季節のめぐみをいただこう! ドイツ6月の野菜と果物

ドイツのスーパーマーケットでは、1年中ハウス栽培されたトマトが売られていたり、きゅうりも巨大なものがやはり一年中出回っていますが、そんな中でも季節ごとの旬の野菜や果物を見かけると、嬉しいですよね。6月に食べたい野菜や果物の一部をご紹介します。

その季節だけの野菜や果物は、熟してから収穫され、輸送の際にも、あまり長距離を運ばれることも少ないようです。環境にもやさしい季節の味を楽しみたいですね。 果物や野菜だけでなく、ハーブやサラダ菜もご案内します。

Obst 果物

果物(Obst オブスト)は、生でも人間が食べることができる、木本植物、および多年生植物の果実またはその一部(種子など)の総称です。

ドイツでは、2008年の調査によると、果物および果物製品(フルーツジュースを除く)の1日あたりの平均消費量は、男性が230グラム、女性が278グラムとなっています。

6月が旬の果物:さくらんぼ(Kirschen キルシェン)

©️Pixabay_klimkin

ドイツのさくらんぼは大きく2種類に分けられます。甘い(süß)のと酸っぱい(sauer)のとです。

甘いさくらんぼ(Süßkirschen ズースキルシェン)は生で食べられ、酸っぱいさくらんぼ(Sauerkirschen ザウアーキルシェン)は、は加熱調理に適しています。

余談ですが、さくらんぼは食べて美味しいだけでなく、その種子は、「さくらんぼの種の湯たんぽ」として、健康促進にも使われます。この場合は、種子を乾かして枕のようにしたものを、低温のオーブンまたは電子レンジで加熱し、お腹が痛いときや、肩こりの部分に置くと気持ちがいいです。

さくらんぼを使ったケーキでは、Die Schwarzwälder Kirschtorte(シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテ)が有名ですね。

シュヴァルツヴェルダー・キルシュトルテの画像:©️Pixabay_Congerdesign

さくらんぼの砂糖漬けなどに加工された瓶入りのものもドイツでは一般的なので、それを使って、バニラ風味のソースを作り、アイスクリームにかけても美味です。

6月が旬の果物:スグリ(Johannisbeeren ヨハニスベーレン)

Image  https://pixabay.com/de/photos/johannisbeeren-beeren-3585286/

スグリのドイツ名ヨハニスベーレン(「ヨハネの実」という意味)は、6月24日の聖ヨハネの日にちなんで名付けられました。この日を境に、最初の実を収穫することができるからです。

スグリには、赤、黒、白の3種類があり、赤がヨーロッパでは最も一般的です。栄養的にみると、黒スグリが最も多くのビタミンCの含有量を誇り、それはオレンジの3.5倍だそうです。

宝石のようなきれいな実は、そのまま食べるとかなり酸っぱいのですが、甘く煮込んでジャムやコンポートにしたり、ケーキに焼き込んでも美味しいものです。

Gemüse 野菜

©️Pixabay_JillWellington

野菜(Gemüse ゲミューゼ)は、野生植物または栽培されている植物の可食部の総称です。

多くの場合、1~2年生の草本の葉や塊茎、茎または根で、それらを生のまま、加熱調理して、または保存食として楽しむことができます。

野菜は、ビタミン、ミネラルなどが豊富で、主に補完食品として消費されることが多いですね。カロリーが低いというのも嬉しい特徴のひとつで、ダイエットの強い味方です。また、野菜は繊維質も多いので、消化に際し重要な機能を果たします。

6月が旬の野菜: コールラビ(Kohlrabi)

©️pixabay_HolgerLangmaier

よく見かけるのは、いわゆる白いコールラビですが、青っぽい品種もあります。これはちょっと木質(繊維が筋っぽい)でスパイシーな味がします。保管する際には、涼しく湿った環境が適しているので、キッチンペーパーで包んでビニール袋に入れてから冷蔵庫では保管しましょう。可食部が木質になるのを防ぎます。

葉っぱ付きのままビヤガルテンに持っていき、その場で皮をむいて、ビールのおつまみにしてもいいですね。

加熱調理なら、薄く切って、グラタンにしてもおいしいです。

 

6月が旬の果物: ルバーブ(Rhabarber)

©️pixabay_MikeGoad

ルバーブ(Rhabarber ドイツ語ではラバーバー)は、少し前まではおばあちゃんのお料理素材、というイメージがありましたが、最近ではまた現代的な食材として見直されています。

東アジア原産で、その地ではすでに4千年以上も薬用植物として知られていたルバーブが、ロシアを経由してヨーロッパでも知られるようになりました。

その太い茎が食用にも適していることが、約250年前の英国でわかって以降、ジャムやパイのフィリングとして加工されたり、お菓子のフレーバーなどとしても使われています。

ルバーブと同じタデ科に属する仲間にはダイオウという薬用植物もあります。消炎・止血・緩下作用があり、便秘薬に配合される薬草です。ルバーブにもその活性成分であるセンノシドが僅かではありますが含まれているため、敏感な人は下痢をすることがあるそうです。

豊富に含むビタミンやミネラル(ビタミンC、ビタミンK,鉄、リン、カリウム、マグネシウム)の他、リンゴ酸、クエン酸、ペクチン、苦味、タンニンなども多く、その繊維質により消化を助ける働きもあります。さらに、100グラムのルバーブは17キロカロリーしかないというのも、嬉しい情報です。

