Zecke(n) ツェッケン(マダニ)の被害と対処法

ドイツ・特に緑の多い地域に夏発生するツェッケン(マダニ)。 春の時期になると、「そろそろツェッケンが〜」 「注射が〜」 と病院で言われたり、ツェッケン注意報のようなポスターを見かけるようになります。 これってなんだろう?と思ったことはありませんか? たかがダニ?蚊に刺されるのと同じ位の感覚でいては少し危険なツェッケンについて調べてみました。

Zecken = ツェッケン(マダニ)とは

画像引用:Pixabay-Zecken Tropfen Im

ツェッケンはダニの一種で、人(や動物)の血を吸います。 普通の吸血方法とは少し違い「刺す」ではなく「噛む」方法で吸血します

マダニの吸血は「噛む」ことによる。マダニの口器は鋏のような形状をしており、これにより皮膚を切り裂く。さらに、口下片と呼ばれるギザギザの歯を刺し入れて、宿主と連結し、皮下に形成された血液プールから血液を摂取 引用:Wikipedia マダニ

そのため、噛まれた時に無理やり取ろうとすると差し込んだ歯が残ってしまうので、絶対に無理やりとってはいけません。 また気づかずにそのまま置いておくと、とんでもない量の血液を吸われてしまいますが、その分見つけやすくなるので、気づいた時には恐怖ですが、絶対に自分で無理やり取らずに病院に行くか、ツェッケン用の専用器具などで取る様にしましょう。
血を吸って膨らんだツェッケン(かなり気持ち悪いです)は、かなり怖いので見たい人だけリンク先をクリックしてください・・・ →膨らんだツェッケンの画像

ツェッケンが多い(生息地域)地域と季節

画像出展:ウェブサイト内 https://www.zecken.de/de

バイエルン州
バーデン・ヴルテンブルク州
ラインラント・プファルツ州
ヘッセン州
テューリンゲン州

基本的には春から暖かい夏の終わり・秋の始まり頃に生息しています。 緑が多い場所や原っぱなど自然の中。 夏のキャンプ地や公園など、危険がいっぱいです。

最近は、ツェッケンが活動的かどうかを調べたり、万が一噛まれた時の対処法や、噛まれてからの体の状態を記録したりも出来る携帯アプリも開発されているので、気になる方は是非ダウンロードを。 ZeckTag

画像出典:https://www.zecken.de/de

ツェッケンに噛まれないようにするには?

洋服の上からでは肌に届かないので、春夏の時期に草の多いところに行く際には

  • 長袖
  • 長ズボン
  • 首まわりなども気になるなら薄手のスカーフ
  • 帽子

などでガードガ可能です。 しかし、服の上からゆっくり移動して肌に到着する場合もあるので外から帰った時は服を払っておく様にしましょう。
そして、いくら涼しいと言ってもドイツの夏は暑い! 動けばさらに暑くなるので、キャンプなどツェッケンのいそうな場所に行った後は、必ずシャワーを浴びる際に噛まれていないかどうかを確かめるようにしてください。 特にお子さんの全身チェックは必須です。 (大人も一応手足など空気に触れている箇所のチェックは念入りに!)

ツェッケンのもたらす害は

画像出典:https://www.zecken.de/de

ツェッケンは、吸血したり噛まれた際に取り除くのが大変なことよりも、いろいろなウイルスを媒介している点が怖いところです。 しかも、「予防注射をしたら全部防げます!」 というウイルスばかりではなく種類もバラバラ・・・。 そのため、どこまで予防・防衛するかは個人個人の判断に委ねられます。

FSME 初夏脳髄膜炎 Die Frühsommer-Meningoenzephalitis (FSME)

3日〜2週間程度の間に、夏風邪の症状が出ます(頭痛・発熱・鼻水など) 症状が一旦治ったと思ったら、そこから2次症状で高熱や体の麻痺などが起こります。(体内では脳膜や脊髄の炎症が起こっている可能性が大) 症状が重い場合は死につながることも稀ではありません。

ただし、予防接種もあり、この感染症にかかるウイルスを持つツェッケンは1000〜数千に一匹という割合で、発症する可能性もそこまで高くはありませんが、念には念を。

対処法は、予防接種 FSME-Impfung

ツェッケンの予防注射はドイツでは3歳頃から病院に行くと推奨されます。
(自己負担/子どもは保険にもよるが基本無料になります)
絶対に!ではないですが、基本的にはした方がいいと勧められます@ツェッケンがよく出る地域
予防注射は多少面倒なシステムで、3回しないと効果が出ません

