ドイツで働く日本人が気になる問題のひとつ、日本に帰国した後にドイツの年金はどうやって受け取ることが出来るのか?は、在独邦人同志の会話でもよく出てきます。
ドイツで会社員として働いていると、毎月の給与明細に「年金保険(Rentenversicherung)」の項目がありますが、ドイツの公的年金に加入していた人は、日本に帰国したらどうなる? 日本の年金と一緒にもらえるの? といった不安から、将来の受け取り方を今のうちに知っておきたい方も多いのではないでしょうか。
この記事では、ドイツで働く日本人が確認しておきたい年金のポイントを整理しました。
ドイツの公的年金は、法定年金保険(gesetzliche Rentenversicherung)と呼ばれます。1889年、当時の宰相ビスマルクの主導により世界初の公的年金制度(老齢・障害保険法)が誕生しました。この「保険料を財源とする社会保険方式」は後にビスマルク・モデルと呼ばれ、多くの国の年金・社会保障制度の土台となったといわれています。
この考え方を土台に、現在のドイツの年金制度は次のような仕組みで運用されています。
会社員の場合、原則として給与から年金保険料が天引きされ、雇用主も同額を負担します(労使折半)。2026年の年金保険料率は18.6%で、本人負担分はその半分の9.3%です。
なお、実際の給与明細には健康保険や介護保険など他の社会保険料も一緒に記載されるため、天引き額を年金保険料だけと誤解しないようにしましょう。
ドイツの年金は、単純に「何歳から何年払ったか」だけで金額が決まるわけではありません。基本的には、現役時代の所得に応じて年金ポイント(Entgeltpunkte)が積み上がり、それをもとに将来の年金額が計算されます。
ドイツで積み上げた年金の権利は、帰国したからといって自動的に消えることはありません。ドイツの公的年金は海外在住者への支給にも対応しているためです。
ちなみに、2026年6月時点では、ドイツ年金保険は海外在住者に170万件以上の年金を支給しています。
つまり「日本の年金に移す」のではなく、「ドイツの年金をドイツから日本で受け取る」というイメージです。
日独社会保障協定(Deutsch-Japanisches Sozialversicherungsabkommen)は2000年2月1日に発効しています。日本年金機構によると、ドイツとの協定では「年金加入期間の通算」、すなわち、日本とドイツの両方で年金に加入していた場合、一定の条件のもとで、それぞれの国での加入期間を合わせて年金の受給資格を判断できる仕組みです。
ドイツの通常の老齢年金(Regelaltersrente)は、原則として5年間の最低加入期間(Wartezeit)が受給資格の条件です。
ドイツだけを見ると3年間なので5年に届きませんが、しかし、日独社会保障協定によって日本の年金加入期間が受給資格の判定に使える場合があります。
注意事項は、加入期間を合算した分だけドイツから年金がもらえるわけではなく、あくまで受給資格を判断されるためのみです。受給資格は発生しても年金の受給金額は、それぞれの国が自国の制度に基づいて年金を支給します。
受給資格が最低加入期間5年と決まっていますが、受給開始年齢は生まれた年によって異なります。
現在は、1964年以降生まれの人は原則として67歳が通常の年金支給開始年齢(Regelaltersgrenze)です。
ところで、ドイツには長期加入者向けなど複数の老齢年金制度があり、それぞれ加入期間や受給開始年齢、減額の有無などが異なります。ご自身やご家族の入っている老齢年金は何か?も確認しておきましょう。
そのほかの老齢年金制度 例
2026年の年金改定では、前年から4.24%引き上げられ、2026年7月1日からの現在の年金価値(aktueller Rentenwert)は1ポイントあたり月42.52ユーロです。
ですが、これは「ドイツで1年間働けば必ず月42.52ユーロもらえる」という意味ではありません。
実際の年金額には、1年間の所得がドイツの平均所得と比べてどの程度だったかで付与されるポイントも変わり、年金開始時期による増減や、年金の種類なども関係します。また、42.52ユーロという金額は将来も固定されるものではありません。ドイツでは年金価値が毎年改定されます。
現在の自分の見込み額を知りたい場合は、ドイツ年金保険の年金情報通知(Deutsche Rentenversicherung Renteninformation)を参考にするか、オンラインの年金計算ツールを確認してください。