サラダ類

©️pixabay_ChristineSponchia

サラダは、収穫され、洗浄されたあと、ほぼ未調理の状態で、料理のサイドディッシュなどとして食される栽培植物です。 古典的な意味でのサラダ用の植物としては、葉物野菜が上げられますが、トマト(果物野菜)やニンジンなど、実や根の部分がサラダとしても使用される植物もいくつかあります。

他にも、ネギ属の野菜(玉ねぎ、エシャロット、リーク、ギョウジャニンニクなど)や、穀類、豆類、野菜の種子を人為的に発芽させたスプラウトなども、サラダとして食されることがありますね。

6月が旬のサラダ: ガルテンサラート(Gartensalat)

©️pixabay_ThG

ドイツのスーパーでよく見かける様々なサラダ菜の総称です。

この仲間には、Bataviasalat(バタヴィアサラート)、Eichblattsalat(アイヒブラットサラート)、Kopfsalat(コプフサラート)、Lollo biondo(ロロ・ビオンド)、Lollo rosso(ロロ・ロッソ)など、色合いや葉の縮れ具合など、見かけも少しずつ異なるものがいくつかありますが、いずれも学術上は一般的なレタス(ドイツ語: Eisbergsalat アイスベルクサラート)と同じファミリーです。

レタスはどうして氷山サラダなの?

ビタミンKとビタミンAの豊富な供給源であり、葉酸と鉄もほどよく含む、日本では、レタスと呼ばれるこの野菜、ドイツではなぜアイスベルク・サラート(氷山サラダ)と呼ばれるようになったのでしょうか?

もともとはフランス育ちでバタヴィアサラートと呼ばれていたこの植物は、20世紀初頭から北アメリカ大陸でも栽培されていました。アメリカ合衆国の西部で収穫されたサレタスが、東部へと運ばれる際に、当時はまだ冷蔵貨車がなかったため、新鮮さを保つために氷山のような大きな氷の塊とともに、鉄道で西から東へ数千キロの距離を輸送されたのだそうです。ここから氷山サラダの名前がついたと言われています。

キッチンハーブ

©️pixabay_SteveBuissinne

キッチンハーブ、または略してハーブと呼ばれるのは、その葉や花を、生または乾燥させて調理に使われる植物です。キッチンハーブは、単独で、あるいは数種類をミックスして使われます。

ミックスしたキッチンハーブの代表的なものには、お隣の国フランスの、「プロヴァンスのハーブ(Herbes de Provence)」や「ブーケガルニ(Bouquet garni)」、またドイツでは「フランクフルトのグリーンソース(Frankfurter Grüne Soße フランクフルター・グリューネソーセ、別名・地元での愛称はGrie Soß グリ・ソース)」に使用される「フランクフルトハーブ(Frankfurter Kräuter)」などが有名です。

フランクフルター・グリューネソーセの画像: https://pixabay.com/de/photos/frankfurter-gr%C3%BCne-so%C3%9Fe-eier-4163485/

6月が旬のハーブ: タイム(Thymian、ドイツ語ではティミアン)

©️pixabay_ThG

古代ギリシャでは、タイム(ティミアン)は、精神を刺激する燻蒸剤の一部として使われていたそうです。中世ドイツでは、タイム(ティミアン)はすでに喘息や息切れなどの際の貴重な薬用植物として使用されていました。

ドイツ料理では、タイム(ティミアン)やハーブ類をバターに混ぜ込んだkräuterbutter(クロイターブター)、酸っぱいキュウリのサラダGurkensalat(グルケンサラート)やSchinkennudeln(シンケンヌーデルン = ハムとパスタの炒めもの)に少量使うと、味が引き立ちます。

シンケンヌーデルンの画像:©️pixabay_RitaE

また、タイム(ティミアン)は、バジル、ローズマリーなどと並んで、地中海料理にもよく使われるハーブですが、夏には、ズッキーニ、ナス、トマト、またはピーマンを使ったラタトゥイユなどの野菜料理の味付けに使用してもいいものです。

6月が旬のハーブ: チャイブ(Schnittlauch、ドイツ語ではシュニットラオホ)

©️pixabay_Alicja

日本人にはおなじみのネギを小ぶりにしたようなチャイブ(シュニットラオホ)は、中世にイタリアを経由してドイツでも知られるようになったハーブです。それ以来多くのドイツ料理に、爽やかな風味を与えてきました。

チャイブ(シュニットラオホ)の使い方のコツは、調理が終わった料理に、サーブする直前に加えるということです。加熱すると、独特の香りとビタミンが失われてしまいます。 小口切りにしたものを、ブイヨンスープの吸口として利用したり、サラダマヨネーズ、ヨーグルト、マスタード、塩胡椒といっしょに混ぜて、ディップにしたりするとおいしいです。

シュニットラオホのディップのレシピ:

サラダマヨネーズ 30グラム
全乳ヨーグルト 100グラム
マスタード 小さじ1
チャイブ(シュニットラオホ) 1束
(お好みで)
ニンニク
1かけ
塩・コショウ 適宜

6月が旬の食べ物、いかがでしたか? これからも季節のめぐみを美味しくいただきながら、ドイツ生活をエンジョイしてくださいね。

 

 

 




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