  • 注射1回目
  • 注射2回目:1ヶ月以上後に2回目
  • 注射3回目:2回目から半年以上後に3回目

この3回の注射で、数年間効果が持続しますが、この注射はFSME-初夏脳髄膜炎にしか効果がありません。

潜伏期間 3日〜2週間程度の間
症状1 夏風邪のような症状(頭痛・発熱・鼻水など)
症状2 一旦治ってから、2次症状(高熱や体の麻痺など)
割合 ウイルスを持つツェッケンは1000〜数千に一匹
発症する可能性 低め

この病気にかかる割合は極めて低いが、発症したら対症療法しかないのでお子さんには予防接種をさせておく・・・という家庭が多いようです。 (草むらで遊ぶのが好きですよね、子どもは)

ボレリア症  Borreliose / borreliosis  (別名 ライム病)

症状から判断するのは少し難しいが、噛まれたところが数日〜数週間赤く膨らんでいる場合は、感染を疑ってください。 症状は3段階に分かれ、やはり夏風邪の様なけだるい症状からどんどんと神経が麻痺するタイプの症状が発症しますが、長期間に渡って現れるので判断が難しい感染症です。

大体ウイルスを持つツェッケンは100匹に一匹程度と少し高めの割合ですが、初期発見・抗生物質の投与で根治できます!

対処法は、初期発見と抗生物質 Antibiotics

こちらはFSMEと違い、予防はできません。
噛まれたら初期発見・抗生物質の投与で根治しますが、症状がわかりにくく、長期間に渡って進行する症状のため、個人的には有名なFSMEよりも嫌な感染症だと思います・・・

潜伏期間 数日〜数年にかけて症状が進む
症状1 夏風邪のような症状(頭痛・発熱・気だるさ)
症状2 強い痛みを伴う神経の麻痺や頭痛・高熱
症状3 神経の麻痺や視力障害など深刻に
割合 ウイルスを持つツェッケンは100匹に一匹
発症する可能性 噛まれたら半分の割合で発症

24時間以内にツェッケンを除去・ウイルスの感染を防ぐために対応すれば大丈夫と言われますが・・・
とにかくツェッケンに噛まれた後が赤く腫れている(でも痒みもあまりなく、痛みもなし)状態が数日以上続いたら、病院で一度念のため見てもらう方が良いかもしれません。
ただの虫刺されと判別し辛いのが、憎い・・・

ツェッケンから感染するウイルス 各種感染症(唾液にウイルスが含まれています)

  • バベシア病 Babesiose
  • エールリキア症 Ehrlichiose
  • 発疹チフス(リケッチア) Rickettsiose
  • クリミアコンゴ出血熱 Krim-Kongo-Fieber

代表的な2種類の症状の他に、レアケースとして、この様に多くの感染症ウイルスを媒介するツェッケン。 どれもパニックになるほど、神経質に気をつけたり予防する必要はない程度の感染率のため、そこまで心配することはないけど、一応こういう感染ウイルスも媒介しています。という程度に見ておいてください。
感染症自体は、本当に運の善し悪し・・・で、噛まれても、かかる場合もあれば、かからない場合もあり。 心配しすぎず、ツェッケンなど虫に刺されそうな場所で外遊びをさせたら、お風呂の時に体をきちんとチェックするを心がけましょう。 もしも、噛まれた跡があれば、一応数日観察・様子を見ましょう。 どうしても気になるなら、病院に行くことをお勧めします。

ちなみに、ツェッケンは人だけでなく動物も噛みます。
特に犬のツェッケン被害も多いので、(むしろ人より犬の方が被害が多い?)愛犬家のみなさまは、愛犬の様子も注意してくださいね。

もし、噛んだままのツェッケンを発見したら

専用のピンセットで取る → 
下手をするとツェッケンの口が体内に残って余計に危険なので、無理だと思ったら落ち着いて。 ささっと病院に行って取ってもらいましょう。

ワセリンでツェッケンごと覆って窒息させる → 
効果的とも聞きますが・・・試したことがないので、ワセリンで窒息責めは自己責任で行ってください(どれくらい覆うかも不明) しかし、ツェッケンは真空でも生きていられると聞くので効果は不明。 個人的にはツェッケン自体にもワセリン塗りつつ触らないといけないと思うと・・・やっぱり病院に行った方が良いかもしれません。

もしもの時のためのツェッケン・グッズ

Autan Protection シリーズ
ツェッケンは4時間ほど〜他の虫は6〜8時間程度効果ありの虫除け。万能ではないですが、無いよりは当然しておいた方が良い!ですよね。

3iX
ツェッケンに噛まれたら、自分で上手にとるための道具もあります。 これは結構評判が良いので、取れやすい? 念のために一個買っておいても、悔しく無いお手頃価格です。


画像出典:3iX Zeckenschilinge

Der Zeckentest Borreliose
個人的にイチオシ。 噛まれたら、まずは口を残さないように取って・・・でもやっぱり心配!という時の安心をくれるボレリア症(ライム病)検査薬。

 




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