Deutsche Rentenversicherung 公式オンライン年金予想額計算ツール[ ↗︎]
日本に住んでいる状態でドイツ年金を請求する場合、日本年金機構を窓口として申請できます。
ドイツ公的年金保険によると、日本居住者は日本年金機構にドイツ年金の請求を行うことができ、日本側の担当部署からドイツ側の年金保険機関へ手続きが引き継がれます。
ざっくりした手順は
*申請時には、両国で年金に加入していたことを必ず伝えるようにしましょう。
はい。ドイツの年金は、海外居住者への支払いにも対応しています。
海外に住む場合、原則として自分名義の海外の銀行口座、またはドイツ国内の自分名義の口座への振り込みが可能です。海外送金では、銀行手数料や為替レートによる差額が発生する可能性があります。
*ドイツに銀行口座を残し、その口座で受給するなども可能ですが、どの方法が一番良いかは受け取る金額やそれぞれの事情によります。
ドイツに住んでいる間にやっておくべきことを順番にリストアップしましょう。
日独社会保障協定の対象になるかを確認しましょう。日本とドイツ双方の加入期間を通算できる可能性があります。
日本へ帰国後、ドイツで年金保険料を払い続けることは任意加入(freiwillige Versicherung)という選択肢もあります。ただし、海外在住者については国籍や加入歴などによって条件が異なるため、個別確認が必要です。
まずは、ドイツ公的保険Deutsche Rentenversicherungに個別相談してみてください。
ドイツで働いた期間が短く、日本へ完全帰国するから、今まで払った年金保険料を返してもらった方が良いと考える人もいるかもしれません。
しかし、年金保険料の返還(Beitragserstattung)は誰でも利用できる制度ではなく、ドイツ側の受給資格が発生する方が後々メリットになることもあるので、ドイツ公的保険Deutsche Rentenversicherungに個別相談しましょう。
ドイツの年金を日本で受給しても、ドイツの公的健康保険・介護保険の強制加入の対象にはならないとドイツ公的保険も案内しています。
日本に住みながらドイツの年金を受け取る場合、日本とドイツのどちらで課税されるかは、日独租税条約(Doppelbesteuerungsabkommen)や日本・ドイツ双方の税法、年金の種類などを確認する必要があります。
受給開始時には、事前に税理士など国際税務に詳しい専門家や、日本・ドイツ双方の税務当局に確認することをおすすめします。
ここまではドイツの年金を日本で受け取る方法について説明しましたが、日本の年金をドイツで受け取るパターンもあります。ドイツと同じく、日本年金機構も、海外在住者への給付にも対応しています。
最初の受給申請の提出先は、日本における最終住所地を管轄する年金事務所または街角の年金相談センター とありますが、銀行の口座届出もしくは変更は郵送での送付も可能になります。
ドイツの年金を日本で受け取る際と同じく、健康保険については加入する健康保険者に、課税については両国の税務当局・年金機構に確認すると安心です
今後、年金額・保険料率・税制・銀行送金条件などは将来変更される可能性もあります。申請の前には必ず両方の国の年金相談を行なっておくと安心です。
個別の受給資格・税務判断についてはDeutsche Rentenversicherung、日本年金機構、必要に応じて税務専門家への確認が必要です。
個別の受給資格や年金に関する手続きについては、ドイツ年金保険(Deutsche Rentenversicherung)または日本年金機構にご確認ください。税金については、個々の状況によって取り扱いが異なるため、必要に応じて税務の専門家への相談をおすすめします。
参考:引用 最新情報は以下のリンクからもチェックが可能です
・ドイツ連邦共和国大使館・総領事館「ドイツの年金手続き[↗]」
Deutsche Rentenversicherung:日本との社会保障協定・年金手続き[↗︎] , ドイツと日本での仕事・年金に関する公式パンフレット[↗︎] , 海外居住者への年金支給[↗︎]
日本年金機構:各国との社会保障協定・ドイツ[↗︎]
厚生労働省:社会保障協定と関係法令[↗︎]
Deutsche Rentenversicherung 公式オンライン年金予想額計算ツール[ ↗︎]

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