ドイツに住む日本人には、大きく分けると二つのタイプがいるように思います。「ドイツが好きで、ここでの生活を楽しんでいる人」または「不満はたくさんあるけれど、仕事や家族、人生設計の都合で住み続けている人」。
もちろん実際にはその中間にいる人がほとんどです。ドイツに来た理由も、駐在、留学、国際結婚、転職、移住などさまざま。滞在期間も数年から永住まで人によって異なります。それでも、多くの日本人が一度は「思っていたのと違った」「日本に帰りたい」と感じる瞬間があります。
これからドイツへの赴任や留学、移住を予定している方にとっては少し厳しい話に聞こえるかもしれませんが、転ばぬ先の杖。
事前に知っておけば心構えができますし、対策できることも少なくありませんよね。今回は、ドイツ在住の日本人が「移住を後悔しそうになった瞬間」をご紹介します。

新しい国へ到着した直後は、毎日が目に映る全てが美しく、新鮮に感じます。ドイツの街並みも建物もスーパーの商品も、日本とはまったく違います。しかし、そのワクワクと同時に、日本では考えなかったようなストレスも一気にやってきます。
ドイツのスーパーのレジで、「こんにちは」「XX円です。」「ありがとうございます」と、ちょっと怒ったような顔で極めて事務的に対応されたり、小銭を軽く投げられたりしてショックを受けたり、帰宅後に何か悪いことをしたのかと思い悩むこともあるかもしれません。
特に到着直後は表情や言葉のイントネーションからは何も読み取れず、「怒っているのかな?」「嫌われているのかな?」と感じてしまうこともありますが、実際には単に仕事として対応しているだけというケースがほとんどです。
日本とは違い、ドイツでは必要以上に愛想よく接しなければいけないという文化はなく、きちんと仕事をこなすことを重要視します。もちろん最初から笑顔な人もたくさんいますが、基本的には、日本の接客文化や表情の豊かさをそのまま基準にしないことが大切です。
かならず、あいさつの「Guten Tag(グーテン・ターク)」、分からない時は遠慮せず「Entschuldigung(エントシュルディグング/すみません)」と声を掛けることで、気持ちが楽になります。もちろん何かしてもらったら、「Danke!(ダンケ)」と笑顔で言えば、大体笑顔か柔らかい表情がかえってきます。
ドイツ生活で避けて通れないのが行政手続きです。代表的な苦しめられる事務手続きとして、
などがあります。
日本の行政サービスに慣れている人ほど、想像以上の時間と手間、対応の雑さに驚くかもしれません。そして忘れてはいけないのがとにかく時間がかかること。予約の方法が難しい、書類の原本を求められることがある、コピーや署名が必要になる場合がある、さらに、担当者によって説明の仕方が異なったり、追加書類を求められたりすることもあります。
これはドイツに住む外国人全体が感じている課題でもあり、2026年にドイツ労働市場研究所(IAB)が公表した調査でも、ドイツを離れた移民の理由として、家族・パートナー関係に次いで「負担の大きい官僚的手続き」が挙げられています。
紙とデータの両方を用意することが、ドイツでは意外と安心材料になります。

最初の半年ほどは観光気分も、緊張感もあり、全てが目新しく気にならないかもしれません。しかし生活が日常になると、日本では意識しなかったものが恋しくなってきます。
最初は「本場のパンがおいしい」「ソーセージの種類が豊富」と新しいグルメの世界を楽しむことができますが、数か月もすると、多くの日本人が和食不足を感じ始めます。(人によっては数週間かもしれませんが)
現在はアジアスーパーも増え、日本食ブームのおかげで、以前より耐えられるようになってきましたが、24時間営業のお店や惣菜コーナー、栄養バランスの良いお手頃価格な定食屋さんはありません。
特に忙しい時期や体調を崩した時ほど、そのありがたさを実感します。
日本の宅配サービスがほぼ100%必ず届くものなら、ドイツの宅配サービスはギャンブルです。
24時間以内に到着なのに届かない。不在票が入っていないけど、荷物は届いているらしい。追跡情報が全く更新されない・・・。
特に多いのが、配達済みになっているのに見当たらない。
このパターンは、実際には近所の受取所(Paketshop)や隣人、さらには知らないご近所さんが預かっているケースもあります。
荷物トラブルを減らすために出来ることは、追跡番号(Sendungsnummer)は必ず保存して、建物の中のどこかに置き配OKにしておく(地階にしておくと確率があがる)、とにかく配送状況をこまめに確認が大切です。
「届くだろう」ではなく、「どこに届いたか確認する」習慣が役立ちます。
ドイツ鉄道(Deutsche Bahn、通称DB)に、日本の鉄道のような定時運行を期待してはいけません。
特に、乗り換えに間に合わない、突然ホームが変更されるなどのサプライズも頻発、DBアプリで運行状況を確認していても、遅延や突然の運休は日常的に発生します。
1時間を超える遅延になると、手続きを行えば返金されますが、その手続きが難しいので行いたくないですよね。

(C)flicker_Alice Chodura [↗]
ドイツでは個人主義が強く、日本的な「察する文化」はあまりありません。
困っていても自分から伝えなければ助けてもらえないことも多い反面、逆に言えば、自分の意思をはっきり伝えれば尊重される社会でもあるため、ドイツでは適切な自己主張が生活を楽にする場面が多くあります。
また
仕事仲間とプライベートは別。休日は家族や昔からの友人と過ごす。をモットーにしている人も多いので、職場での友人関係が構築できずに悩んでしまう人もいるかもしれません。
職場の人とはゆっくりと信頼関係を気づいて「職場の同僚」から「友人」になれば、仕事帰りに飲もうよ、や休日に出かけたりするこも増えるかもしれません。
友達を作るなら趣味の活動やスポーツクラブに入るなどをおすすめします。
ドイツで暮らしていると、必ずと言って良いほど直面するのが住宅関連のトラブルです。例えば、
日本なら電話一本で当日〜数日で解決する問題も、数週間、時には数か月続くこともあります。
特に冬場の暖房トラブルは深刻です。「連絡したら終わり」ではなく、記録を残しながら対応することもお忘れなく。
海外に移住とは、毎日が理想通りになることではありません。それは、ドイツだけでなく日本の中でも県をまたげば、いつもの日常とは違った常識や文化があることもあります。
しっかり休めるワークバランス、保証された労働者の権利、サッパリした交友関係。街中でも自然に囲まれて、公園でゆっくり過ごす休日、ドイツの文化を感じるイースターやクリスマスマーケットの街並み。ドイツにしかない日常の魅力を感じる瞬間も少しずつ増えていきます。
大切なことは「ドイツだから」「日本だから」と決めつけず、自分に合った暮らし方を少しずつ模索して理想の毎日を作り出すことです。
みなさんのドイツ生活が、不安や我慢だけではなく、新しい発見の多い楽しい毎日になることを願っています。
参考:引用
2026年ドイツ労働市場研究所(IAB)が公表した調査[↗︎]
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