クリスマスを待つ季節、ちょっと変わったドイツのアドベンツカレンダー

ドイツでは、クリスマスが近づくと誰もがそわそわし始めます。というのも、クリスマスは、欧州の暗く寒い冬を彩る、光と祝祭のイベントだから。そんなクリスマスを待つ間も楽しめる演出のひとつに、アドベンツカレンダーがあります。ドイツのアドベンツカレンダーの歴史や種類についてご案内します。

Photo:©️pixabay-Gerhard G

2種類の異なる暦

アドベンツカレンダー(Adventskalender)(オーストリアではアドベンカレンダーAdventkalender)は、19世紀からアドベント(待降節)の時期のキリスト教の伝統の一部となっています。

アドベンツカレンダーには、教会暦のものと、グレゴリア暦によるものとの2種類があります。

教会暦のアドベンツカレンダーは、クリスマス当日または1月6日の公現祭の日までのアドベント全体をカバーしたものです。 一方、グレゴリア暦のアドベンツカレンダーは、12月1日に始まり、12月24日のクリスマスイブに終わります。

いずれにしろアドベンツカレンダーは、クリスマスまでの待ち時間を「短縮」し、人々の期待を盛り上げる効果があります。

始まり 終わり
教会暦 11月30日の「聖アンデレの日」に最も近い日曜日 12月25日または1月6日の公現祭の日まで
グレゴリア暦 12月1日 12月24日まで

始まりはルター派の習慣

もともとドイツのルター派の習慣から始まったアドベンツカレンダーは、今日では、キリスト教諸国におけるイエス・キリストの誕生を祝うお祭りの準備の一部として、欠かせないものとなっています。

アドベンツカレンダーの起源は19世紀にさかのぼることができます。最初のアドベントカレンダーが自作されたのは、おそらく1851年と言われています。

プロテスタントの家庭で、壁に24枚の絵を掛けたのが、その始まりだったようです。

よりシンプルで簡単なバリエーションとして、壁、あるいはドアにチョークで24本の線が描かれ、子供たちが毎日1本ずつ線を拭き取ることができるというものもありました。

一方、カトリックの家庭では、クリッペと呼ばれるイエスの生誕シーンを人形で表したジオラマの中に、クリスマスイブまで毎日1本ずつ麦の茎(ストロー)が置かれました。

ドイツのクリスマスの風物詩クリッペ Krippe
ドイツのほとんどのご家庭には大小に限らずひとつはある、と言われるクリッペ についてまとめた記事もどうぞ

アドベンツカレンダーの他の形式としては、Weihnachtsuhr クリスマス時計 または Adventskran アドベントキャンドルと呼ばれるもので、毎日一定のマーキングの部分まで燃やす、というものです。

リューベックのSt.Petri教会のアドベンツカレンダー:©️Traumrune

ドイツの文豪トーマス・マンによるアドベンツカレンダー

トーマス・マンは、長編小説「ブッデンブローク家の人々」の中で、1869年のアドベントについて描いています。19世紀のドイツ北部のハンザ同盟都市リューベックの、ある豪商一家の栄枯盛衰の物語であるこの小説では、ブッデンブローク家の4代目を継ぐはずの幼いハンノが、乳母が作ってくれた日めくり式のカレンダーで、クリスマスが近づくのを心待ちにしている様子がわかります。

トーマス・マン:「ブッデンブローク家の人々」(1909)©️Wikipedia

ちょっと変わり種なアドベンツカレンダー

今日のアドベンツカレンダーの最も一般的な形式は、24の小さなドアの後ろに、何か素敵なものが隠されている、というものです。多くの場合はチョコレートですが、他にもお菓子類、おもちゃ、クリスマスの装飾品などがあります。

お子様たちに人気なのは、レゴやプレイモービルなどのものですね。 特にレゴのスターウォーズシリーズは、お子さまとご父兄世代にも人気で、入手が困難な場合がほとんどです。

ビューティ・アドベンツカレンダー

大人の女性に人気なのは、ビューティ・アドベンツカレンダー。

日本ですと、クリスマスの時期は各種コスメティック・メーカーからクリスマス・コフレなどが販売されますが、それと同じように、ドイツでは各社がビューティ・アドベンツカレンダーで競うイメージです。

24日間、いろいろなビューティ・ケア製品を使ってみて、最高に美しくなってクリスマスを迎える、という戦略に心が高鳴ります。 お値段も、40ユーロ台の手ごろなものから、300ユーロぐらいするものまで、いろいろあります。

Douglas 2021年 スペシャルビューティーアドベンツカレンダー

ビヤ・アドベンツカレンダー

飲むのが好きな方は、ビヤ・アドベンツカレンダーで決まりですね。

こちらはだいたい、40~60ユーロ前後のお値幅であるようです。

たとえば、 Bier-Adventskalender。 さまざまな種類のビールが毎日24日間楽しめます。 何が出てくるかはその日のお楽しみです・・・!

アドベンツカレンダーのいろいろ

オンライン・アドベンツカレンダー

オンライン・アドベンツカレンダーは、インターネット経由でアクセスできるデジタルでバーチャルなアドベンツカレンダーです。

抽選でプレゼントが当たったりするものが多いです。

物理的なアドベントカレンダーと同様に、オンライン・アドベンツカレンダーには、24日間毎日発見できる新しいコンテンツがあります。オンライン・アドベンツカレンダーは、ウェブサイト、ソーシャルメディア、アドベンツカレンダーアプリで見つけることができます。

アドベンツカレンダーとしての建物

いくつかの都市では、特定の建物、たとえば市庁舎のファサードが、季節になると大きなアドベンツカレンダーとして生まれ変わります。この有名な例は、ウィーン市庁舎で、その前でウィーンのクリスマスマーケットが開催されます。

多くの町や村で特別な伝統が生まれました。降臨節や12月の日には、町や村の中にあるショーウィンドウや納屋に「小さなドア」が描かれ、そこにいけば、クリスマスにまつわる物語が読まれたり語られたりする、というものです。

その一例として有名な、チューリンゲン州のマイニンゲン市では、市立図書館の窓にカラフルなおとぎ話のモチーフが描かれ、そこで読み聞かせが行われます。

© Bibliothek Meiningen http://www.schattenblick.de

ヘッセン州にあるフンフェルド(Hünfeld)市にある市庁舎も、アドベンツカレンダーになるようです。

©️Hesse1309  Rathaus Hünfeld Adventskalender 2004

歩いてめぐる アドベンツカレンダー

ちょっと変わった感じのするスタイルのアドベンツカレンダーもあります。

ドイツ語では、Der begehbare Adventskalender「ウォークイン・アドベンツカレンダー」や「リビング・アドベンツカレンダー」とも言われるとても変わったアドベンツカレンダー。 町やそれぞれのグループなどで企画して、それぞれが毎日別の家にあるアドベンツカレンダーの窓のところへ行くアドベントのイベントです。

訪問予定にあたった家の窓は、アドベントのために飾られます。 そして、 24番目の家は、アドベンツカレンダーの目的の最終到着地点。 つまり、クリスマスイブの到来を示しています。

当日、それぞれの家庭では、家の前や家の中でクリスマスキャロルが歌われ、クリスマスの物語が語られます。場合によっては、おいしい食べ物に巡り合えることもあるかもしれませんね。

ハンブルクでは今年ですでに3回目の開催。 12月1日から毎日18時〜アドベンツカレンダーに指定された場所で集合して、クリスマスの到来を楽しみに待ちます。 皆さんの住んでいる地域にもハンブルクのようなイベントがあるかもしれませんね。

Der begehbare Adventskalender im Stadtteil Hannover Döhren

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