ドイツにもある? 疫病退散のおまじない

長い髪の毛に、ウロコに覆われた三頭身の胴体、鳥のくちばしのような口元と星のようにかがやくつぶらな瞳・・・。日本では疫病退散のマスコットとして、全国的な人気を誇るアマビエですが、ドイツや欧州にもそんなマスコット的な存在はあるのでしょうか? 調べてみました。

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疫病退散のシンボル

人類はこれまでにも、何度も感染症の流行を経験してきました。

その中でも代表的なのは、なんといっても、別名黒死病(英語: Black Death、ドイツ語: Schwarzer Tod シュバルツァー・トート)とも呼ばれるペストではないでしょうか?

感染者の皮膚が内出血によって紫黒色になることからそう呼ばれた黒死病ことペストは、紀元前の古代ギリシャの時代より、世界で複数回の大流行が記録されており、その中でも14世紀に流行した際には、当時の世界人口4億5千万人の22%にあたる1億人が死亡したということです。

また、欧州では1348年から1420年にかけてペストが猛威をふるい、その致命率は30%から60%にも及んだと言われています。
ペストの予防策としては、ペスト菌を媒介するノミやネズミを駆除するほか、ペスト患者との接触を制限する、などがあるようですが、有効なワクチンはないとのこと。

そんな疫病を前に、当時の人々はどんな気持ちだったでしょうか?

なんとかして、この疫病が静まるのをただ祈っていたのでしょうか?

欧州の人々のあいだで、迷信として伝えられている疫病退散のシンボルがいくつかあるのでご紹介します。

Sebastianipfeil セバスチャンの矢

1St. Sebastian ©️ https://de.wikipedia.org/wiki/Sebastian_(Heiliger)#/media/Datei:Andrea_Mantegna_089.jpg

8世紀に存在したとされる聖セバスチャンの伝説というのがあります。

ミラノ生まれのローマの兵士であったセバスチャンは、杭につながれ矢で射られても、それを生き延びたということです。当時の人々は、ペストのような感染症は、飛んでくる矢のようだと考えていました。そして、矢による攻撃を生き延びたセバスチャンを、感染症から身を守ることと同等に考えたようです。

そんなことから、「セバスチャンの矢」はその後、疫病に対する防御として人々の身につけられるようになりました。

Zachariassegen ザカリアスの祝福

https://de.wikipedia.org/wiki/Zachariassegen#/media/Datei:Zachariassegen.jpg ©️Ein Zachariassegen Quelle http://www.jahrbuch-daun.de/VT/hjb1981/bilder/Image742.gif

「ザカリアスの祝福」というのは、疫病からの保護や治療に、また魔術や天才などから身を守るのに役立つとされる、あるひとつの公式(一定の記号・数字)のことです。エルサレムの一人の家父長ザカリアスにちなんで名付けられたそうです。紙片などに記されたものであったり、十字架やメダルの碑文としても見ることができます。

これがいつ頃から使用されるようになったのかは不明ですが、1647年にドイツで出版された“Enchiridion Leonis Papae“という、魔法書の中に見られるそうです。

「ザカリアスの祝福」の特定の式というのは、

+ Z + DIA + BIZ + SAB + Z + HGF + BFRS

というもので、16世紀にはキリスト教の司教によって、ペストから身を守るために使用するように言われていたとのことですが、17世紀には多くの神学者によって禁止されるべき迷信のお守りの原型であると考えられるようになったということです。

Schäfflertanz シェフラー踊り

日本には古来から疫病退散のための踊りを奉納する、という歴史がありますね。鹿児島県薩摩川内市の「入来疱瘡踊(ほうそうおどり)」、福岡県黒田天満宮の「にわとり楽」、京都の今宮神社の「やすらい祭」、柏原大相模の「柏原相撲甚句踊り」などがそうですが、ドイツにも同じ疫病退散のための踊り、「Münchner Schäfflertanz (樽職人のダンス)シェフラー踊り」があるのをご存知でしたか?
詳しい記事はこちらから → Schäffleranz記事

シェフラーとは、樽職人のこと。

鮮やかな赤いジャケットに身を包んだ20人ほどの踊り手が、手に半円のアーチ状のもみの木の枝を持って、軽快なステップを踏むこの踊りは、1517年の伝染病の流行中に、ミュンヘンで最初に行われたという伝説がありますが、いまとなってはあまり確かではないようです。

この踊りは現在でもミュンヘンを中心としたバイエルン地方で、7年に一度(場所によっては、5年ごと、3年ごとの土地も)開催されています。

直近では2019年にあったので、次回は2026年の予定ですね。

 

Featured Image@しろくまさん/ ぐぅい~ん さん




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