはある意味メリットかもしれませんが)
  • 目の状態に合わない場合もある
  • 個人差と最大上限がある

日本語で相談、お問合せはどこへ?

興味を持った方、でもドイツで日本語が通じるところで相談したい方も多いと思います。日本語対応可能な眼鏡屋さん情報は現在ふたつ。

ミュンヘン(メールでドイツ全土対応可)

メガネ・コンタクトレンズ・オルソレンズ ほか

アラベラオプティック ミュンヘン近郊在住なら、お店に行って直接試し購入が可能です。遠方の場合は、メールでお問合せから購入まで手助けしてもらうことも可能です。近視の進行度合いを予測計算する検査機器も導入しているので、近視が心配なお子様がいるご家庭には特におすすめ。
通常のめがね、サングラスやコンタクトレンズの検査・購入ももちろん可能です。
*日本人スタッフがいる時のみ。事前予約・問合せ可。 オルソレンズについては、メールでお手伝い出来るかどうかは、目の状態によるためケースバイケースです。

デュッセルドルフ

メガネ・コンタクトレンズ

Elsweiler und Temmed デュッセルドルフの市内中心にある眼鏡店。オルソレンズについての取扱はありませんが、めがねやコンタクトレンズの度数測定など、日本語で相談出来ます。
*日本人スタッフがいる時のみ

他地域の情報提供お待ちしております!




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